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交通事故知識ガイド損害賠償の知識

示談交渉のポイント

最終更新日:2023年4月12日

監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 大澤 一郎

保険会社が提示する補償案は適正な金額ではないことが多いです。
この記事では被害者の方にむけて、適正な金額を確認したり補償額を増やしたりする方法などを、交通事故に詳しい弁護士がわかりやすくお伝えします。
なお、弁護士に依頼すると補償額が増えることが多いです。まずは弁護士へのご相談をお勧めします。

①事前に相場を把握する

交通事故の示談書
交通事故の示談交渉はある程度の相場があります。事前に相場を調べて理解しておきましょう。特に、入通院慰謝料、休業損害、通院交通費の相場を理解しておきましょう。また、後遺障害の可能性がある場合、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益の相場を理解しておきましょう。権威ある書籍は次の通りです。

②漏れやすい項目に注意する

漏れやすい損害項目

怪我をした事故の損害項目

損害項目は次の項目等です。保険会社の示談案から漏れていないか確認しましょう。

  • 怪我をした事故の場合
    治療費、(家族の)入院付添費、(家族の)通院付添費、入院雑費、通院交通費、休業損害、入通院慰謝料
  • 後遺障害が残る事故の場合
    逸失利益(将来の収入減)、後遺障害慰謝料
  • 重い後遺障害が残る事故の場合
    将来介護費、装具・器具等購入費、家屋改造費、自動車改造費

漏れやすい損害項目

主婦の休業損害、有給休暇分の休業損害、通院付添費、逸失利益が漏れやすいです。

  • 主婦の休業損害
    主婦の仕事ができない場合には休業損害が認められます。提示がゼロのことがあるので注意しましょう。

  • 有給休暇分の休業損害
    事故により有給休暇を利用した場合、有給休暇分の休業損害が認められます。請求しないとゼロになるので注意しましょう。

  • 通院付添費
    子供の通院に親が付き添った場合の費用です。原則1日3,300円です。

  • 逸失利益
    逸失利益は事故による今後の収入減の補償です。後遺障害申請が通った場合に補償対象となります。提示がゼロのことがあるので注意しましょう。

③増額の可能性が高い項目に注目する

入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、主婦の休業損害、逸失利益が増額の可能性が高いです。

  • 入通院慰謝料
    慰謝料には自賠責基準、任意保険基準、裁判基準の3つの基準があります。保険会社の提示は低額の自賠責基準の場合もあります。裁判基準に近づくよう交渉しましょう。

  • 後遺障害慰謝料
    入通院慰謝料と同じく、後遺障害慰謝料も裁判基準に近づくよう交渉しましょう。

  • 主婦の休業損害
    主婦の休業損害は、①家事ができない期間、②家事ができない割合で決まります。炊事・洗濯・掃除など個別にどのような症状がありできないか具体的に主張しましょう。書面にまとめて保険会社に送付することも効果的です。

  • 逸失利益
    逸失利益は、年収・年齢・後遺障害等級により金額が決まります。専門的な細かい計算となりますので、逸失利益の交渉が必要な場合は弁護士に相談すべきです。

④「論より証拠」

交通事故の交渉で大切なのは証拠です。事故状況、負傷状況、損害額が争いになる場合、証拠を集めましょう。次の証拠が特に重要です。

  • 事故状況の証拠
    ドライブレコーダー記録、刑事記録、第三者の目撃者の証言
  • 負傷状況
    診断書、診療報酬明細書、後遺障害診断書、レントゲン・MRI・CT等の画像所見、医師の意見書
  • 損害額の証拠
    源泉徴収票、確定申告書、決算書、休業損害証明書

⑤具体的な数字で交渉する

保険会社との交渉は補償額の交渉です。「慰謝料は〇〇円増額を要請する」という具体的な数字を出した交渉はスムーズに進む可能性が高いです。
他方、「加害者の態度に納得できない」「保険会社の対応が悪い」「とにかく増額を要求する」という抽象的な交渉はスムーズに進みにくいです。

⑥示談書作成前は慎重に検討する

示談書を一度作成した場合、示談のやり直しはできません。
示談書作成前には慎重に検討しましょう。
なお、示談書は、合意書・免責証書・承諾書という名前もありますが効果は同一です。

⑦弁護士に相談・依頼する

弁護士に相談すれば、保険会社の提示額の妥当性がわかります。
また、弁護士に依頼すれば保険会社の提示額が上がることが多いです。しかも、弁護士費用特約付の保険に加入している場合、通常は自己負担なしで弁護士に依頼できますし、保険料も上がりません。
そのため、示談前には弁護士に相談すべきです。また、弁護士費用特約付の保険に加入している場合、弁護士へ依頼すべきです。

⑧適切な期間の通院を行う

交通事故の慰謝料は、事故日から最終通院日までの通院回数や期間で決まることが多いです。そのため、治療に必要なら通院を継続することにより、慰謝料が増額する可能性があります。

⑨後遺障害申請を行う

「これ以上治療を続けても症状が改善しない、よくならない状態」(症状固定)になった場合、交通事故の治療は一度終了します。その後、症状が残っている場合、後遺障害申請を検討しましょう。

後遺障害申請が通った場合、後遺障害等級に応じて後遺障害慰謝料と逸失利益の支払があります。

⑩示談交渉でしてはいけないことに注意する

感情的になること、分からないことを即答してしまうこと、交渉経緯がわからなくなってしまうこと、時効になってしまうことをしてはいけません。

  • 感情的になってはいけません!
    保険会社担当者の対応が悪く感情的になることもあります。しかし、感情的に交渉して良い結果となることは経験上ほぼありません。保険会社の弁護士が出てきたり、保険会社が裁判を起こしてきたりと問題が複雑化します。冷静に対応しましょう。
  • わからないことに即答してはいけません!
    保険会社からの質問に即答する必要はありません。不正確な回答、自分の本意と異なる回答をすると後で後悔します。
    よくわからない場合、「調べてから後で回答します」と伝えましょう。
  • 交渉経緯がわからなくなってはいけません!
    交渉が続くと経緯がわからなくなることがあります。しかし、保険会社は交渉経緯を記録に残しています。自分だけ経緯がわからないのは不利です。交渉記録を残しておきましょう。①日時、②話した内容、③聞いた内容を記録することが望ましいです。
  • 時効になってはいけません!
    一定期間過ぎると請求ができなくなるのが時効制度です。交通事故による損害賠償請求の時効は、原則次の通りですので注意しましょう。
事故の種類 時効の起算点 時効期間
物損事故 事故の翌日 3年間
人身事故
(傷害のみ)
事故の翌日 5年間
人身事故
(後遺障害が残った)
症状固定日の翌日 5年間
死亡事故 死亡日の翌日 5年間
加害者が判明しない事故 事故の翌日 20年間
後日加害者が判明した場合
※いずれか早い方
加害者を知った日の翌日 5年間
事故の翌日 20年間

⑪まとめ

交通事故の示談交渉のポイントは次の通りです。

  • 事前に相場の金額を把握しましょう。
  • 漏れやすい項目に注意しましょう。
  • 増額の可能性が高い項目に注目しましょう。
  • 「論より証拠」です。事故状況、負傷状況、損害額の証拠を集めましょう。
  • 具体的な数字で交渉しましょう。
  • 示談のやり直しはできません。示談書作成前は慎重に検討しましょう。
  • 弁護士に相談依頼をしましょう。特に弁護士費用特約付保険に加入している場合、弁弁護士に依頼しましょう。
  • 適切な期間の通院を行いましょう。
  • 怪我が治らない場合には後遺障害申請を行いましょう。
  • 感情的になること、分からないことを即答してしまうこと、交渉経緯がわからなくなってしまうこと、時効になってしまうことなど示談交渉でしてはいけないことに注意しましょう。

(監修者 弁護士 大澤 一郎

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