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ここでは,自賠責保険において高次脳機能障害が認められるかどうかの判断基準について解説します。 |
交通事故によって高次脳機能障害が発生したというためには,頭部外傷による高次脳機能障害であることが必要です。頭部外傷と言えるためには,(1)外傷の際に脳が傷ついたこと,(2)訴える症状がその外傷によるものであることが必要です。
外傷の際に脳に傷が付いたかどうかを推定するためには以下の診断基準を用います。
(1)頭部外傷を負った際の患者の状況から推定する方法
(2)得られた検査画像から推定する方法
(3)頭部外傷による高次脳機能障害の状況を詳しく調べ,それが患者の実際の症状に一致しているかどうかを確認することが大切です。
自賠責保険においては,脳外傷による高次脳機能障害と診断するポイントとして,以下の4点が指摘されています。
(1)頭部外傷急性期における意識障害の程度と期間
(2)家族や実際の介護者や周辺の人が気づく日常生活の問題
(3)画像所見として急性期における何らかの異常所見,または,慢性期にかけての局所的な脳萎縮特に脳室拡大の進行
(4)頭部外傷がなく,又は頭部外傷があっても普段の日常生活に戻り,その後数ヶ月以上を経て次第に高次脳機能障害が発現したようなケースにおいて,外傷による慢性硬膜下血腫も認められず,脳室拡大の進展も認められなかった場合には外傷とは無関係に内因性の痴呆症が発生した可能性が高いと考えられる。
ここでは,交通事故の自賠責保険において高次脳機能障害がどのように扱われているかについて解説しました。交通事故において,高次脳機能障害が認められるか否かによって損害賠償額には相当額の差がでます。きちんとした専門医及び弁護士へのお問い合わせをお勧めします。
自賠責保険において高次脳機能障害が認められる場合,1級,2級,3級,5級,7級,9級,12級,14級の可能性があります。事故後できるだけ早い段階でご相談いただき,正しい治療方針を立てることにより,治療もすすみ,かつ,後遺障害の認定を受けることができる可能性が高くなります。
他の病気と異なり,高次脳機能障害はきちんとした検査・調査によって,大幅に等級が変わる可能性があります。高次脳機能障害と交通事故において診断された場合には,早急に詳しい弁護士へのお問い合わせをお勧めします。