刑事裁判(手続)で意見を述べたい
刑事手続において,被害者の方は主に下記の場面で意見を述べることができます。
1 警察官による実況見分の際に意見を述べる
実況見分とは,事故直後,事故現場において,警察官が被害者や加害者から事故状況について聞き取りをして図面化・書面化するという現場検証作業です。
たとえば,いつ相手が視界に入ったのか,ブレーキを踏んだのはどの地点か,衝突した場所はどこか等について聞き取りが行われ図面化・書面化されます。
この際の注意点としては,必ず実況見分には立ち会うようにして,ご自身の意見が実況見分調書に反映されるようにしてください。
なぜなら,実況見分調書は,刑事裁判をはじめ,民事裁判や示談交渉においても,重要な証拠となるものであり,後にその内容を覆すことは極めて困難であるからです。
2 警察署や検察庁における聞き取りの際に意見を述べる
警察署や検察庁において,事故の経緯や事故時の状況,加害者に対する処罰感情等について聞き取りがなされ,書面化(供述調書化)がなされます。
この際の注意点としては,安易に妥協して,調書に署名・押印をしないことが大事です。警察官や検察官は加害者の聞き取りも行っており,被害者の方とは異なる認識で調書を作ってしまうことがあります。そのため,時間をかけてもよいので,作成された調書をよく確認して,少しでもご自身の記憶・主張と異なる点があれば,必ず訂正や追加を申し立ててください。
供述調書も実況見分調書とともに,裁判において重要な証拠となり,一度署名・押印した後,その内容を覆すことは極めて困難となるので,納得できない限り署名・押印はしないようにしてください。
3 検察官へ意見を伝える
刑事裁判においては,検察官に被告人を起訴する権限や,検察官が相当と考える刑罰の適用を裁判所に求める(求刑)権限があります。
そこで,検察官からの聞き取りの際,うまく伝えられなかった被害者の方の思い(処罰感情等)や意見を検察官に伝えることで,検察官の方針決定に影響を与えることができる可能性があります(特に検察官が起訴するか不起訴にするか迷っているとき等)。
伝え方としては,被害の程度が非常に大きいことや,加害者に反省の態度の有無等について,時系列に沿って詳細に書き,手紙として送付するとよいでしょう。
4 裁判の際,法廷において意見を述べる
現在,一定の犯罪の場合,被害者の方が公判期日に出席し,法廷で被告人(加害者)に対して質問をしたり,被害に関する心情や犯罪事実・法律の適用・求刑に関する意見を述べることができます。
その場合,弁護士に相談するか(国選弁護士をつけることができる場合もあります),または,検察官に対し,書面でも口頭でもよいので刑事事件手続へ参加したい旨を申立ててください。
なお,法廷で意見を述べる際,身近な人に付き添ってもらったり,被告人・傍聴人から被害者の方を見ることができないような措置をとってもらうことが可能な場合もあります。
いずれの場面においても,分からないことがある場合や迷った場合は,一人で悩まず,弁護士に相談するとよいでしょう。
【動画で見る交通事故】 刑事裁判における被害者参加について
今回は「刑事裁判における被害者参加について」を説明します。
(解説 川﨑翔)
ほかの動画を見る

