交通事故に遭いました。むちうちの治療は,どのようなものが一般的なのでしょうか?

2018年05月24日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故に遭いました。むちうちの治療は,どのようなものが一般的なのでしょうか?

むちうちになったら,温熱療法やマッサージ,電気療法や理学療法などを行うことが多いです。症状がある程度安定してくると,リハビリを開始し,整骨院で治療を受けることもあります。




 交通事故 : むちうち 




◆むちうちの一般的な症状は頸椎捻挫




交通事故で追突事故などの被害に遭うと,「むちうち」になるケースが多いです。

むちうちにはいろいろな意味合いがありますが,一般的な交通事故でもっとも多いのは,「頸椎捻挫」による症状です。

むちうち(頸椎捻挫)になった場合の治療方法は,段階によって変わってきますので,以下で,事故後の経緯を追って,一般的な治療方法を紹介します。







◆初期段階の治療方法




むちうちになったら,まずは整形外科を受診します。

整形外科に行くと,問診が行われ,MRIやレントゲンなどの画像検査が実施されて,医師が頸椎捻挫などの診断名をつけます。

事故から1か月程度までの間の急性期には,損傷した頸部に炎症が起こっています。

このとき,患部を刺激すると症状が悪化する可能性があるので,できるだけ安静にして保存療法を行います。炎症を抑えるため,患部を冷やす治療も実施されます。
急性期で痛みが酷い場合には,ブロック注射をすることもありますし,消炎鎮痛剤(痛み止め)が処方されるケースもあります。

基本的には自宅で過ごして通院治療を継続しますが,首を安定させにくいケースでは「ネックカラー」を装着して固定させることもあります。この時期はシップなどで炎症箇所を冷やすことも有効です。







◆急性期以後の治療方法



急性期が過ぎて,頸部の炎症が治まると,徐々にリハビリを開始します。

急性期には首を固定していたとしても,少しずつ動かして,元に戻していきます。

また,安定してくると,冷やすよりも,むしろ温熱療法が効果を発揮することがありますし,マッサージなどを行うケースもあります。
自宅でストレッチなどをすることも効果的ですし,継続的に電気治療を行うことも多いです。
また,症状が落ち着いてくると,医師の了承を得て整骨院や接骨院,鍼灸院などで治療を受ける方もたくさんおられます。

むちうちは,急性の症状は少ないですが,完治には長い期間がかかることがあります。10か月程度院される方もいますし,それでも完治せずに後遺障害が残ることも多いです。




交通事故でむちうちになり,辛い症状に悩まれているとき,治療中しかできないこともありますから,お気軽に弁護士にご相談下さい。





▼参考記事
・整骨院・接骨院の施術も治療費として認められますか?
・交通事故でむち打ちになった場合の治療期間はどのくらいがよいのか教えてください。
・「むちうち」とは〜むちうちの知識〜

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故に遭った際,むちうちの治療頻度としては,週にどれくらい通うのが適切なのでしょうか?

2018年05月23日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故に遭った際,むちうちの治療頻度としては,週にどれくらい通うのが適切なのでしょうか?

この場合,できれば週3回以上は通院を継続すべきです。




 交通事故 : むちうちの治療頻度 




◆通院頻度が低いと,入通院慰謝料が減る




交通事故に遭ってケガをすると,加害者に対して「入通院慰謝料」を請求できます。入通院慰謝料とは,交通事故で受傷して,病院に入通院した場合に認められる慰謝料です。

入通院した期間に応じて計算されます。

しかし,入通院慰謝料は,通院頻度が低いと減額されることがあります。


基本的に入通院した期間(月数)によって計算しますが,通院頻度が少ない場合,実通院日数の3.5倍程度が上限とされることがあるからです。

たとえば,3か月間(90日)の間に15日しか通院していなければ,15日×3.5=52.5日となり,本来の90日より大きく減ってしまいます。
また,むちうちで自覚症状しかない場合には,実通院日数の3倍程度を入通院慰謝料の基礎となる期間にされることが多いので,やはり通院日数が減ると,慰謝料が減額されます。

このようなことから,むちうちの場合,他覚症状があってもなくても,通院頻度が少ないと,不利に扱われます。症状があるとき,通院した期間分の入通院慰謝料を確実に獲得するためには,週3日以上は通院をすることが望ましいです。








◆通院頻度が低いと,治療費を打ち切られる



通院頻度が少ない場合,入通院慰謝料が減らされる以外にもデメリットがあります。
それは,治療費打切りの問題です。

交通事故後,被害者が入通院治療を受けるとき,加害者の保険会社が治療費を直接医療機関に支払うので,被害者は病院の窓口で支払をしなくてよいことが多いです。

しかし,通院頻度が少ないと,加害者の保険会社は「もはや治療の必要性がないのではないか」「症状固定しているのではないか」といって,治療を終えるように求めてきたり,治療費直接払を一方的に打ち切ってきたりすることもあります。

治療費を打ち切られると,被害者が医療機関に対して治療費を支払うという負担が生じますから,そのようなことのないよう,週3回以上は通院することが望ましいのです。








◆後に治療費や入通院慰謝料を請求できなくなる可能性



加害者の保険会社から治療費直接払を打ち切られたとしても,主治医が改善の見込みがあると考えている間は,被害者が自分で窓口で費用を負担して通院すれば,基本的に,後に加害者に対し,治療費を請求することができます。

しかし,通院頻度が少ない場合,後に裁判をしても「もはや治療の必要性がなくなっていた」と判断されて,治療費の請求が認められない可能性があります。

そこで,後の治療費回収の確実性を増すためにも,ある程度以上の頻度で通院を続ける必要があるのです。


以上のように,むちうちになって痛みや痺れが続くのであれば,最低でも週3回は通院を継続すべきです。


交通事故後の通院方法に不安がある場合,弁護士がアドバイスいたしますので,お気軽にご相談下さい。





▼参考記事
・保険会社に治療費の支払いを打ち切ると言われた場合の対応を教えてください。
・交通事故と物損Q&A
・交通事故と治療Q&A

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)
| 治療費 |

交通事故に遭った直後は,痛いところがありませんでしたが,翌日以降に首が痛くなってきました。このような場合にも,後遺障害が認定される可能性はあるのでしょうか?

2018年05月21日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故に遭った直後は,痛いところがありませんでしたが,翌日以降に首が痛くなってきました。このような場合にも,後遺障害が認定される可能性はあるのでしょうか?

あります。このような場合,むちうち(頸椎捻挫,外傷性頸部症候群)である可能性が高いです。むちうちになると,14級もしくは12級の認定を受けられる可能性があります。




 交通事故 : むちうち 




◆むちうちとは




交通事故に遭うと,いわゆる「むちうち」になることが多いです。

むちうちというのは俗称であり,「頸椎捻挫」「外傷性頸部症候群」といった傷病名になることが多いです。重傷のケースでは,バレー・リュー症候群や神経損傷を伴うケースもあります。


むちうちになると,以下のような症状が出ます。

・腕や首のしびれや痛み,
・肩こり
・背中の痛み
・めまい,耳鳴り
・吐き気
・頭重感


たとえば,自動車同士が衝突した事故を例にしますと,衝突の衝撃で,頸部が,過屈曲・過伸展をして不自然な形にゆがみます。
これが原因で軟部組織や末梢神経が損傷し,各種の症状が出ます。


また,むちうちになった場合,受傷直後は痛みやしびれなどの症状が出ないことも多いです。交通事故直後は,興奮状態になって痛みなどを感じにくくなるということもあるようです。

そこで,ご相談のように,交通事故時に痛みがなくても,翌日や翌々日くらいに痛みやしびれなどを感じることがあります。その場合,交通事故を原因としたむちうち症になっている可能性が高いので,早めに整形外科を受診すべきです。

早い段階で整形外科を受診しないと,事故と受傷の因果関係を否定されて,治療費の賠償等を受けられなくなったり,後遺障害認定を受けられなくなったりすることもありますから,注意が必要です。









◆むちうちで認められる後遺障害の等級




むちうちになった場合,リハビリを続けても,完治せずに痛みやしびれなどの不快な症状が残ってしまうことがあります。その場合,後遺障害認定を受けられる可能性があります。

認定される可能性のある等級は,12級または14級です。

12級が認定されるのは,MRIなどの画像診断により,明確に異常を確認できる場合です。むちうちの場合,レントゲンやCTよりもMRIが有効です。12級になると,裁判基準の後遺障害慰謝料は290万円ですし,逸失利益も請求できます。

画像診断によって異常を確認できない場合でも,症状を合理的に説明できると判断された場合には,14級の認定を受けられる可能性があります。14級の場合では裁判基準の後遺障害慰謝料は110万円ですし,逸失利益も請求できます。


むちうちで後遺障害認定を受けるためには,まずは人身事故として届出を行い,必要な治療を継続して,適切な方法で後遺障害等級認定請求をすべきです。

後遺障害に認定されるべき症状が残ったことと,その症状が適切に後遺障害等級に認定されることは同じではありません。

弁護士がサポートすると,適切な等級認定を受けやすくなりますので,交通事故でむちうちになったと思われる場合,お早めに弁護士までご相談下さい。





▼参考記事
・むちうちで14級9号が認定されるポイントを教えてください
・交通事故に遭い,病院で治療していたら,お医者さんから「あなたは普通の人より首が長いから症状が重いのかもしれない。」と言われました。賠償に影響がありますか?
・むちうちと交通事故

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故の政府保障事業について教えていただけますか?

2018年05月18日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故の政府保障事業について教えていただけますか?

政府保障事業とは,交通事故の加害者が自賠責保険に加入していない場合や,ひき逃げなどで加害者が不明な場合に,政府から最低限の保障(てん補金)を受け取れる制度です。支払基準は自賠責保険と同じです。




 交通事故 : 政府保障事業 




◆自賠責保険から保険金を受け取れない場合




交通事故に遭った被害者は,多くの場合,加害者の任意保険会社と示談交渉をして,賠償金を受け取ることになります。

相手が任意保険に加入していない場合であっても,最低でも「自賠責保険」から損害賠償金を受けることができるのが通常です。自賠責保険に加入していない車を運転することは禁止されているからです。


自賠責保険に加入しないで運転をすると,罰則が適用されます。

このように,自賠責保険を強制加入にしているのは,交通事故被害者への最低限の保障のためです。このことにより,交通事故が起こったとき,被害者は,最低限必ず加害者の自賠責保険からの損害賠償金を受け取ることができます。

しかし,中には法律を破り,自賠責保険に加入しないで自動車を運転している人がいます。
また,ひき逃げなどで加害者が不明な場合には,加害者の自賠責保険に対するを請求することができません。


このような事故のケースでは,被害者は,加害者の自賠責保険から保険金を受け取ることができず,救済を受けられません。








◆政府保障事業とは



このように,加害者の自賠責保険を利用できない場合に被害者を救済するための制度が,政府保障事業です。

政府保障事業では,被害者が加害者の自賠責保険に請求できない場合において,政府が代わりに被害者に最低限の保障をすることになっています。

政府保障事業が被害者に支払うお金のことを「てん補金」といいます。てん補金の計算基準や支払われる金額は,自賠責保険と同じです。







◆政府保障事業の利用方法



政府保障事業の申請を受け付けているのは,全国にある各損害保険会社です。そこで,政府保障事業を利用したい場合には,損害保険会社の窓口に行きましょう。

申請書の一式を受け取って自宅で作成し,損害保険会社の窓口に提出します。
すると,損害保険料率算出機構で調査が行われ,国土交通省にて,てん補金の金額が決定されて,窓口となった損害保険会社に通知があります。

すると,被害者にも連絡があり,指定した口座宛に,決定したてん補金が振り込まれることになります。


なお,政府保障事業で被害者に支払われたお金は,後に加害者に対して求償されます。


以上のように,交通事故で加害者が無保険(自賠責保険にも加入していない)の場合にも,政府保障事業を利用すると,最低限の保障を受けることができます。申請方法が分からない場合,弁護士がサポートすることもできますので,気軽に相談してみて下さい。





▼参考記事
・交通事故の加害者が逃げてしまいました。加害者が誰であるか分かりません。何か方法はありますか?
・警察や相手方との対応
・交通事故で怪我をした場合いつ弁護士に相談すべきか?

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故の加害者が不起訴になりましたが,納得できません。加害者が罰金の略式命令を受けたことが納得できないときは何か方法はありますか?

2018年05月17日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故の加害者が不起訴になりましたが,納得できません。加害者が罰金の略式命令を受けたことが納得できないときは何か方法はありますか?

不起訴処分に納得できない場合には,検察審査会に審査申立てをすることができます。
罰金刑を受けて確定したときには,審理のやり直しはできません。確定前であっても,被害者からの不服申立て手段はありません。





 交通事故 : 不起訴 




◆不起訴処分とは




交通事故の加害者には「過失運転致死傷罪」「危険運転致死傷罪」などの犯罪が成立することがあります。

その場合,捜査が行われ,捜査が進むと,検察官が加害者を起訴するか不起訴にするか決定します。
起訴されたら,加害者は刑事裁判の被告人となり,裁判で裁かれることになり,最終的には,有罪であれば処罰されます。

これに対し,不起訴になると,加害者の事件は刑事裁判になりませんし,加害者が処罰されることもありません。

刑事的には,不問に付されることになってしまいます。








◆検察審査会への申立て




このような不起訴処分に納得できない被害者の方も多いと思います。

その場合,検察審査会に対し,審査の申立てをすることができます。

検察審査会とは,犯罪の被害者や告発人が、検察官による不起訴処分が不当であると申し出たときに,起訴が相当であるかどうか審査する機関です。

検察審査会に審査請求できるのは,告訴人や告発人です。
検察審査会を組織するのは,選挙権を持つ国民から選ばれた11人の検察審査員です。
申立てを受けると,検察審査会はその事件について審査を行い,起訴が相当かどうか,判断します。

検察審査会が「起訴相当」と判断した場合,検察官は,被疑者を起訴するかどうか,再検討しなければなりません。検察官が再度不起訴にした場合,検察審査会は,2度目の審査をすることができます。

2度目の審査においても8人以上の検察審査員が「起訴」と決定した場合には,検察官の意図にかかわらず,被疑者が強制的に起訴されます。このとき,被疑者を訴追するのは検察官ではなく,指定弁護士となります。

このように,交通事故で被疑者が不起訴になって不満があるならば,まずは管轄の検察審査会に対する審査申立てをするという方法があります。








◆略式命令を受けたら,更なる刑罰を与えることはできない




検察審査会への申立てができるのは,起訴前に限られます。

刑事手続には「一事不再理」という法的な決まりがあり,いったん刑事裁判を受けた場合には,同じ事件で再度刑事裁判にすることはできないことになっています。

たとえ略式命令であっても,裁判を受けて処罰された以上,一事不再理がはたらいて,再度審理することは認められません。

略式命令に不服があれば正式裁判請求という手続によることができますが,この請求ができるのは,被告人と検察官だけです。


交通事故の被害者は,加害者の刑事事件との兼ね合いでも慎重な対応が必要となるケースがあります。対応に迷われたときには,弁護士までご相談下さい。





▼参考記事
・交通事故の知識〜損害賠償額の計算方法〜
・警察の対応に納得がいかないのですがどうすればよいですか?
・交通事故の被害者ですが,加害者からの謝罪がありません。どうしても謝罪してもらいたいのですが,どうすればよいですか?

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故の死亡逸失利益についてです。交通事故被害に遭った時点で被害者は老齢年金受給可能な年齢になっていませんでしたが,受給可能な年齢になってから年金請求をしたならば,確実に受給できました。この場合,労働逸失利益のほか,年金逸失利益も賠償の対象になりませんか?

2018年05月16日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故の死亡逸失利益についてです。交通事故被害に遭った時点で被害者は老齢年金受給可能な年齢になっていませんでしたが,受給可能な年齢になってから年金請求をしたならば,確実に受給できました。この場合,労働逸失利益のほか,年金逸失利益も賠償の対象になりませんか?

この場合,年金逸失利益も損害賠償の対象になる可能性が高いです。




 交通事故 : 年金逸失利益 




◆死亡逸失利益には,年金も含まれることがある




交通事故で被害者が死亡すると,「死亡逸失利益」を加害者に対して請求することができます。

死亡逸失利益とは,生存していれば得られたのに,被害者が死亡してしまったことにより得られなくなってしまった収入のことです。

後遺障害が残った場合には,年金受給権が失われないので逸失利益は認められませんが,死亡すると,その後年金を受け取れなくなりますので,逸失利益が認められます。


ただし,どのような年金であっても逸失利益が認められるわけではありません。
年金に逸失利益が認められるかどうかは,以下のような観点から判断されます。

@年金の給付目的が,受給者の生活維持のみか,遺族の生活維持も目的としているか
A保険料の支払いをしたのは受給者本人か(年金受給に対価性があるか)
B年金給付の確実性








◆逸失利益として認められる年金



上記のような基準があるので,そもそも,逸失利益の認められる年金が限られます。

老齢年金(老齢基礎年金,老齢厚生年金)や障害年金(障害基礎年金,障害厚生年金),退職年金,労災の障害補償年金,障害特別年金については逸失利益性が認められますが,遺族年金(遺族基礎年金,遺族厚生年金)については逸失利益性が否定されます。

老齢年金や障害年金は,受給者のみならず遺族の生活維持も目的としたものであり,受給者本人が保険料を支払って対価性があります。

これに対し,遺族年金は,受給者に一身専属的なものであり,受給者自身が保険料を支払っておらず,対価性がないとの理由で,逸失利益性を否定されています。







◆受給前の年金に逸失利益性が認められるケース



それでは,年金受給前に死亡したケースでも,年金が逸失利益として認められるのでしょうか?

まず,死亡時に受給資格があった場合には,将来年金を受け取ることが確実といえます。

そのため,特に受給開始までの期間が短い場合には,逸失利益性が認められやすいです。ただ,受給が可能になるまでの年数があまりに大きい場合は認められないことが多いです。

受給開始までの期間が短く逸失利益として認められても,死亡時から受給開始年齢までの年金保険料を控除される可能性はあります。また,60〜67歳までの労働による死亡逸失利益を請求する場合,働いている間の年金支給停止も考えないといけないので,その分も減額されます。

死亡当時に年金受給資格がなかった場合には,逸失利益性が否定されることが多いです。

本件では,「受給開始年齢になったら確実に年金を受給出来るはずだった」ということですので,受給に必要な保険料を払い込んでいたと考えられます。そこで,年金逸失利益が認められる可能性が高いといえます。








▼参考記事
・交通事故に遭い,後遺障害14級9号(局部の神経症状)と認定されました。逸失利益の計算はどのようにすればよいですか?
・破産手続準備中に交通事故に遭いました。破産しても,賠償してもらうことはできますか?
・賠償金額の基準に注意!

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故の逸失利益の労働能力喪失期間について質問です。よく「平均余命の半分」といいますが,平均余命が「17.22年」とか「12.14年」などとなっている場合,「平均余命の半分」は,具体的にはどうなりますか?

2018年05月15日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故の逸失利益の労働能力喪失期間について質問です。よく「平均余命の半分」といいますが,平均余命が「17.22年」とか「12.14年」などとなっている場合,「平均余命の半分」は,具体的にはどうなりますか?

このように,平均余命の半分について小数点以下が発生するときには,小数点以下を切り上げて計算します。




 交通事故 : 逸失利益 




◆労働能力喪失期間とは




交通事故に遭うと,「逸失利益」という損害が発生することがあります。

逸失利益とは,交通事故で後遺障害が残ったことや死亡したことにより,将来得られるはずだったのに得られなくなってしまった収入のことです。

後遺障害が残ると,労働能力が低下した分,生涯年収が低下すると考えられますし,死亡すると,それ以降の収入を一切得られなくなってしまうので,そういった減収分を損害として相手に請求できるのです。

このときに問題となるのは「労働能力喪失期間」です。減収が発生するのは,労働能力を失った期間である労働能力喪失期間に限られるからです。

一般的に,労働能力喪失期間は,67歳までと考えられています。ただ,すでに高齢となっている労働者の場合には,67歳までとすることが不合理であるケースも考えられます。

その場合には,「平均余命の2分の1」を労働能力喪失期間として,逸失利益を計算します。
平均余命とは,「その年齢の人が,平均してあと何年生きるか」という年数です。
厚生労働省が発表している簡易生命表により,決定します。








◆平均余命の2分の1の計算方法



ところが,簡易生命表を見ると,平均余命は,小数点以下2ケタまで記録されています。
これを2分の1にすると,さらに細かい小数点以下の数値が発生してしまいます。
この場合,小数点以下をどのように処理するかが問題です。

小数点以下を切り上げると労働能力喪失期間が長くなり,被害者にとって有利になりますが,反対に,小数点以下を切り下げると加害者側に有利になります。

四捨五入する考え方もありますし,もしくは,小数点以下を月数や日数に直して正確に計算することも,一応考えられます。


結論として、平均余命の2分の1を計算するときには,小数点以下は切り上げて計算するのが通例です。

たとえば75歳男性の平均余命は12.14年ですが,その2分の1(労働能力喪失期間)を計算するときには,6.07を切り上げて7年とします。

このように,逸失利益の計算で重要な「平均余命の2分の1」の考え方についても,実務上用いられている算定方法があります。

交通事故に遭って適切な賠償金を計算するために,まずは一度,弁護士までご相談下さい。





▼参考記事
・交通事故の年金逸失利益とは何ですか?
・絶対失敗しない事務所の選び方
・交通事故のよくある質問

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

高次脳機能障害による社会的行動障害における医学的リハビリテーションとは何ですか?

2018年05月14日
このエントリーをはてなブックマークに追加

高次脳機能障害による社会的行動障害における医学的リハビリテーションとは何ですか?

高次脳機能障害で社会的行動障害が認められる場合は、簡単な目標と計画、実行を繰り返して、不適切な言動が現れないように訓練する医学的リハビリテーションを行います。





 高次脳機能障害 : 社会的行動障害 




◆生きやすさの鍵は社会的行動障害の改善



社会的行動障害は、交通事故が原因の高次脳機能障害で良く発症する後遺症の一つですが,本人が後遺症を自覚していない一方で周囲に迷惑をかけてしまい、結果的に多くの人を巻き込んで社会に大きな影響をおよぼす後遺症です。

社会的行動障害を改善するリハビリテーションは、高次脳機能障害の人の生活の質を高めて尊厳を維持することになるので、非常に重要な取り組みとなります。

つまり、社会的行動のリハビリテーションが成功すれば、高次脳機能障害の人が、より生きやすさを感じることを意味します。







◆社会的行動障害の主な症状



社会的行動障害という後遺症は、ひとことで言うなら、人格の変化という言葉で表すことができます。
高次脳機能障害になる前とは、まったく違った人格が現れるのが、社会的行動障害の特徴ですが、これから述べる症状のすべてが現れるわけではありません。

感情をコントロールできなくなり(感情失禁)、ふさわしくない場面で笑ったり怒ったりします。
時には、感情を爆発させて暴れ、暴力を伴うこともあります。
その反対に、意欲が低下して何も行動を起こそうとしない抑うつの状態になるケースもあります。
欲求を抑えられず、むやみに食べ続けたり、必要のない物品を購入する行動を伴うこともあります。






◆社会的行動障害に対する効果的なリハビリテーション



高次脳機能障害による社会的行動障害に人にリハビリテーションを行うには、環境を整えることが重要です。

情報量を限定し、多くの人が周囲にいない落ち着いた環境づくりをします。
社会的行動障害の人は、インプットする情報量が多すぎると症状が悪化するので、疲れないような静かな環境を作りましょう。

リハビリテーションは、到達しやすい目標を定め、計画を立てて計画を実行するといった訓練を行います。
このリハビリテーションは、目標にゴールすることだけでなく、その過程で適切な態度や言葉遣い、行動が取れるかどうかが評価されます。

ですから、リハビリテーションの最中に、患者さんが社会的行動障害が原因と思われる適切でない言動を取った場合、リハビリテーションは中断され、患者さんにリハビリテーションの場から離れてもらうか、担当者がいなくなります。
このようにして、自分が取った行動とそれに対する評価を知ることで、より適切な行動を取ることを覚えていきます。



問題解決のための行動は、患者さんにひとりで考えさせるのではなく、リハビリテーション担当者も一緒になって、問題解決のための行動を検討します。






▼参考記事
・交通事故による高次脳機能障害で,障害者手帳は申請できますか?
・交通事故問題解決の流れ
・交通事故と弁護士費用特約のすべて

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

高次脳機能障害による注意障害における医学的リハビリテーションについて教えていただけますか?

2018年05月11日
このエントリーをはてなブックマークに追加

高次脳機能障害による注意障害における医学的リハビリテーションについて教えていただけますか?

高次脳機能障害で注意障害になると、間違い探し、パズル、ゲーム、課題を与えて調べてもらうなどの医学的リハビリテーションを行います。





 高次脳機能障害 : 注意障害 




◆注意障害は気づきにくい後遺症



交通事故による高次脳機能障害による後遺症のひとつに、注意障害があります。
注意障害の症状はさまざまで、患者さん自身やそのご家族が、注意障害に気付かないこともあります。

注意という言葉には、気を配る、気を付けるといった意味があります。
注意障害になるということは、すなわち、周囲に気を配ったり、気を付けて行動することができなくなるということです。

つまり,注意ができなければ、社会生活を送ろうとすると、周囲と対立し、衝突が起こることが増え、生きづらさを感じるようになります。

しかし、家族は、この人は昔からこういう性格だったと思っていたり、事故によるショックで落ち込んでいるだけで、じきに治ると信じたりするので、注意障害の発見が遅れることが良くあります。






◆注意障害による主な症状



注意障害になると、次のような症状が現れます。


・自分が置かれている状況を判断しないで行動するので、周囲に驚かれたり迷惑がかかる。
・他の人に興味を持ってつきまとう。
・やるべき作業に集中して長時間取り組むことができない。
・落ち着きがない。
・横になったまま動かないなど、活動性が低下して、ぼうっとしている時間が長い。








◆注意障害に効果的なリハビリテーション



注意障害の患者さんに対して行うリハビリテーションは、間違いさがし、パズル、トランプなどのゲーム、電卓を使った計算などがあります。
さらに高度な認知を伴う作業としては、電話帳を調べる、郵便番号を調べる、交通路線を調べるなどの訓練を行うこともあります。

一般に、高次脳機能障害を発症した人に対するリハビリテーションは、可能な限り早期に始めるべきだというのが定説ですが、注意障害に関してはその限りではありません。
なぜなら、高次脳機能障害になった直後は、意識障害を起こしていることが多いからです。

意識障害があり、注意障害も疑われる場合は、意識障害から回復してから、注意障害改善のためのリハビリテーションを検討します。


訓練の初期には、個室でリハビリテーションを行います。
この時期は、あまり強い刺激を与えない方が良いので、担当スタッフは決まった人が行い、与える課題は、短期間で無理なくこなせる簡単なものが中心となります。
やがて、高次脳機能障害の人が、与えられた課題をクリアできるようになると、より大きな負荷を与えるリハビリテーションを導入します。

つまり、特定のスタッフではなく、複数のスタッフによるリハビリテーションプログラムを組んだり、マンツーマンのリハビリテーションではなく、グループによるリハビリテーションをします。

複数の人と一緒にリハビリテーションをする、リハビリテーションの時間ごとに違う担当者が来るといった環境は、高次脳機能障害で注意障害になった人に、より多くの負荷を与えますが、それでも注意を維持できるようになれば、注意障害が改善されていることを意味します。







▼参考記事
・交通事故で高次脳機能障害になったことに気が付くまで
・高次脳機能障害による遂行機能障害を克服して,仕事を再開することはできますか?
・交通事故と治療Q&A

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で高次脳機能障害になった人の医学的リハビリテーションとは何ですか?

2018年05月10日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故で高次脳機能障害になった人の医学的リハビリテーションとは何ですか?

交通事故で高次脳機能障害になった人に対して医療施設内で行うリハビリテーションが、医学的リハビリテーションです。





 高次脳機能障害 : 医学的リハビリテーション 




◆医学的リハビリテーションプログラムとは?




医療機関が、交通事故などで高次脳機能障害になった人に
行うリハビリテーションのことを医学的リハビリテーションと言います。

医学的リハビリテーションを行うにあたっては、医師だけでなく、さまざまな専門職がチームに加わる必要があります。

それらの専門職は、常に顔を合わせて一緒に仕事をしているとは限りませんので、一般的には以下のようなプロセスでリハビリテーションを行います。


まず、リハビリテーションの到達目標を定めて、プログラムを立案します。
次に、専門職がリハビリテーションを実施します
一定の期間を経たところで、リハビリテーションチームが顔を合わせてカンファレンスを開き、リハビリテーションの結果を評価します。

到達目標に対してどの程度クリアできたか、プログラムは適切だったかなどを評価した結果、必要であれば、リハビリテーションプログラムを変更します。
そして、新しいリハビリテーションプログラムを実施します。

立案・計画→実施→評価→計画の見直し・立案→実施→再評価・・・というサイクルは、高次脳機能障害の人がその医療機関でリハビリテーションを受けている間、続きます。








◆記憶障害に対するリハビリテーション




高次脳機能障害における記憶障害は、入院中に患者さんと病院スタッフが行う会話でもある程度わかりますし、記憶検査を行って、記憶障害の種類を特定することもあります。

高次脳機能障害の患者さん自身が、記憶障害に気付いていないことも珍しくありません。

見たり聞いたりしたことを忘れてしまい、次に同じ経験をしたときに、初めて見た、初めて聞いたと感じることがありませんか?

それをもっとひんぱんに繰り返すのが記憶障害であり、自分が忘れっぽくなったという認識を持てないのです。

医療スタッフは、高次脳機能障害の人に対して、記憶障害のリハビリテーションを受ける必要性を理解してもらうように努める一方、家族が患者本人に対してリハビリテーションの必要性を説くことも重要です。


記憶障害に対するリハビリテーションの目標は、高次脳機能障害によって低下した記憶力を改善することですが、残念ながら完全に元通りに記憶力が回復することはむずかしく、生活するにあたって混乱をおこさずに社会に適応できるようになることを長期目標として、リハビリテーションを行います。

記憶障害が元通りに治らなくても、まめにメモを取って、だいじなことを忘れないように努力するといった代替手段(だいたいしゅだん)も、記憶障害をカバーする方法として有効です。






▼参考記事
・交通事故に遭い,高次脳機能障害で精神障害者保健福祉手帳を申請する際に,条件などあるのでしょうか?
・交通事故が原因で高次脳機能障害を発症しました。職場復帰における問題点は何ですか?
・自転車での交通事故の解決について

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 >
プロフィール
よつば総合法律事務所
千葉県最大級の法律事務所。弁護士16名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
柏事務所:千葉県柏市(柏駅徒歩3分)
千葉事務所:千葉市(千葉駅徒歩3分)

千葉で交通事故に強い弁護士の無料相談サイト

メールでのお問い合わせ
2018年 05月 >>
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
最新記事