開業準備中に交通事故に遭いました。休業損害や後遺障害逸失利益における基礎収入はどう考えればよいですか?

 
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開業準備中に交通事故に遭いました。休業損害や後遺障害逸失利益における基礎収入はどう考えればよいですか?

開業準備中の場合,開業の蓋然性や被害者の年齢,これまでの経歴,事故前の実際の収入などを参考にして,平均賃金などを基準に,基礎収入を算定します。




 開業準備中の交通事故 : 休業損害と後遺障害逸失利益



◆開業準備中の個人事業者にも,休業損害や逸失利益が認められる




交通事故に遭うと,治療のために仕事を休まなければならないケースがあります。

その場合,休業損害が発生します。また,事故の受傷によって後遺障害が残ると,その影響によって労働能力が低下するので,後遺障害逸失利益が発生します。

これらの休業損害や後遺障害逸失利益は,被害者が,事故前に収入を得ていたことが前提となる損害です。




仕事をしていない人の場合には,休業しても損害は発生しませんし,労働能力が低下しても,逸失利益が発生しないためです。

しかし,被害者が個人事業者として開業準備中に交通事故で怪我をしたというケースがあります。

この場合,まだ実際には収入を得ていませんが,交通事故がなかったら無事に事業を開業して,収入を得ていたはずですから,休業損害や逸失利益が認められる余地があります。

開業準備中の休業損害や逸失利益が認められるためには,開業をしていた蓋然性が高いことが必要です。

たとえば事業所を借りたり備品を購入したり,広告を作成したりしていたなど,開業準備を相当具体的に行っていたことを証明する必要があります。







◆開業準備中の場合の基礎収入




次に,開業準備中の場合,被害者の基礎収入をどのように計算すべきかが問題となります。

既に開業して実績のある個人事業者の場合には,前年度の確定申告書をもとに収入額を明らかにすることができますが,開業準備中の場合,そうした資料もありません。まだ実際に収入を得ていないので,売上げや経費に関する帳簿などの資料も存在しないためです。




このようなケースでは,被害者の年齢や開業する事業内容,これまでの職歴,過去の実際の収入状況などを参考にして,平均賃金をもとに,基礎収入を決定することができます。

たとえば東京地裁平成21年11月12日では,そば屋の開業を準備していた被害者の事案でしたが,被害者がこれまでそば屋の従業員として10年以上働いてきたという事情や被害者が具体的に開業準備を進めていたこと,被害者の実際の前年度や前々年度などの給与所得額などをもとに,平均賃金の7割程度の収入を,基礎収入として算定しています。




以上のように,開業準備中の休業損害や逸失利益については,認められないケースもありますし,認められるとしても,基礎収入の算定が困難です。

自分で対応していても,適切な賠償を受けにくいので,困ったときには交通事故に強い弁護士にご相談下さい。




▼参考記事
・失業中に交通事故に遭った被害者,労働意欲・就労の蓋然性があったとして4か月分の休業損害が認められた解決事例
・休業損害・逸失利益について
・逸失利益の算定について




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故での減収がなくても,後遺障害逸失利益が損害として認められますか?

 
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交通事故での減収がなくても,後遺障害逸失利益が損害として認められますか?

実際の減収がなくても,減収が発生しないように本人が特別の努力をしているケースや,将来における不利益が予想されるケースなどでは,後遺障害逸失利益が認められる可能性があります。




 減収がない場合の後遺障害逸失利益



◆減収がないと,後遺障害逸失利益は認められないことが原則




後遺障害逸失利益とは,交通事故の受傷によって後遺障害が残ったときに,労働能力が低下することにより,得られなくなってしまった将来の収入のことです。

後遺障害が残ると,身体のいろいろな箇所に不調が発生するので,労働能力が低下します。
それまでとは同じように働けなくなるので,減収が発生するはずです。

その減収分のことを,後遺障害逸失利益といいます。




ところが,ケースによっては,後遺障害が残っても,減収が発生しないことがあります。

たとえば,会社員や公務員,会社役員などの場合,「労働能力が低下して仕事内容が変わっても,給料は同じ」ということも多いです。

このような場合,加害者側の保険会社からは,後遺障害逸失利益を否定されることがよくあります。

最高裁も,昭和42年11月10日の判決において,「後遺障害逸失利益は,実際の減収を前提とする」という判断をしています。







◆減収がなくても,後遺障害逸失利益が認められるケース




しかしその後,最高裁において,上記の判断に追加的な修正が加えられています。

最判昭和56年12月22日においては,後遺障害逸失利益が減収を前提とすることを踏襲しつつも,「後遺症が,被害者に経済的不利益を与えるといえる特段の事情」がある場合には,後遺障害逸失利益を認めると判断しているからです




このような特段の事情が認められるのは,具体的には,以下のようなケースです。



・減収が発生しないように,本人が特別の努力をしている場合(本人の特別の努力がなければ,実際の減収が発生している場合)

・被害者の職業の性質からして,将来の昇給や転職などに際し,不利益を受けるおそれがある場合





これをふまえて,実際の減収がないケースで後遺障害逸失利益を認める判断がたくさん出ています。



たとえば,被害者が公務員のケースで,後遺障害が残っても減給はなかったものの,将来の昇給などが期待できなくなったとして,70%の労働能力喪失を認めたケースがあります(札幌地裁平成7年10月20日)。

また,看護師の女性について,実際に現時点における減収は発生していないけれども,将来にわたって仕事を継続できない可能性があることを考慮して,20%の労働能力喪失を認めたケースもあります(大阪地裁平成11年12月2日)。





以上のように,実際には減収が発生していなくても,後遺障害逸失利益が認められるケースはあります。
相手の保険会社から逸失利益を否定されても,あきらめずにまずは弁護士にご相談下さい。




▼参考記事
・ひとりひとりに合った適切な解決方法をご提案
・逸失利益・基礎収入について(裁判基準)
・当事務所の解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故で妻が遷延性意識障害になり,私が仕事をやめて在宅介護をしています。私が収入を得られなくなったことについては損害として賠償の対象になりますか?

 
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交通事故で妻が遷延性意識障害になり,私が仕事をやめて在宅介護をしています。私が収入を得られなくなったことについては損害として賠償の対象になりますか?

この場合,近親者の介護費用として日額8000円程度の費用が認められる可能性がありますが,従前の収入からの減収分を,そのまま逸失利益として認められることは難しいです。




 近親者の介護費用 



◆近親者の介護費用について




交通事故で,被害者に介護が必要になったら,介護の費用が発生します。

このとき,近親者が介護を行う場合と,職業介護人が介護を行う場合があり,どちらを選択するかによって,実際に支払う費用が変わってきます。




同じように,交通事故の損害賠償においても,近親者が介護するときと,職業介護人をつけるときとで,介護費用の計算方法が異なります。

近親者が介護をする場合には,日額8000円と基準として計算しますが,職業介護人をつけた場合には,日額1万円〜2万円くらいの金額を認めてもらうことができます。

本件では,介護を行っているのは被害者の夫であり,近親者ですから,介護費用として認められるのは,日額8000円程度となります。







◆介護のために,退職まで必要と判断されることは少ない




しかし,本件のように,夫が仕事を辞めて在宅介護に専念するようになったとき,夫の減収分についてまで,逸失利益ないし休業損害として認めてもらえるのでしょうか?

実際には,このような場合,夫の減収分についての賠償請求は,認められないことが多いです。

なぜなら,まず,夫が会社を退職してまで介護を行う必要性が,裁判所によって認められにくいですし,夫が退職するよりも,職業介護人に依頼した方が良いのではないかと考えられることが多いからです。

そこで,本件でも,夫の減収分が評価されず,日額8000円の介護費用の限度にとどめられる可能性が高いです。







◆認められるとしても,職業介護人の費用を限度とされる可能性が高い




また,夫が退職して介護する必要性が認められたとしても,減収分を全額請求できるというわけではありません。

夫の収入が職業介護人を雇ったときの費用の金額を超える場合には,職業介護人の費用の限度に抑えられてしまうことが考えられます。

減収分が職業介護人の費用を超える場合には,仕事を辞める必要がなく,収入を維持したまま職業介護人を雇えば良かった,と判断されてしまうためです。




この考え方は,近親者が仕事を休んで付添看護をしたときの,近親者の休業損害と同じものです。

ただし,こういったケースでも,どうしても近親者が付添看護をしなければならないという特殊事情がある場合には,実収入を元とした計算方法が認められているので,介護の場合にも,同様の主張が認められるかもしれません。




以上のように,介護費用の考え方には,いろいろと難しい点が多いです。また,比較的新しい問題なので,整理されていないところもあります。

交通事故の後遺障害で介護が必要になったときには,交通事故に強い弁護士にご相談下さい。







▼参考記事
・主婦の入通院付添費は,どのように計算されますか?
・交通事故で遷延性意識障害になった被害者の将来介護費について裁判で争い解決した事例
・将来介護費について




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故で後遺障害等級3級以下で介護費が賠償の対象となることがありますか? あるとしたら,どのような場合ですか?

 
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交通事故で後遺障害等級3級以下で介護費が賠償の対象となることがありますか?あるとしたら,どのような場合ですか?


3級以下の後遺障害でも,介護費が賠償の対象となることはあります。多いのは高次脳機能障害のケースですが,脊髄損傷やCRPS等の神経症状においても,介護費用が認められる例があります。




 賠償の対象 : 後遺障害等級3級以下の介護費



◆要介護の後遺障害




交通事故でけがをすると,症状が回復せずに,自分では日常に必要な動作を行うことができなくなるケースがあります。

そのような場合には,介護が必要です。

後遺障害によって介護が必要になったケースでは,基本的に一生介護を受け続けなければなりません。




そこで,将来にわたる介護費用を,加害者に請求することができます。

そして,自賠責保険の後遺障害の等級認定表においては,「要介護」の後遺障害かどうかで大きく分かれています。要介護の後遺障害は,1級と2級しかありません。







◆3級以下でも介護費用が認められるケース




しかし,実際には,3級以下の後遺障害でも,介護が必要になるケースは多いです。
そこで,3級以下でも,介護費用の請求が認められることがあります。

3級以下で,将来介護費用が認められやすいのは,高次脳機能障害のケースです。

高次脳機能障害の場合,認知機能が低下するので,本人の身体が動く場合でも,事故防止のために監視が必要になることもあるためです。




たとえば,事例としては,以下のようなものがあります。



高次脳機能障害で,3級3号の後遺障害認定を受けた被害者のケースにおいて,随時介護までは必要としないものの,事故を防止するために監視が必要であるとして,日額3000円,平均余命51年分の将来介護費用が認められた事例(名古屋地裁平成12年5月29日)。

脳挫傷等の傷害を負い,高次脳機能障害となって4級の後遺障害認定を受けた被害者の事案で,日常生活において,被害者の妻による監視や声かけが必要であることが考慮されて,日額2000円,平均余命33年間分の将来介護費用が認められた事例(大阪地裁平成20年5月29日)。





高次脳機能障害以外でも,将来介護費用が認められるケースはあります。



たとえば,CRPS(複合性局所疼痛症候群)により,7級相当の後遺障害が残った被害者の事案において,被害者が,右腕で作業をすることが難しく,長距離の歩行が困難になったケースでは,被害者が,実際に,食事や排せつ,移動について介助を受けていたことを考慮して,平均余命までの間,日額3000円の将来介護費用が認められました(横浜地裁平成26年4月22日)。





以上のように,後遺障害の等級が3級以下でも,将来介護費用が認められる例は意外と多いです。
心当たりがある場合には,まずは是非とも一度,弁護士に相談してみてください。







▼参考記事
・交通事故で後遺障害等級3級3号が認定され,保険会社と将来介護費が争点になるも裁判を行わず交渉で比較的高めの水準で解決できた事例
・高次機能障害で将来介護費の請求は認められますか。
・将来介護費について




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故で症状固定後の治療費が賠償の対象となることがありますか?

 
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交通事故で症状固定後の治療費が賠償の対象となることがありますか?

あります。たとえば,生命を維持するために治療の継続が必要なケース,症状の悪化を食い止めるために治療が必要なケースなどにおいては,将来治療費として賠償の対象となります。




 症状固定後の治療費



◆症状固定後の治療費は,原則的に賠償の対象にならない




交通事故でけがをすると,入通院によって治療を行わなければならないので,治療費が発生します。

治療費については,交通事故によって発生した損害といえるので,加害者に賠償請求することができます。

ただし,治療費を請求できるのは,原則的に「症状固定時」までです。




症状固定すると,それ以上治療をしても症状が改善されなくなるので,症状固定後の治療は意味のないものとなると考えられているからです。

意味のない治療は,交通事故によって発生した損害とはいえない(因果関係が認められない)という理屈で,賠償の対象にならず,請求しても支払われません。







◆例外的に,将来治療費が認められるケース




症状固定後の治療費であっても,例外的に賠償の対象になるケースがあります。

なかには,症状固定した後も,治療の継続が必要なケースがあるためです。
症状固定後も治療が必要な場合,症状固定後の治療費も,交通事故と因果関係のある損害として認定されます。

症状固定後の治療の必要性は,症状の内容や程度,治療内容や経過などを総合的に判断し,治療の必要性や相当性があると言える場合に認められます。

実際に,将来治療費として認められるのは,以下のようなケースです。



・治療の継続をしないと,症状が悪化してしまうので,現状維持のために治療を継続すべきケース

・遷延性意識障害となったため,生命を維持するために治療の継続が必要なケース

・強い身体的な苦痛が残っているので,苦痛を和らげるための治療を継続すべきケース





また,将来治療費の賠償が認められるときには,将来の付添看護費用や交通費などについても,同時に認められることが多いです。







◆将来治療費を認めてもらうための立証




上記のような例はありますが,将来治療費が認められるのは,あくまで例外的なケースです。

そこで,支払を受けるためには,将来治療の必要性について,被害者側が,積極的に医学的な立証を行うことが必要です。

具体的には,医師の診断書や意見書,診療記録や診療報酬明細書などの資料をもとに,将来治療費の支出が必要かつ相当であること,予想される支出額などを明らかにしなければなりません。




以上のように,将来治療費が認められる例もありますが,ケースとしては限定されていますし,立証も難しくなることが多いです。

請求を行う際には,弁護士によるサポートがあると心強いものです。お困りの場合,是非とも一度,よつば総合法律事務所へご相談下さい。




▼参考記事
・交通事故による怪我が治らない場合は,どうしたらよいですか。
・事故から20年後に人口関節置換術の手術が必要な被害者の代理をし,裁判をおこした結果,将来治療費が認定された解決事例
・交通事故で怪我をした場合,いつ弁護士に相談すべきか?




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)
| 治療費 |

交通事故の年金逸失利益とは何ですか?

 
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交通事故の年金逸失利益とは何ですか??

年金受給者が交通事故で死亡した場合,逸失利益が認められることがあります。逸失利益が認められるのは,老齢年金や障害年金,退職年金などです。




 年金逸失利益



◆逸失利益とは




交通事故の損害の費目の1つとして,逸失利益があります。

逸失利益とは,交通事故により,労働能力が低下したりゼロになったりしたことにより,失われた将来の利益(=収入)のことです。




交通事故の逸失利益には,後遺障害逸失利益と死亡逸失利益の2種類があります。

後遺障害逸失利益とは,後遺障害によって労働能力が低下または喪失したことにより収入が減少するため,認められる逸失利益です。

死亡逸失利益とは,死亡した人が,その後労働することができなくなったことにより,認められる逸失利益です。

以下では,年金受給者について,それぞれの逸失利益が認められるのか,確認していきましょう。







◆後遺障害逸失利益




まず,年金受給者の場合,後遺障害逸失利益は認められません。

後遺障害逸失利益は労働能力低下による収入の減少に対して認められるものですが,年金生活者の場合,後遺障害が残っても,年金の受給額が減少するということはないからです。

年金にはいくつかの種類がありますが,どのような種類の年金であっても同じです。







◆死亡逸失利益




死亡逸失利益については,年金の種類によって考え方が異なります。

まず,老齢年金(老齢基礎年金,老齢厚生年金),障害年金(障害基礎年金,障害厚生年金),退職共済年金については,逸失利益性が認められています。

また,労災保険の「障害(補償)年金」や「障害特別年金」についても,逸失利益性が認められます。

これに対し,遺族年金や軍人恩給については,受給者個人への一身専属性が強く,遺族自身が保険料を支払っていたわけではないなどの理由で,逸失利益性が否定されています。







◆死亡時に受給していなかった場合




年金は,一定期間年金保険料を支払った場合に,受給資格を得ることができますが,受給資格があっても受給していないことがあります。

このように,交通事故時,実際に年金を受給していない場合でも,死亡当時受給資格があったときは,年金に関する逸失利益が認められることがあります。

さらに,すでに年金保険料を必要なだけ払い込んでいて,支給時期が近い場合には,将来において,確実に年金を受給したはずであることから,年金逸失利益が認められやすくなります。




これに対し,年金受給開始までの期間が長い場合や,年金受給資格を得ていなかった場合などには,年金の逸失利益性は否定されます。

なお,未支給の年金の逸失利益が認められる場合,計算においては,死亡時から60歳までの年金保険料を控除される可能性などもあり,若い人のケースなどでは,あまり高額にならないケースもあります。

以上のように,年金逸失利益ひとつとっても,様々な問題があります。
気になったときには,是非とも一度,ご相談ください。





▼参考記事
・逸失利益・高齢者について(裁判基準)
・死亡事故被害者の救済
・交通事故のよくある質問




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故紛争処理センターの手続とは,どのようなことをするのですか?

 
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交通事故紛争処理センターの手続とは,どのようなことをするのですか?

紛争処理センターでは,交通事故に関する相談や,賠償問題解決のための和解あっせんや審査の手続を利用することができます。

和解あっせんとは話合いのサポートであり,審査はセンターが賠償問題の解決方法を決定する手続です。





 交通事故紛争処理センター手続き 



◆紛争処理センターとは




紛争処理センターは,正式名称を「交通事故紛争処理センター」といいます。公益財団法人です。

これは,交通事故の賠償問題を解決するための,ADR(裁判外の紛争解決機関)の1つです。




交通事故の賠償金について,加害者の保険会社と示談交渉をしても解決ができないケースなどでは,有効な解決方法となることがあります。利用料は無料です。

紛争処理センターは,全国に11箇所あり,被害者の住所地または事故発生地に応じたところを利用することができます。紛争処理センターで受けられるサービス内容は,主に相談と和解あっせん,審査です。







◆相談




交通事故紛争処理センターを利用するときには,まずは相談の申込みをします。
申込みをすると,担当弁護士が決まり,交通事故トラブルについての相談をすることができます。

相談だけでは解決しない場合,和解あっせんを希望すると,センターによる話合いの仲介サポートを受けることができます。







◆和解あっせん




和解あっせん手続が始まると,センターから任意保険会社担当者に対して通知が行われ,定められた日時に,被害者と加害者が出席して話合いの席が設けられます。

このとき,センターの担当弁護士が間に入るので,当事者同士が話し合うよりも,解決に至りやすいです。

和解あっせん期日は原則3回までで,最終的に担当弁護士から和解案の提示を受けることができます。
双方が和解案を受け入れたら,その内容で和解し,紛争を終わらせることができます。







◆審査請求




和解あっせんにおける和解案を双方または一方が受け入れることができない場合,和解あっせんの手続きで解決することはできません。

その場合,センターに対し,審査申立てをすることができます。

審査申立てがあると,センター内で審査期日が決まり,被害者と任意保険会社担当者の双方に,呼出があります。

そして,センターが,裁定という決定を行います。裁定により,賠償問題についての一定の解決方法が示されます。

加害者が保険会社の場合には,加害者は裁定結果に拘束されるので,被害者が納得したら,賠償問題を解決することができます。




被害者が裁定を受け入れない場合は,センターでは解決ができないので,センターの手から離れます。この場合,訴訟によって,解決をはかる方法があります。







◆利用できない場合




加害者が任意保険に加入していなかったら,利用することはできません。

また,加害者が加入していたのが任意共済であるとき,その加入共済組合によっては,利用できないこともあります。




交通事故紛争処理センターは,賠償問題解決のために,有用な手続きです。
弁護士に,和解あっせん申立てや審査申立ての代理人を依頼することも可能です。

当事務所でも積極的に利用しています。関心をお持ちの方は,お気軽にご相談ください。




▼参考記事
・高次脳機能障害の場合,紛争処理センターを利用するメリットは何ですか?
・相手保険との交渉で賠償金の提示額が適正な水準に至らず,紛争処理センターへ申立を行い増額の斡旋をうけ,自賠責含め375万を受け取る形で解決した事例
・ひとりひとりに合った適切な解決方法をご提案




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故に遭いました。労災の費目拘束と過失割合は,どんな関係がありますか?

 
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交通事故に遭いました。労災の費目拘束と過失割合は,どんな関係がありますか?

労災保険を利用すると,加害者から受け取る賠償金が差し引かれますが,そのとき,損害賠償金の費目ごとに,控除が行われます。


このことを費目拘束といいますが,費目拘束により,被害者に過失割合があると,労災を使った方が有利に賠償金を計算できる可能性があります。





 労災保険 : 費用拘束 



◆労災を使うと,損益相殺される




業務中や通勤途中で交通事故に遭った場合には,労災の適用を受けることができます。

この場合,労災保険から,治療費や休業補償などが支払われます。

そして,労災から先に保険金を受けとった場合,後に加害者に請求できる賠償金は,その分減額されます。賠償金の二重取りを防ぐためです。

このことを,損益相殺といいます。







◆労災の費目拘束とは




ただし,労災保険において損益相殺をするときには,それぞれの損害項目において計算を行うこととなります。
このことを,費目拘束と言います。

費目拘束されることについては,判例上確立されています(最判昭和58年4月19日)。

たとえば,治療費なら治療費の範囲内だけで差引を行い,休業損害などの他の費目からは,差引を行わないということです。同様に,休業(補償)給付が支払われたとき,休業損害以外の損害から控除を行うということも行われません。







◆被害者に過失割合がある場合




労災には費目拘束が行われると,被害者の過失割合があるときに,被害者が有利になる可能性が高いです。

それは,ある費目で過失相殺をした結果,労災から払い過ぎがあったとしても,他の費目から払い過ぎの分を差し引かれることがないためです。

過失相殺を考慮すると,全体としては,労災からの給付金が,支払われ過ぎになっていたとしても,他の費目から差し引かれないので,被害者に入ってくるお金が大きくなります。




たとえば,治療費が150万円,休業損害が80万円,慰謝料が200万円発生した事故があったとします。被害者の過失割合は,40%でした。



このとき,治療費が150万円全額労災保険から支払われて,休業損害は40万円支払われたとします。
まず,治療費を過失相殺すると,被害者の過失が4割なので,加害者に賠償請求できる治療費の金額は本来90万円です。

しかし,被害者は既に150万円の支払いを受けています。ですが,差額の60万円については,他の賠償金の項目から差し引くことができません。そのままとなります。

休業損害については,被害者の過失割合が4割なので,請求できる金額は本来48万円です。労災からすでに40万円の支払いを受けられているので,残りの8万円だけが加害者から支払われます。

慰謝料については,過失相殺により,6割の120万円を請求することができます。費目拘束があると,被害者は加害者から,合計128万円の支払いを受けることができます。それと,労災からの既払い金190万円があるので,合計すると318万円受けとっていることになります。




もし労災を適用しなかったら,損害賠償金額の合計は150万円+80万円+200万円=430万円です。
被害者の過失割合が40%なので,全体に過失相殺が適用されて,被害者が相手に請求できる金額は,258万円です。

労災保険を使うと,318万円ですから,60万円分,被害者が多く受け取れていることがわかります。


以上のように,労災を使うと,被害者に過失割合がある場合に,被害者に有利になりやすいです。
被害者に過失があり,業務中や通勤中の事故で労災を適用できるケースでは,なるべく労災を利用すると良いでしょう。




▼参考記事
・相手方任意保険,健康保険,労災保険のどれを使えばよいですか?
・労災と自賠責で後遺障害等級が異なることはありますか。
・通勤中の交通事故だった為,通勤災害として労災保険を使用して治療,過失相殺されたものの最小限の減額で抑えて解決できた事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)
| 慰謝料 |

私は男性で,女性と同棲しています。この同棲している女性が運転する自動車に同乗しているときに,この女性が自損事故を起こし,私が怪我をしてしまいました。 賠償はどうなりますか? 自賠責(契約者は同棲相手です。)はどうですか?

 
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私は男性で,女性と同棲しています。この同棲している女性が運転する自動車に同乗しているときに,この女性が自損事故を起こし,私が怪我をしてしまいました。
賠償はどうなりますか? 自賠責(契約者は同棲相手です。)はどうですか?


この場合,同棲相手の方の対人賠償責任保険が適用されるので,そちらから損害賠償金の支払いを受けることができます。
また,人身傷害補償保険,搭乗者傷害保険,自損事故保険の適用もあります。自賠責保険についても,適用されます。





 自損事故 : 同乗者の賠償(同棲相手)



◆対人賠償責任保険




運転していた人の過失によって自損事故が発生し,同乗者がケガをした場合,法律上,同乗者には,運転者に対する損害賠償請求権が発生します。

そこで,運転者が加入している任意保険の対人賠償責任保険を適用してもらうことができるかが問題となります。




対人賠償責任保険は,被保険者が事故を起こして人を死傷させた場合に適用される保険です。

そして,自損事故により,同乗者にケガをさせた場合,運転者の過失によって,人をケガさせたと言えるので,対人賠償責任保険が適用される場面となります。

ただし,対人賠償責任保険には,免責規定があります。具体的には,同乗者が運転者の配偶者や親,子どもである場合には,適用されないとされています。それ以外の,兄弟姉妹や恋人,友人などである場合には,適用されます。




本件では,事故に遭われたご本人は,運転者と同棲していたということなので,免責規定が適用されません。そこで,対人賠償責任保険の適用があり,運転者(同棲相手)の任意保険から賠償金の支払いを受けることができます。

一方,同乗者が内縁の夫婦であれば,免責規定が適用され,対人賠償責任保険は使えません。

ただし,対人賠償責任保険から支払いを受ける場合,同乗者自身に過失があれば,過失相殺されます。
たとえば,危険な運転をあえて注意せず,煽っていたなどの事情があると,請求できる保険金額が減額されることとなります。







◆人身傷害補償保険,搭乗者傷害保険




同乗者がケガをした場合には,運転者(被保険者)の任意保険の人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険,自損事故保険も適用される可能性があります。

同乗者に人身傷害補償保険が適用される場合には,自損事故保険は適用されませんが,搭乗者傷害保険と自損事故保険は同時に適用されるので,両方から支払いを受けることができます。







◆自賠責保険




自損事故で同乗者がケガをした場合,運転者が加入していた自賠責保険も適用されます。
そして,自賠責保険の場合には,被害者に重過失がない限り,減額が行われません。

そこで,危険な運転の助長行為などがあって,任意保険の対人賠償責任保険が減額されるケースでも,自賠責保険からは満額の保険金を受け取れる可能性があります。

同乗者に適用される保険については,同乗者と運転者の身分関係によって異なります。約款を確認しなければならないケースもあります。迷ったときには,交通事故に強い弁護士まで,お気軽にご相談下さい。




▼参考記事
・損害賠償額の計算方法
・交通事故と物損Q&A
・交通事故問題解決の流れ




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

私の妻が運転する自動車に同乗しているときに,妻が自損事故を起こし,私が怪我をしてしまいました。賠償はどうなりますか? また,自賠責(契約者は妻です。)はどうなりますか?

 
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私の妻が運転する自動車に同乗しているときに,妻が自損事故を起こし,私が怪我をしてしまいました。賠償はどうなりますか? また,自賠責(契約者は妻です。)はどうなりますか?

この場合,妻が契約している任意保険から,人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険,自損事故保険などの保険金が支払われる可能性があります。自賠責についても,保険金支払を受けることができます。




 自損事故 : 同乗者の賠償(夫婦) 



◆任意保険から支払われる保険



車を運転しているときに,事故を起こして同乗者がケガをしてしまうケースがあります。

相手のある交通事故の場合,加害者から賠償金の支払いを受けることができますが,自損事故の場合には,そのようなことは不可能です。

同乗者は運転者に対して損害賠償請求権を有することになりますが,同乗者と運転者が夫婦だと,対人賠償責任保険は使えないのが普通です。

ですから,賠償を任意保険会社から受けるのは困難です。




ただ,の場合には,運転者や自動車が加入している任意保険の適用があります。
適用される可能性がある保険は,人身傷害補償保険と搭乗者保険,自損事故保険などです。


【人身傷害補償保険】
人身傷害補償保険とは,保険加入者や同乗者が事故でケガをしたときに,補償を受けることができる保険です。
この場合の「事故」については,相手のあるなしを問われることがありません。

そこで,本件のように,妻が運転していた場合に自損事故を起こしたケースでも,人身傷害補償保険に加入していたら,その支払いを受けることができます。




【搭乗者傷害保険】
搭乗者傷害保険も,人身傷害補償保険と同様に,保険加入者や同乗者が事故でけがをしたときに,保険金が支払われる保険です。同乗していた人すべてに適用される保険なので,自損事故のケースでも適用されます。




【自損事故保険】
自損事故保険は,運転者が自分の責任で発生させた交通事故により,人を死傷させた場合に適用される保険です。
自損事故で,同乗者がケガをしたときにも,自損事故保険の適用があります。

ただし,自損事故保険は,自賠責保険から支払を受けられない場合にのみ支払われます。




【人身傷害補償保険,搭乗者傷害保険,自損事故保険の関係】
人身傷害補償保険と搭乗者傷害保険,自損事故保険のうち,複数に加入している場合には,それぞれの関係も問題となります。

多くのケースでは,人身傷害補償保険と自損事故保険の両方に加入している場合には,人身傷害補償保険しか適用されません。この2つの保険は,重複するところが大きいためです。

これに対し,搭乗者傷害保険の場合は,人身傷害補償保険または自損事故保険とは別に支払を受けることが可能です。





◆自賠責保険




一方,対人賠償責任保険とは異なり,けがをした同乗者が配偶者でも,自賠責保険からも支払いを受けることができます。

自賠責保険は,加害者本人には適用されませんが,同乗者には適用されるわけです。

ただし,車が夫婦の共有になっていて,同乗者も共に「運行供用者」と言える特殊な事情がある場合には,自賠責保険の適用がない可能性もあります。

以上のように,自動車保険の適用関係は,決して単純ではありません。
よくわからない場合には,交通事故に強い弁護士に相談してみて下さい。




▼参考記事
・後遺症と保険について
・よつば総合法律事務所の交通事故解決事例
・ひとりひとりに合った適切な解決方法をご提案




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)
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