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慰謝料について増額される場合  (弁護士 小林 義和)


0023s.jpg  今回は、一般的な基準よりも、増額される場合について述べていきたいと思います。
 交通事故においては、裁判所も一般的に採用としている基準として、日弁連交通事故相談センター東京支部が出している民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準という本(いわゆる赤本)に記載されている基準があります。
 
 その赤本には、慰謝料の基準や、逸失利益についての基準(労働能力がどの程度後遺症により失われたか、どれくらいの期間減収になるか等)が記載されています。
 しかし、それはあくまで一般的な基準であり、その基準よりも増額された金額が認められることもあります。
 
 まず、慰謝料について増額される場合ですが、赤本では、被害者が幼児を持つ母親であったり、仕事等の都合など被害者側の事情により特に入院期間を短縮したと認められる場合、入院待機中の期間及びギブス固定中当安静を要する自宅療養期間は入院期間とみて増額と記載されている。
 実際に私が取り扱った件でも、被害者の方が出産直後で自宅療養を強く希望し退院した場合に、上記増額主張をして交渉したこともあります。

 また、傷害の部位、程度によっては、20~30%程度増額するとも赤本には記載されています。
 例えば、私が取り扱った件でも、被害者の方が美容師をされていて、後遺症を利き腕に残された方については、職業上特に影響があるため、増額を主張していきました。

 その他、加害者が事故態様につき虚偽の事実を述べ、過失を否定したものの、あとでそれが虚偽とわかった場合に被害者の慰謝料増額が認められた判例もあります(福岡高裁平成27年8月27日判決)。
 また、逸失利益においても、赤本で一定の基準が定められています。

 しかし、ここでも後遺症が残った部位や仕事の内容によっては、増額事由が認められる可能性があります。
 例えば、上記美容師の方などは、利き腕が非常に重要な仕事であり、その腕に後遺症が残るということは他の職業の方に比べて特に、労働能力の低下が著しいといえると主張できる可能性があります。
 また、14級については、複数認定されても赤本上は14級とされます。ただ、1部位において14級認定がされることと、3部位がいずれも14級認定される場合とでは、慰謝料や逸失利益の労働能力喪失の利率についても、通常の感覚でも後者の方がより損害の程度は大きいと感じられるかと思います。そのような際も、具体的に主張していくことが大事です。実際に私の取り扱った事案でも,公平の観点からという点で増額を獲得した件もあり,判例でも増額を認めたものもあります。

 このように、慰謝料や逸失利益等で増額認定をとることは簡単ではありません。
 原則相手方は増額を否定してきますので、増額事由を具体的に主張・立証していく必要があります。

 ただ、被害者のお気持ちやご苦労されている点をどのようにすれば損害額において考慮されることができ、被害者の方が前向きに進んでいけるようになるのだろうということを、日ごろから考えながら取り組んでいきたいと考えています。  

よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」  ~「慰謝料について」編

■082  弁護士費用特約制度利用の現状(弁護士 加藤貴紀)
■081  交通事故における弁護士の役割(弁護士 加藤貴紀)
■078  死亡事故における慰謝料(弁護士 小林義和)
■077  死亡事故に場合における生活費控除率(弁護士 小林義和)
■066  後遺症(14級9号・12級13号)における逸失利益(小林義和)
■065  将来介護費について(弁護士 小林義和)
■043  休業損害・逸失利益について(弁護士 小林 義和)
■041  賠償の大きな要素 慰謝料について(弁護士 小林 義和)
■039  慰謝料について増額される場合 (弁護士 小林 義和)
■029  事故後すぐに生活の保障が必要な場合(弁護士 粟津正博)
■028  主婦としての休業損害(弁護士 粟津正博)
■027  慰謝料増額(弁護士 粟津正博)



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