損害賠償額の計算方法
「保険会社から示談の提案が来たけれど、見方が分からない」というご相談をよく頂きます。
保険会社から提示された示談の提案は、損害の項目ごとに個別に計算した金額が入っています。
交通事故の損害賠償金は、様々な損害項目を合算した数字ですので、はじめて示談書を見る方には難解であるのは、無理もありません。そもそも、損害項目の意味を理解するだけでも大変な労力です。
見方が分からなかったり、不満な点がある場合は、当事務所にご相談いただければ、項目を解説させて頂いた上で、交渉の余地があるかどうかも含めて、アドバイスさせて頂きます。
特に、後遺障害1級~14級が認定された場合には、損害項目の計算もより複雑になってきますので必ず弁護士に一度ご相談することをお勧めします。
下記には、保険会社が示談の提案をしてくる際の損害賠償額の代表的な項目に関する注意点を記載いたしたので、参考にしてください。
―――― 目次 ――――
賠償金額を計算する方法
- 交通事故の損害賠償には色々な損害項目があります。
- 色々な損害項目の計算を足し算していくことにより、総額が確定します。
- 保険会社から示談案が届いた場合、すぐに署名・捺印して返送はしないようにしましょう。漏れている損害項目や、増額の可能性がある損害項目があります。
人身事故の賠償額の損害項目
次のような損害項目が代表的です。
1. 治療費
- 必要かつ相当な実費全額について損害賠償が認められています。
- 必要性・相当性がないときは、過剰診療・高額診療として否定されることがあります。
- 過剰診療とは診療行為の医学的必要性または合理性が否定されるものをいいます。
- 高額診療とは診療行為に対する報酬額が特段の事情がないにもかかわらず社会一般の治療費水準に比して著しく高額な場合を言います。
2. 整骨院の施術費
- 症状により有効かつ相当な場合、ことに医師の指示がある場合などは認められる傾向にあります。
3. 温泉治療費
- 医師の指示があるなど治療上有効かつ必要がある場合に限り認められますが、その場合でも額が制限されます。
4. 入院中の特別室使用料(いわゆる室料差額、個室代)
- 医師の指示ないし特別の事情(症状が重篤、空室がなかった等)があれば認められます。
5. 症状固定後の治療費
- 一般に否定的に解される場合が多いですがその支出が相当なときは認められる可能性があります。
- リハビリテーションの費用は症状の内容・程度によります。
6. 将来の手術費・治療費
- 事案によって認められる可能性もあります。
7. 入院付添費
- 医師の指示又は受傷の程度・被害者の年齢等により必要があれば職業付添人の部分には実費全額、近親者付添人は1日につき6,500円が被害者本人の損害として認められることがあります。
- ただし、症状の程度により、また、被害者が幼児、児童である場合には1割から3割の範囲で増額が考慮されることがあります。
8. 通院付添費
- 症状または幼児等必要と認められる場合には被害者本人の損害として肯定されます。
- この場合1日につき3,300円が認められる可能性があります。
- ただし、事情に応じて増額が考慮されます。
9. 症状固定までの自宅付添費
- 事案によって認められる可能性があります。
10. 将来介護費
- 医師の指示又は症状の程度により必要があれば被害者本人の損害として認められます。
- 職業付添人は実費全額、近親者付添人は1日につき8,000円が認められる可能性があります。
11. 入院雑費
- 1日につき1,500円が認められることが多いです。
12. 症状固定後の将来の雑費
- 事案によって認められる可能性があります。
13. 通院交通費
- 症状などによりタクシー利用が相当とされる場合以外は電車、バスの料金が認められます。
- 自家用車を利用した場合には実費相当額が認められます。
- なお、看護のための近親者の交通費も被害者本人の損害として認められます。
14. 医師への謝礼
- 社会通念上相当なものであれば、損害として認められることがあります。
- なお、見舞客に対する接待費、快気祝等は道義上の出費であるから認められません。
15. 学生や生徒、幼児の学習費や保育費
- 被害者の被害の程度、内容、子供の年齢、家庭の状況を具体的に検討し、学習、通学付添の必要性が認められれば妥当な範囲で認められます。
16. 装具や器具の購入費
- 事案によって必要があれば認められます。
17. 家屋や自動車の改造費
- 被害者の受傷の内容、後遺症の程度・内容を具体的に検討し、必要性が認められれば相当額が認められます。
- 転居費用及び家賃差額が認められることもあります。
18. 葬儀関係費用
- 葬儀費用は原則として150万円まで認められます。
- 150万円を下回る場合には実際に支出した額が認められます。
- 香典や香典返しは無視をして計算します。
19. 損害賠償請求関係費用の損害賠償
- 診断書等の文書料、成年後見開始の審判手続費用、保険金請求手続き費用など必要かつ相当な範囲で認められます。
20. 弁護士費用
- 裁判の判決の場合、認容額の10%程度が事故と相当因果関係のある損害として認められます。
21. 遅延損害金
- 裁判の判決の場合、事故日から起算して認められます。
22. 休業損害
- 現状が給与所得者、事業所得者、会社役員、家事従事者、無職者、学生等によって個別に認められます。
23. 逸失利益
- 後遺障害の症状固定後の逸失利益の損害賠償請求の算定は、労働能力の喪失の程度、収入の変化、将来の昇進・転職・失業の不利益の可能性、日常生活上の不便等を考慮して認められます。
24. 入通院慰謝料・後遺障害慰謝料
- 事案によって一定の基準により認められます。
- 参考:交通事故と慰謝料の全て
各損害項目についての具体的なルール
- 過去の裁判例を元にして、ある程度具体的な内容が決まっています。「赤い本」と「青い本」という本にまとめられています。
参考:賠償額にかかわる「赤い本」と「青い本」 - 具体的な各損害項目のルールは次の通りとなります。
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