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示談交渉の注意点

最終更新日:2024年7月30日

監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博

示談交渉の注意点
「示談交渉の流れがよくわからない。」
「提示された金額が適正か知りたい。適正でないなら弁護士に交渉を頼みたい。」
「保険会社の提示金額に納得できない。増額を求めたい。」

この記事では被害者の方に向けて、事故発生から示談成立までの流れ、示談交渉を有利に進めるポイントなどを交通事故に詳しい弁護士がわかりやすく解説します。

示談交渉は、弁護士が行うと適正かつ納得できる金額となることが多いです。悩んだら、交通事故に詳しい弁護士への相談や依頼をおすすめします。

1. 交通事故の示談とは

交通事故の示談書
交通事故における示談とは、被害者と加害者が話し合って、賠償金の額を決めることです。示談に向けた話し合いを示談交渉ともいいます。

加害者が任意保険に入っているときは、被害者は任意保険の担当者と話し合うことになります。

いったん示談が成立すると、後からその内容を変更することは原則としてできません。
示談内容に納得がいかない点や、不明点があるときは、安易に示談をしてはいけません。

2. 事故発生から示談成立までの流れ

加害者が任意保険に入っている場合、事故発生から示談までの流れは次のとおりです。

① 事故発生

事故がおきたら、まずは警察を呼びましょう。また、身体に痛みや違和感があるときは速やかに整形外科を受診しましょう。

② 治療

けがをしているときは必要な治療を行います。治療が終わってから示談交渉をスタートします。

けがをしていて後遺障害になりそうなときは、治療終了後に後遺障害を申請します。後遺障害等級が決まってから示談交渉をスタートします。

③ 保険会社からの示談提示

治療が終了したら、保険会社が書面にて示談金の提示をすることが多いです。

④ 被害者からの反論や交渉

示談提示を受けたら内容を確認しましょう。保険会社の提示は、あくまで保険会社の案です。不明点や納得いかない点があるときは、保険会社に伝えましょう。

もっとも、保険会社の提示案は被害者にとって適正な金額ではないことがほとんどです。反論や交渉をしましょう。よくわからないときは弁護士へ相談してみましょう。

弁護士に依頼したときは、弁護士が被害者を代理して交渉します。

⑤ 示談書への署名押印

示談の内容が決まったら、示談書を作成します。保険会社が示談書を作成し、被害者に郵送することが多いです。

被害者が内容を最終的に確認し、問題がなければ署名押印して返送します。返送後、保険会社から賠償金の振込があります。

3. 示談交渉で協議する内容

示談交渉では損害賠償金を決めるために必要な内容を話し合います。たとえば、治療費、交通費、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、逸失利益、過失割合などです。

けがをした場合

① 治療費

これまで保険会社が支払った治療費を確認します。立て替えている治療費があるときは、示談交渉時に保険会社に領収書などを送付して請求します。

② 交通費

通院で発生した交通費を請求します。タクシーや公共の交通機関の場合は実費、自家用車の場合はガソリン代として1kmあたり15円を請求します。

③ 休業損害

事故による症状や通院のため仕事を休んだときは、休業により発生した損害を請求します。

④ 入通院慰謝料

事故や入通院、症状に伴う精神的苦痛として慰謝料を請求します。

けがをして後遺障害が認定された場合

後遺障害とは、交通事故が原因で残ったけがのうち、申請をして認定された障害です。後遺障害が認定されると、後遺障害慰謝料と逸失利益を追加でもらえます。

① 後遺障害慰謝料

後遺障害に伴う精神的苦痛として、後遺障害慰謝料を請求できます。

② 逸失利益

逸失利益とは、事故によって今後減少するであろう収入のことです。将来の収入の減少や仕事上の不利益による損害を請求できます。

被害者にも過失がある場合

被害者にも過失があるときは、示談時までに過失割合を決めます。被害者の過失分は損害額から引かれます。

たとえば、損害額が200万円で被害者の過失が30%だったときは、もらえる金額は140万円です。

4. 示談交渉を有利にすすめるポイント

保険会社は被害者の味方ではありません。また、保険会社担当者は交渉のプロであるため、納得いく回答が得にくいときもあります。

示談交渉を有利に進めるためには、次のようなポイントに注意しましょう。

  1. ① 計算基準の違いに注意する
  2. ② 具体的な提案をする
  3. ③ 裁判例を踏まえた主張をする
  4. ④ 弁護士に相談する

① 計算基準の違いに注意する

交通事故の損害賠償の計算基準には次の3つがあります。

  • 自賠責保険の基準
  • 任意保険の基準
  • 裁判所の基準

一番低いのが自賠責保険の基準で、一番高いのが裁判所の基準であることが多いです。不当に低い計算基準で計算した金額での示談をしないよう注意しましょう。

② 具体的な提案をする

加害者や保険会社に対する不満や苦情を指摘するよりも、金額の提案を具体的にしたほうが示談交渉が進みやすいです。

具体的にいくらで示談可能なのか、その根拠は何なのかを指摘すると金額が増えやすいです。

③ 裁判例を踏まえた主張をする

示談交渉で争いになった項目は、過去の類似の裁判例を保険会社に指摘すると交渉がスムーズに進みやすいです。特に、過失割合や治療期間が争いになったとき等は、過去の類似の事例を探しましょう。

④ 弁護士に相談する

弁護士に相談すると、過去の類似の裁判例がわかります。また、弁護士が損害額を計算するときは一番高い基準である裁判所の基準で計算します。

そのため、示談交渉がはじまったら一度は弁護士に相談してみましょう。有利に交渉を進められることが多いです。

5. 示談書作成の注意点

一度示談書にサインをしたら、撤回することは原則できません。示談書作成前には次のような点に注意しましょう。

  1. ① 受領額に間違いはありませんか?
  2. ② 既払い金はあっていますか?
  3. ③ 過失割合や治療期間、後遺障害等級について不利な記載はありませんか?

① 受領額に間違いはありませんか?

示談書には、最終的に受け取る金額が書いてあります。これまで交渉した金額と相違がないかを確認しましょう。

② 既払い金はあっていますか?

示談書には、治療費や休業損害など保険会社が既に支払った額が書いてあることが多いです。保険会社が既に支払った金額を既払い金といいます。

既払い金が正しい金額になっているか確認しましょう。

③ 過失割合や治療期間、後遺障害等級について不利な記載はありませんか?

示談書には、金額だけではなく、過失割合や事故態様、治療期間、後遺障害等級などの記載もあることあります。金額以外の項目に、事実と異なる不利な記載がないか確認しましょう。

6. 示談交渉を弁護士に依頼するメリット

保険会社の担当者は示談交渉のプロです。示談交渉を有利に進めるためには弁護士への依頼を検討しましょう。弁護士に依頼すると次のようなメリットがあります。

① 心理的負担から解放される

弁護士に依頼後は、保険会社とのやり取りを弁護士が行います。保険会社と交渉する心理的負担から解放されます。

また、被害者自身が金額の計算をして、裁判基準や裁判例を調べる負担からも解放されます。

② 金額が増額する

自賠責保険か任意保険の基準で保険会社は損害額を計算してきます。

弁護士に依頼すれば、高い金額である裁判所の基準で弁護士は計算します。慰謝料等が増額することがほとんどです。

③ 適正な金額での解決ができる

治療期間や過失割合など争いになっている項目について、過去の類似の裁判例等を弁護士は調査・検討します。

そのため、弁護士に依頼すると、プロである弁護士が確認した適正な金額での解決ができます。

7. まとめ:まずは弁護士に無料相談

示談交渉とは、被害者と加害者が話し合って、賠償金の額を決める交渉のことです。

示談交渉は、治療が終わってからスタートします。けがをしていて後遺障害になりそうなときは、治療終了後に後遺障害を申請して、後遺障害等級が決まってから示談交渉をスタートします。交渉がまとまったら、示談書などの書面を作成します。

もっとも、示談交渉での保険会社の提示案は、被害者にとって適正な金額ではないことがほとんどです。

示談交渉は、弁護士がすれば適正かつ納得できる金額となることが多いです。悩んだら、まずは交通事故に詳しい弁護士への相談や依頼をおすすめします。

(監修者 弁護士 粟津 正博

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