83. 誰だって初めての交通事故(弁護士 前原 彩)
「一生のうち,交通事故に遭う確率と宝くじに当たる確率を比べると,宝くじに当たる確率の方が高い」
こんなウワサ聞いたことありませんか?
私は高校生くらいの時に初めてこのウワサを聞きました。
昔から巷でまことしやかに流されているウワサだと思います。
では,本当のところはどうなのでしょうか。
だいぶ古いデータですが,国土交通省が2002年に示した資料によると,一生のうち交通事故に遭う人は2人に1人とのことです。 意外や意外,予想より多くの人が事故に遭うとの数字ですね。
しかし,裏を返してみれば「2人に1人の人は一生事故に遭うことはない」という数字ですし,上記の統計が交通事故の加害者になるパターンも含めた数字ですので,交通事故の被害者になる場合だとその確率はもっと下がります。
私たちが普段,交通事故のご相談をお受けしていても,ほとんどの人が初めての経験で,2回も3回も事故に遭う人はそうそういません。
そうすると,いざ交通事故に遭った場合,「自分がどうすればいいのか良くわからない!」という事態になりかねません。
誰だって初めての交通事故なのですから,事故に遭ったその後どうすればいいのかわからなくて当然です。
ところが,被害者になった方が事故のことについて話す相手はほとんど加害者の入っている保険会社の担当者です。
保険会社は交通事故の事故処理が日常業務であるゆえ,交通事故のことは熟知しています。
被害者は交通事故に遭うのが初めてで,他方,加害者(保険会社)は交通事故の処理は日常茶飯事。
これってすごく不公平だと思いませんか? また,交通事故と言っても,保険の種類や損害賠償金の基準など,実に様々な仕組みがあり,これが事故に初めて遭う被害者の方と,事故の処理は日常茶飯事の保険会社との情報格差をより一段と大きくしています。
そこで,被害者の方も,弁護士に相談するなどして,きちんと情報格差を埋める必要があります。
私たちはそのような被害者の方が「交通事故について知らなかった」がために損をする,ということが決してないよう,被害者の方に寄り添い,分かり易い説明を心がけて日々,交通事故の業務にあたっています。
今はネットに情報が溢れる時代になりましたが,交通事故の等級や賠償について説明しているサイトを見ると,私たち弁護士から見ると明らかに説明が間違っているサイトも良く目にします。
そういった誤った情報に基づく行動をしないためにも,事故にあったらまず弁護士に相談して,病院への通院の仕方や等級,賠償までの流れについて一度正確な情報を把握することをおすすめします。