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交通事故知識ガイド各損害の損害賠償基準の詳細解説

中間利息控除

最終更新日:2023年6月16日

監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 大澤 一郎

中間利息控除の損害賠償基準
逸失利益を計算するときは中間利息控除が必要です。中間利息控除ではライプニッツ係数を使います。

この記事では交通事故の被害者にむけて、中間利息控除の仕組みやライプニッツ係数を交通事故に詳しい弁護士がわかりやすく解説します。

なお問題が発生しそうなときは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。

中間利息控除とは

中間利息控除とは、逸失利益の計算で使う計算方法です。ライプニッツ係数という数字を使います。

逸失利益とは

後遺障害が認められると逸失利益が賠償対象となります。逸失利益とは事故によって今後減少するであろう収入です。
症状固定とは

逸失利益の計算式

逸失利益の計算式は次の通りです。

  • 基本の計算式
  • 労働能力喪失率
    後遺障害等級で原則決定します。たとえば、骨折で関節の動く角度に一定の制限がある12級であれば14%です。
  • 労働能力喪失期間
    67歳までの期間で原則決定します。たとえば、今37歳であれば30年です。

逸失利益の計算の事例解説

逸失利益の計算は複雑ですので具体的な事例でみてみましょう。次の被害者の事例です。

  • ①事故前年度の年収500万円の会社員。
  • ②ひざの骨折で関節が動きにくくなり後遺障害12級。12級の労働能力喪失率は14%。
  • ③37歳で事故の治療を終了。67歳まではあと30年。

この場合、次の計算式は間違いです。

× 500万円×14%×67歳までの30年=2100万円

次の計算式が正しいです。

〇 500万円×14%×30年のライプニッツ係数19.6004=13,720,280円

ライプニッツ係数を使う理由

【今もらう1万円】と【1年後にもらう1万円】は価値が違います。銀行に預ければ利息が増えます。【1年後にもらう1万円】より【今もらう1万円】の価値が高いです。

【逸失利益という将来の収入減】を【全額現金で今すぐ受領】するのが交通事故の賠償です。そのため、金額の調整が必要です。金額の調整のために行うのが中間利息控除です。計算に使うのがライプニッツ係数です。

ライプニッツ係数の具体的な計算方法

交通事故の損害賠償は現在年3%の利息で計算します。

今日もらう1万円を年3%で預けておくと1年後には10,300円になります。他方、1年後にもらう1万円を今の価値にすると9,709円です。9,709円を銀行に預けて年3%の利息がつくとちょうど10,000円だからです。

【計算式】9,709×1.03≒10000

2年目、3年目…と同じように計算していくとライプニッツ係数が出ます。ライプニッツ係数は計算が複雑なので一覧表があります。

ライプニッツ係数とは

ライプニッツ係数とは【将来もらうはずのお金】を【今のお金】に換算するための数字です。たとえば、1年後にもらえる1万円は今の価値だといくらになるかという数字です。具体的には年3%の利息を前提とすると、1年後にもらえる1万円は今の価値だと9,709円です。

【計算式】9,709×1.03≒10000

もし分かりにくい場合、【30年後にもらえる1万円】と【今もらえる1万円】はどちらがよいか考えてみましょう。今もらえる1万円がよいと感じるはずです。

【動画】交通事故のライプニッツ係数を弁護士がわかりやすく解説

(解説 : 弁護士 大澤 一郎)

中間利息控除の基準

では自賠責保険や裁判での中間利息控除の支払基準はどのようなものでしょうか?
自賠責保険では自賠責保険の支払基準の告示(金融庁)があります。
裁判では赤い本と青い本という裁判の基準をまとめた本があります。

赤い本の基準

  • 2020年4月1日以降に発生する交通事故の損害賠償請求について、中間利息控除に用いる利率は年5%ではなく年3%とする。
  • ライプニッツ式を採用する。

青い本の基準

  • 現在では全国的にライプニッツ式が採用されるようになっている。

基準の解説

年3%を元に中間利息控除を行います。具体的にはライプニッツ係数表を使います。

まとめ:中間利息控除

逸失利益を計算するときは中間利息控除が必要です。中間利息控除ではライプニッツ係数を使います。

(監修者 弁護士 大澤 一郎

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