交通事故の高次脳機能障害の半側空間無視とはどのようなものでしょうか?

2018年07月17日
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交通事故の高次脳機能障害の半側空間無視とはどのようなものでしょうか?

交通事故で高次脳機能障害になると半側空間無視になることがあります。半側空間無視は、脳の広い範囲の障害によるものと考えられています。





 交通事故による高次脳機能障害:半側空間無視はなぜ起きる? 




◆半側空間無視で困ること




交通事故で高次脳機能障害になると、半側空間無視(はんそくくうかんむし)が起きることがあります。

左半側空間無視の患者さんが、右半側空間無視の患者さんより多く見られます。

半側空間無視になると、、自分の片側にあるものがまるで存在しないように行動します。

視覚に問題が起きたわけではないので障害物が見えないはずはないのですが、体の片側にある障害物を無視して歩くので、ものにぶつかったりして危険です。

左半側無視の人は、食卓で自分の左側に置かれたおかずが、あたかもないもののようにふるまって、自分の右側にあるおかずしか食べません。
左半側無視の人に左側から声をかけると、あきらかに聞こえているのに、まるで聞こえていないように無視されることもあります。

このように、半側無視の人は日常生活を送る上でさまざまな不便を感じることになります。








◆半側空間無視のメカニズム



高次脳機能障害の後遺症の一つである半側無視は、損傷した大脳半球の反対側に現れますが、脳の病巣は脳の狭い範囲に限ったものではないという考えが一般的です。



つまり、もっと広い範囲で脳の機能が低下したために半側空間無視が起きるというわけです。

さらに、半側空間無視が起きるメカニズムについては、いくつかの説があり、まだ原因が完全に究明されてはいません。

主な説を紹介します。



【空間表象説(くうかんひょうしょうせつ)】

私たちは、写真を見なくても良く知っている場所や建物などを頭のなかでイメージできます。
半側空間無視の人は、頭の中でイメージしても半側空間無視が起こります。

そして、実験の結果、建物を見る方向を変えても半側空間無視が起きていることがわかりました。

この実験の結果から、わたしたちの頭の中には,左右の空間を投影するスクリーンのような機能があって立体的な映像を認知しているのだという空間表象説が唱えられました。

例えて言えば、3D映画のスクリーンが頭の中にあるにもかかわらず、高次脳機能障害の人は、脳の障害によってスクリーンの片側だけ映らなくなってしまったというわけです。




【注意不均衡説(ちゅういふきんこうせつ)】

脳は、もともと右と左に対する注意の度合いが同じでなくアンバランスであるという仮説に基づいているのが、注意不均衡説です。

健康な人の脳では、左右の脳のアンバランスを大脳右半球と左半球がコントロールしています。

しかし、右半球に障害が起きると、右半球が左半球を抑制しきれなくなるので、左半球が右側へ強い注意を向けるようになり、左半側無視が起きるという考え方です。



【注意・覚睡障害説(ちゅうい かくすいしょうがいせつ)】

前頭葉や辺縁系(へんえんけい)、空間を認知する脳神経のネットワークなど、脳の広い部分に障害が起きて半側空間無視を発症するという説です。








▼参考記事
・交通事故に遭うと,視覚に異常が出ることがありますか?
・自転車での交通事故の解決について
・交通事故のよくある質問

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(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故に遭って高次脳機能障害になった場合,右脳と左脳が関係すると聞きました。どのような後遺症になりますか?

2018年07月10日
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交通事故に遭って高次脳機能障害になった場合,右脳と左脳が関係すると聞きました。どのような後遺症になりますか?

交通事故による高次脳機能障害は、右脳を傷つけると起きる左半側無視など、右脳と左脳の働きの違いによる後遺症を発症することがあります。





 交通事故による高次脳機能障害:右脳と左脳のお話 




◆脳神経が交差しているから体は反対側の脳の命令を聞く




高次脳機能障害は、交通事故やスポーツ中の事故などで脳を損傷したことが原因で発症しますが、その後遺症の一つである半側空間無視(はんそくくうかんんむし)は、右半球と左半球に分かれている大脳の片側を傷つけたことが原因で、傷ついた脳の反対側にあるものを無視するようになります。

脳神経は、頭から体に向かって伸びていますが、延髄(えんずい)と脊髄(せきずい)の境い目でいったん左右交叉(さゆうこうさ)します。

つまり,大脳の右半球から出た脳神経は体の左側へ、大脳の左半球から出た脳神経は体の右側へと伸びているのです。

この神経交叉があるために,大脳の左右の半球は、それぞれ反対側の半身の行動や感覚を支配することになります。

脳の右半球に怪我をした高次脳機能障害の人が左側にあるものを認識できなくなることがあるのは、そのような理由からです。









◆左脳が言語をコントロールしているが例外もある




左脳は言語的で観念的であり、右脳は非言語的と言われています。
言語と言えば、高次脳機能障害で良く見られる後遺症の一つに失語症があります。

失語症になると、言語障害が起きて、発話がうまくできない、流暢にしゃべるが、話す内容にとりとめがない、文法的に誤った言語を話すなどの症状が現れます。
その反対に発話が極端に少なくなることもあります。


左脳が損傷すると失語症になる可能性があるのは、脳のなかの言語をつかさどるエリアが傷付くためなのです。



一方では、脳の右半球に言語機能がある人や、右脳と左脳の両方に言語機能がある人も存在します。

特に、言語機能が右脳と左右の両方にある人は、女性に多い傾向があります。
高次脳機能障害で失語症を発症した患者のうち、男性より女性の方が言語機能を取り戻すことが比較的たやすいと言われるのはそのためではないかという説があります。

つまり,右脳と左脳、いずれの大脳半球を損傷しても、反対側の大脳半球が言語機能を補うことで、失語症からの回復が早いというわけです。
自分の脳はどちら側の大脳半球が言語機能をコントロールしているか想像するのも面白いですね。



なお、左脳は部分的、観念的であり、右脳は全体的、唯物的であると言われます。

人間は、ある時は部分的にものごとをとらえ、必要ならば全体的にものごとを考えます。
同じく、時に応じて観念的に考えることもあれば、冷静に唯物的に考える時もあります。

左脳派、右脳派という言い方を良く聞きますが、人は、右脳だけ、左右だけで生きているわけではありません。

右と左、両方の大脳半球がそれぞれの役目を果たした結果、その人なりの性格が生まれるのです。









▼参考記事
・家族が交通事故に遭いました。高次脳機能障害とコミュニケーション障害について教えてもらえますか?
・頭(脳)に怪我を負われた方の解決事例
・左利きと脳

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(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

私の父が交通事故で亡くなりました。加害者は,危険ドラッグを使用して,意識が混濁している状態で車を運転して,歩行中の父をはねたそうなのです。このような場合,通常の場合よりも慰謝料は増額しますか?

2018年07月02日
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私の父が交通事故で亡くなりました。加害者は,危険ドラッグを使用して,意識が混濁している状態で車を運転して,歩行中の父をはねたそうなのです。このような場合,通常の場合よりも慰謝料は増額しますか?

本件のように交通事故の態様が悪質な場合には,慰謝料が増額される可能性があります。






 交通事故 : 相手が悪質な場合の慰謝料 




◆慰謝料の基準




交通事故で被害者が死亡すると,遺族は加害者に対して「死亡慰謝料」を請求することができます。
死亡慰謝料とは,被害者が死亡したことによって発生する慰謝料です。


死亡慰謝料には基準となる数値があります。

慰謝料は,被害者が受けた精神的苦痛に対する賠償金ですが,被害者がどのような方であっても死亡によって受ける精神的苦痛は大きくは変わらないはずです。そこで,死亡慰謝料は,被害者の年齢や性別,仕事内容や収入などには無関係に一律で計算されます。


ただし,被害者に遺族や被扶養者がいた場合には,そういった方の精神的苦痛も斟酌されるので,慰謝料が高めになります。


死亡慰謝料の基準の数値は以下の通りです。

●一家の支柱 2800万円程度
●配偶者,母親 2400万円程度
●独身者,未成年者 2000~2200万円程度









◆慰謝料の増額事由




それでは,死亡事故ではどのようなケースでも上記で紹介した程度の慰謝料しか発生しないのでしょうか?

たとえば本件のご相談のように,相手が危険ドラッグを服用していて意識混濁状態で運転した場合など,交通事故の態様が非常に悪質なケースでも通常の事故と同じ程度の慰謝料しか認められないのかが問題です。


過去にも,以下のような裁判例があります。
加害者が飲酒運転をしており,高速道路を逆走して交通事故を起こした事案において,3600万円の死亡慰謝料が認定されました。(東京地裁平成15年3月27日交通事故民事裁判例集36巻2号439頁)。

飲酒運転で対向車線に入り,被害者に衝突して死亡させた事案で,加害者は救護活動もしませんでした。

このケースでは,被害者本人の慰謝料2600万円と妻と母親の慰謝料をそれぞれ500万円として,合計3600万円の死亡慰謝料が認められています(東京地裁平成16年2月25日自保ジャーナル1556号13頁)。



以上のように,交通事故の態様が悪質である事案では,3000万円を超える死亡慰謝料が認められたケースもあります。特に近年では危険運転に対する社会の目も厳しくなっており,慰謝料が高額になりやすい傾向があります。




交通事故の相手が悪質で,提示された慰謝料の金額に納得できないケースでは,示談に応じる前に弁護士に相談してみて下さい。





▼参考記事
・交通事故の慰謝料が増額される場合は,どのような場合ですか?
・歩行中の被害者が遷延性意識障害により1級1号の認定を受け約1億1000万円を獲得した事例
・横断歩道上で発生した死亡事故について裁判で3320万円の賠償が認められた事例

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故の逸失利益の生活費控除の計算の際に,別居している子供が被扶養者に含まれることはありますか?

2018年06月25日
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交通事故の逸失利益の生活費控除の計算の際に,別居している子供が被扶養者に含まれることはありますか?


被害者が別居の子どもや親に扶養料を支払っていた場合,子どもや親を被扶養者に含め,生活費控除率を下げて計算される可能性があります。




 交通事故 : 逸失利益の生活費控除 




◆生活費控除とは



交通事故で被害者が死亡すると「死亡逸失利益」を請求できます。死亡逸失利益とは,被害者が死亡したことによって得られなくなった将来の収入(失われた利益)です。


死亡逸失利益を計算するときには「生活費控除」を行う必要があります。

死亡すると将来の収入は得られなくなりますが,反対に将来の生活費がかからなくなるためです。
そこで,必要だったはずの生活費を損害から差し引くということをします。「生活費控除」といいます。










◆基準となる生活費控除率




死亡逸失利益を計算するときの生活費控除率については,被害者の性別や被扶養者の有無などに応じ,一応の基準があります。


具体的には,以下のとおりです。


●男性の場合(独身者,未成年者など) 50%
●女性の場合(独身者,主婦,未成年など) 30%




被害者が一家の支柱だったケースでは,以下の通りとなります。

●被扶養者が1人の場合 40%
●被扶養者が2人以上の場合 30%










◆別居の子どもや親に扶養料を支払っている場合




上記のように,被害者に「被扶養者」がいると生活費控除率が下がりますが,この場合の「被扶養者」は,同居しているものでないといけないのでしょうか?

被扶養者がいるために自分のために生活費を使えないという状況は,被扶養者と同居していても別居していても同じことです。
そのような考慮から,別居していたとしても,被扶養者がいて実際に扶養料を負担していたのであれば生活費控除率を下げるべきであると考えられます。




たとえば以下のようなケースでは,独身者の1人暮らしなどであっても生活費控除率を下げるべきです。

【離婚して子どもの養育費を支払っている】

離婚したときに妻が子どもを引き取り,夫が養育費を負担しているケースがあります。
そのようなときに夫が交通事故で亡くなった場合には,独身男性の生活費控除率基準である50%ではなく,30〜40%の生活費控除とします。


【親に生活費を送金している】

親と別居しているけれども毎月継続的に生活費を援助していた息子が交通事故で死亡した場合などには,独身男性の生活費控除率の一応の基準である50%より少ない生活費控除率を用いて逸失利益を計算すべきです。




以上のように,死亡逸失利益の計算の際には,形式的に基準をあてはめることが妥当でないケースもあります。対応に迷われた場合には,お気軽に専門の弁護士までご相談下さい。





▼参考記事
・交通事故の被害に遭い,後遺障害に認定されましたが,示談前に被害者が事故とは関係のない別の原因で死亡してしまいました。逸失利益に影響はありますか?
・よつばの 交通事故への「想い」と「こだわり」
・交通事故・注目の裁判例

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故の逸失利益部分の損害賠償請求権は,いつから消滅時効の期間が計算されるのでしょうか?

2018年06月21日
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交通事故の逸失利益部分の損害賠償請求権は,いつから消滅時効の期間が計算されるのでしょうか?

交通事故の逸失利益には後遺障害逸失利益と死亡逸失利益があります。
それぞれの消滅時効の起算点と期間は以下のとおりです。

●後遺障害逸失利益は「症状固定日の翌日から3年間」
●死亡逸失利益は「死亡日の翌日から3年間」







 交通事故 : 逸失利益部分の損害賠償請求権の消滅時効 




◆交通事故損害賠償と消滅時効




交通事故が発生すると,さまざまな損害が発生するため,被害者は加害者に対して損害賠償請求をすることができます。

ただし,損害賠償請求権には「消滅時効」が適用されます。


交通事故の損害賠償請求権は,不法行為にもとづく損害賠償請求権ですが,消滅時効の起算点と期間は以下のとおりです。

「損害及び加害者を知ってから3年間」(民法724条)


そこで,逸失利益についても上記の「損害及び加害者を知ったとき」から3年間が経過すると,消滅時効にかかって権利が消滅します。









◆後遺障害逸失利益について



それでは,具体的に「いつから」3年間経過すると時効消滅するのでしょうか。
まずは後遺障害逸失利益についてお書きします。

損害及び加害者を知ったときというのは,損害額と加害者が確定的に明らかになり,損害賠償請求ができるようになった時点です。

後遺障害の場合には,後遺障害の内容が確定しないと損害内容が明らかになりません。

後遺障害の内容が確定するのは「症状固定」した時点であると考えられています。したがって,基本的に後遺障害逸失利益は「症状固定」したときから3年間を計算します。


ただし,民法には「初日不算入」というルールがあり,初日を計算に入れずに期間計算をしますので,実際には「症状固定日の翌日」から3年間経過した時点で時効消滅することになります。








◆死亡逸失利益について



死亡逸失利益についてもみてみましょう。

死亡事故の場合,死亡による損害が確定するのは被害者が死亡したときです。

そこで,死亡逸失利益の損害賠償請求権は,死亡時から3年間で消滅することとなりそうです。

ただしこの場合にも初日不算入のルールが適用されるので,実際には「死亡日の翌日」から3年間を計算することになります。









◆ひき逃げ事故で加害者が不明なケース




交通事故では,ひき逃げなどで加害者が不明なケースがあります。この場合には,損害確定しても加害者が明らかにならない限り,消滅時効期間が進行しません。


損害が確定した後加害者が判明した場合は,加害者が判明してから3年間の時効期間を計算することとなります。




以上のように,交通事故の損害賠償請求権には消滅時効が適用されるので,時効消滅する前に早めに請求すべきです。弁護士に依頼すると,よりスムーズに進められますのでご遠慮なくご相談下さい。





▼参考記事
・会社役員が交通事故に遭った場合,後遺障害逸失利益はどうなりますか?
・交通事故の逸失利益
・逸失利益と男女

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

家族が交通事故に遭いケガをしました。ライプニッツ係数という言葉を聞いたことがあるのですが,どのような意味なのでしょうか。また,民法改正でライプニッツ係数にも影響があるのでしょうか?

2018年06月19日
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家族が交通事故に遭いケガをしました。ライプニッツ係数という言葉を聞いたことがあるのですが,どのような意味なのでしょうか。また,民法改正でライプニッツ係数にも影響があるのでしょうか?

ライプニッツ係数は,逸失利益などの将来の損害を先に受け取る場合に調整をするための数値です。現在は法定利率である5%が基準となっていますが,民法改正によって3%となり,その後も変動するので,改正後は現在とライプニッツ係数の数値が大きく変わってきます。




 交通事故 : ライプニッツ係数の意味と改正民法 




◆ライプニッツ係数とは




交通事故で逸失利益や将来介護費用などを計算するとき「ライプニッツ係数」という数字が登場します。

日頃あまり聞き慣れない言葉ですが,どういったものなのでしょうか?

ライプニッツ係数は,「中間利息」を控除するための数字です。

逸失利益や将来介護費用は,本来であれば,示談後も毎月毎年,定期的に発生していくものです。
しかし,交通事故で示談をするときには,逸失利益や介護費用を定期金払にせずに先に一括払いします。このように将来発生する分の支払を先に受けた場合,被害者は,本来受け取れないはずの「運用利益(利息)」を得ると考えられています。

そこで,その運用利益を差し引くために,ライプニッツ係数という数字を使って調整を行っているのです。









◆民法改正とライプニッツ係数




ライプニッツ係数は中間利息を控除するための係数ですから,「利率」がいくらになっているのかによって変わってきます。

このとき,民法の定める「法定利率」を利用します。現在の民法における法定利率は年5%です。

しかし,改正民法では,法定利率が3%に下がります。また,その後は3年ごとに経済情勢などに応じて法定利率を見直すこととされているため,ライプニッツ係数も,法定利率に応じて変動するようになります。

改正民法施行時は年3%なので,当面は年3%を適用してライプニッツ係数を算出することになるでしょう。









◆新民法施行後に適用される法定利率




新民法が施行された後には法定利率が変動しますが,適用される法定利率は「交通事故発生時」の利率となります。

そこで,事故発生後示談成立までに法定利率が変わったとしても,事故発生時の利率を適用することとなります。


以上のように,改正民法の施行後は,「いつ交通事故が発生したのか」によって逸失利益や将来介護費用の金額が変わってくる可能性が高いです。


逸失利益や将来介護費用は非常に高額になるケースも多いので,正しく計算する必要があります。
対応に困られた場合や損害額を適切に計算する方法を知りたい場合には,お気軽に弁護士までご相談下さい。






▼参考記事
・交通事故の死亡逸失利益の計算における生活費控除率とは何ですか?
・交通事故の損害賠償で将来介護費を請求します。ライプニッツ係数を使って計算する方法を教えてください。
・交通事故と慰謝料のすべて

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故の逸失利益はどのような計算式で算出されるのでしょうか?

2018年06月18日
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交通事故の逸失利益はどのような計算式で算出されるのでしょうか?

交通事故の逸失利益には後遺障害逸失利益と死亡逸失利益があります。それぞれの計算式は以下の通りです。

・後遺障害逸失利益=
基礎収入×労働能力喪失率×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

・死亡逸失利益=
基礎収入×(1−生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数





 交通事故 : 逸失利益の計算式 




◆後遺障害逸失利益と死亡逸失利益




交通事故の逸失利益には,後遺障害逸失利益と死亡逸失利益の2種類があります。

後遺障害逸失利益は,後遺障害が残ったことによって発生する減収に対する賠償の趣旨です。

死亡逸失利益は,被害者が死亡した場合に得られなくなってしまった将来分の収入(減収)を賠償する趣旨です。


後遺障害逸失利益も死亡逸失利益も,計算するときには「基礎収入」を基準とします。
基礎収入とは,原則として,交通事故前の年収のことです。









◆後遺障害逸失利益の計算方法




後遺障害逸失利益の計算の際には「労働能力喪失率」を考慮します。

労働能力喪失率とは後遺障害によって減少した労働能力の割合です。

後遺障害の等級により,労働能力喪失率が変わり,等級が高くなるほど(後遺障害の程度が重くなるほど)労働能力喪失率も上がります。

また,ライプニッツ係数を使って「中間利息」を控除しなければなりません。
逸失利益を受け取るときには,本来定期的に発生する将来の減収分を一括で前払いするので,運用利益相当額を控除する必要があります。



以上をまとめると,交通事故の後遺障害逸失利益の計算式は,以下の通りとなります。


【後遺障害逸失利益=基礎収入×(各等級の)労働能力喪失率×就労可能年数に対応する
ライプニッツ係数】











◆死亡逸失利益の計算方法




死亡逸失利益の場合にも,基本となるのは基礎収入です。


死亡すると完全に労働能力が失われるので,後遺障害とは異なり,労働能力喪失率は問題になりません。ただ,死亡後には被害者の生活費がかからなくなりますので,生活費を控除する必要があります。生活費控除率はケースにもよりますが,30〜50%程度です。

そして,死亡逸失利益についても将来分を先に受け取ることになるのでライプニッツ係数を適用して数値を調整します。


以上をまとめると,交通事故の死亡逸失利益の計算式は以下のとおりとなります。


【死亡逸失利益=基礎収入×(1−生活費控除率)×就労可能年数に対応する
ライプニッツ係数】




後遺障害逸失利益も死亡逸失利益も,計算すると数千万円以上の高額な数値になるケースも多く,被害者にとっては正確に計算することが重要です。



交通事故に遭った際,逸失利益の計算方法が合っているかどうかわからない場合や適切に逸失利益の請求を行いたい場合には,一度専門の弁護士までご相談下さい。





▼参考記事
・交通事故ブログ:逸失利益
・逸失利益・基礎収入について(裁判基準)
・逸失利益・就労可能年数について(裁判基準)

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

私の父は交通事故に遭い,後遺障害が残りました。労働能力喪失期間を67歳までとして,後遺障害の逸失利益が計算されて,示談に至り,示談金が支払われました。その直後,父は心筋梗塞で死亡してしまいました。この場合,支払済みの逸失利益を返還する必要はありますか。

2018年06月15日
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私の父は交通事故に遭い,後遺障害が残りました。労働能力喪失期間を67歳までとして,後遺障害の逸失利益が計算されて,示談に至り,示談金が支払われました。その直後,父は心筋梗塞で死亡してしまいました。この場合,支払済みの逸失利益を返還する必要はありますか。

既に支払われた逸失利益を返還する必要はありません。




 交通事故 : 逸失利益を返還すべきか? 




◆逸失利益とは




交通事故で被害者に後遺障害が残ると,加害者に対して「後遺障害逸失利益」という損害費目の賠償を請求することができます。


後遺障害逸失利益とは,後遺障害が残ったことによって労働能力が低下するために発生する将来の減収分です。
後遺障害が残ると,労働能力が低下し,減収が発生すると考えられます。そこで,その分を損害として相手に請求できるのです。


後遺障害逸失利益は,就労可能年数分を計算します。

一般的に就労可能年数は67歳までとされているので,労働能力喪失期間は67歳までの期間を基準とします。

本来,後遺障害による減収は,毎月毎年個別に発生していくものですが,交通事故の損害賠償の場面では,そうした定期的な支払は行われず,一括払が行われています。いわば,先払です。









◆逸失利益は交通事故発生時に確定している




それでは,今回のように,逸失利益の支払を受けた後に被害者が交通事故とは別原因で死亡した場合,支払を受けた逸失利益を返還しなければならないのでしょうか?


結論として,そのようなことはありません。

逸失利益は「交通事故が発生した時点」において就労可能年数に対応する分が損害として確定していると考えられるためです。

つまり,後遺障害が残る程度の交通事故が発生したのであれば,その時点で後遺障害逸失利益は確定的に発生していると理解されています。その後に何らかの事情で被害者が死亡することがあっても,逸失利益が減額されることはありません。

これは,示談成立や判決確定,支払の前後を問いません。




交通事故の逸失利益を計算するときには,専門の法律知識が必要となります。正しい考え方が分からない場合,お気軽に弁護士までご相談下さい。





▼参考記事
・交通事故の被害に遭い,後遺障害に認定されましたが,示談前に被害者が事故とは関係のない別の原因で死亡してしまいました。逸失利益に影響はありますか?
・私の勤務先の定年は65歳です。就労可能年数を67歳までとすることに問題はないのですか?
・逸失利益・基礎収入について(裁判基準)

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交通事故に遭いました。人身傷害保険に加入しているのですが,保険会社から人身傷害保険を使うか聞かれました。こちらの損害賠償を先に進めるか,人身傷害保険を使うかで悩んでいるのですが,両者の関係はどのようなものなのでしょうか?

2018年06月14日
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交通事故に遭いました。人身傷害保険に加入しているのですが,保険会社から人身傷害保険を使うか聞かれました。こちらの損害賠償を先に進めるか,人身傷害保険を使うかで悩んでいるのですが,両者の関係はどのようなものなのでしょうか?

人身傷害補償保険と損害賠償金の両取りは基本的にはできません。ただし,人身傷害保険を先に受け取ると,後にするよりも総受取額が上がる可能性があります。




 交通事故 : 人身傷害補償保険と損害賠償金 




◆人身傷害補償保険とは




人身傷害補償保険に加入していると,交通事故の被害に遭って負傷したり死亡したりすると「人身傷害補償保険」から保険金を受け取れます。


人身傷害補償保険は,加入者やその家族などに死傷の結果が発生したときに保険金が支払われる保険です。


人身傷害補償保険は,被害者が加入している保険会社から支払われる保険金です。事故の加害者や加害者の保険会社から支払われる損害賠償金とは別のものです。









◆人身傷害補償保険と損害賠償金の関係




人身傷害補償保険を利用すると,損害賠償金とは別に保険金を受け取れるので,人身傷害補償保険の分,受取総額が上乗せされるのでしょうか?


実際にはそのような扱いにはなっていません。


人身傷害補償保険は交通事故によって被害者が受け取れるお金(利益)ですが,このような「事故に起因する利益」については,損害賠償金から差し引くべきと考えられています。約款にもその趣旨が記載されています。
こうした考え方のことを「損益相殺」といいます。


そのため,交通事故に遭ったとき,人身傷害補償保険金の総額+損害賠償金の総額の全額を総取りすることは不可能です。








◆人身傷害補償保険を先に受け取った場合




ただし,被害者に過失がある場合には人身傷害補償保険に加入しているとメリットを受けられます。


人身傷害補償保険を先に受け取ると,人身傷害補償保険の受取金は「被害者の過失割合の部分」に先に充当されます。このことにより,被害者の過失部分についての金額まで受けることができます。

たとえば被害者に2割の過失割合がある場合,相手から受け取れる損害賠償金は総損害額に対して2割減になってしまいますが,人身傷害補償保険がその部分に充当されますので,人身傷害補償保険と損害賠償金を合計すると,被害者は総損害額の10割に相当する金銭を受けることができるのです。







◆人身傷害補償保険を後で受け取った場合




これに対し,先に損害賠償金を受け取ると異なる結果となります。先に損害賠償金を受け取る場合,過失相殺によって被害者の過失割合の分,賠償金が減額されますが,人身傷害補償保険からは,「すでに受けとった損害賠償金」が控除されます。


すると,結局は過失相殺を適用した分の損害賠償金しか受けとることができなくなってしまう可能性が高くなります。

人身傷害補償保険が先なら,上記のように被害者の過失割合の分も受け取れる可能性があるので,損害賠償金を先に受け取ると,損になります。






以上のように,被害者に過失がある場合,人身傷害補償保険を先に請求した方が得になる事例が多いです。交通事故の保険についてご不明な点がある場合には,お気軽に弁護士までご相談下さい。





▼参考記事
・交通事故に遭いました。私は,搭乗者傷害保険に加入していますが,どのような補償が受けれますか?
・過失割合について納得がいかないのですがどうすればよいですか。
・交通事故と治療Q&A

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故に遭い,現在,整形外科に通院していますが,保険会社から一括対応できない病院ですとの連絡がありました。この場合,自分で治療費を負担しなければいけませんか?

2018年06月12日
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交通事故に遭い,現在,整形外科に通院していますが,保険会社から一括対応できない病院ですとの連絡がありました。この場合,自分で治療費を負担しなければいけませんか?

このような場合には,被害者が自分で治療費を支払って通院し,後に保険会社に対して治療費を請求する必要があります。




 交通事故 : 病院が一括対応に応じない場合 




◆一括対応とは




この事案では,保険会社から「一括対応できない」といわれていますが,そもそも一括対応とはどういったことなのでしょうか?


一括対応は,自賠責保険の負担分についても任意保険会社が窓口となって支払を行うことです。


交通事故による治療費は,自賠責保険に納まる額は自賠責保険が負担し,それを超える部分は任意保険が負担することになります。ただ,被害者が自賠責保険と任意保険にばらばらに治療費を請求するのは大変なので,多くの場合,任意保険が「一括対応」します。

一括対応が行われると,任意保険会社が自賠責保険の負担分も含めて直接病院に対して治療費を支払うので,被害者が病院に治療費を支払う必要はありません。









◆治療費は後から請求できる




しかし,任意保険会社による一括対応に対応しない病院があります。そうした病院に対しては,任意保険会社が直接病院に治療費を支払うことができません。

また,任意保険会社の方から一括対応を拒絶されたり,途中までは一括対応していても一定期間が経過すると,任意保険会社の方から治療費支払を打ち切られたりするケースもみられます。なお,任意保険会社に一括対応すべき法的義務があるわけではありません。

このように,一括対応してもらえなくなったら,被害者は病院の窓口で,自分で治療費を支払わなければなりません(労災の対象となるときは別です。)。


ただ,被害者が自分で病院に治療費を支払ったとしても,それが事故と因果関係のある治療である限り,その負担した分については,最終的には相手の任意保険に請求できます。治療費は,交通事故によって発生した損害であり,加害者はその損害を賠償すべき義務を負っているからです。

任意保険会社と示談交渉を進め,一括対応後の治療費も賠償に含めることを求めることになります。任意保険会社が応じなかったときは,紛争処理センターや裁判所の利用も視野に入ってきます。









◆健康保険を利用して通院する




交通事故の被害者が病院で治療を受けようとすると,健康保険を適用しないという病院があります。

交通事故被害者に健康保険を適用できないという制度や法律はないので,任意保険会社が一括対応しないときは,健康保険をつかって治療し,窓口での負担を軽減するようにするのが賢明です(労災がつかえるときは別です。)。





このように,交通事故では任意保険の「一括対応」に関連してトラブルが発生するケースがあります。お困りの場合には,弁護士までご相談下さい。





▼参考記事
・交通事故に遭って怪我をしました。しかし,任意保険会社が,私の過失が大きいからといって治療費の対応をしてくれません。どうするのがよいですか?
・事故直後・症状固定前から相談可
・鍼灸・マッサージ費用・器具薬品等について(裁判基準)

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)
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