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打ち切り対抗策

最終更新日:2023年4月12日

監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 大澤 一郎

保険会社が治療費打ち切りをしてきても、保険会社の言うとおりにする必要はありません。
この記事では被害者の方にむけて、治療費打ち切りになりにくい方法や打ち切りされた場合の対策を交通事故に詳しい弁護士がわかりやすくお伝えします。
なお、弁護士に相談すると今後の方針を決めることができますので、弁護士へのご相談もお勧めします。

治療費支払いの原則

交通事故の治療費
交通事故では保険会社が病院に治療費を直接支払うことが多いです。ただし、病院に治療費を直接支払うことは保険会社の義務ではありません。そのため、保険会社は事故から一定期間が過ぎると病院に治療費を支払うことを打ち切ります。
個別の状況次第ですが、打撲は1カ月、捻挫は3カ月、骨折は6カ月程度で打ち切り打診があることが多いです。

治療費打ち切りになりやすい場合となりにくい場合

治療費打ち切り
治療費打ち切りになりやすい場合、なりにくい場合は次の通りです。

治療費打ち切りになりやすい場合

  • 1カ月以上通院していない
  • 主治医が治療終了相当と考えている
  • 治療をしても症状が変わらない
  • 症状が悪化している
  • 事故直後にはなかった症状が後日出てきている
  • 症状に比べて通院回数頻度が極端に多い
  • 頚椎捻挫、腰椎捻挫、打撲、挫傷などの場合に事故から6カ月程度経過している

治療費打ち切りになりにくい場合

  • 主治医の意見が事故による治療がまだ必要という意見である
  • 症状が改善傾向である
  • 検査結果に異常がある
  • 「あと〇か月程度で治療終了見込」など終了見込がある

保険会社に打ち切りの延長を求める方法

主治医経由でお願いする方法

主治医にお願いをすると治療が継続できることがあります。次のようなお願いが望ましいでしょう。

  • 主治医にお願いして、治療費打ち切りが不相当であることを主治医経由で保険会社に電話や書面で説明してもらう。
  • 主治医にお願いして、診断書・意見書を作成してもらう。

主治医にお願いする場合、医師との良好な関係があることが前提です。初診から医師の指示に基づき治療・リハビリを続けると共に、症状を正確に医師やスタッフに伝えておきましょう。

保険会社と協議する方法

「あと〇か月程度で治療終了見込」など具体的な数字を出しての協議が望ましいです。具体的な治療終了時期の見込がある場合、保険会社が治療費の支払を継続する可能性があります。
また、①主治医も事故による治療が必要という認識であること、②治療・リハビリを継続することで治療効果が出ていること、③検査結果に異常が出ていること等を保険会社に伝える方法もあります。

弁護士に相談する方法

弁護士に相談することにより、打ち切り延長の作戦を立てることができます。具体的には、①弁護士が代理をして直接保険会社と交渉をする方法、②弁護士がサポートして被害者本人が保険会社と交渉をする方法があります。交通事故案件の経験が多い弁護士に相談しましょう。経験が少ない弁護士に相談・依頼すると話がこじれて大きなトラブルとなることがあります。

打ち切り後に治療を続ける方法

保険会社が治療費を打ち切りしても、治療を続けることは可能です。
交通事故と関係がある前提で治療する場合、①労災保険、②人身傷害保険、③健康保険を利用して通院できます。

労災保険を利用する方法

労災保険は勤務中や通勤中の事故で利用できる国の保険です。治療費支払のため利用できることがあります。職場や労働基準監督署に相談してみましょう。

人身傷害保険を利用する方法

人身傷害保険は自分の自動車保険の特約です。治療費支払のため利用できることがあります。自分の保険会社に確認をしてみましょう。

健康保険を利用する方法

健康保険は病院に行くときに通常使う保険です。交通事故でも健康保険は利用できます。「交通事故で健康保険は利用できない」との誤解が一部でありますので要注意です。

保険会社が治療費を打ち切りしても、労災保険、人身傷害保険を利用した通院ができることがあります。また、健康保険を利用した通院もできます。
なお、健康保険を利用した通院の場合、「事故を原因とする治療かどうか」が後日争いになる場合があります。主治医の意見を尊重しつつ治療を行いましょう。

打ち切りへの現実的な対応方法

治療費打ち切りとなる場合でも治療を継続することはできます。もっとも、多くの場合、治療費打ち切り後は後遺障害申請や示談交渉に進みます。
治療費打ち切り前後の対応で悩んでいる場合、交通事故の経験が多い弁護士への相談をお勧めします。

治療終了の判断の注意点

  • 治療終了までの期間で原則慰謝料が決まる
    事故から治療終了までの期間で慰謝料が原告決まります。治療期間が短いと慰謝料が少なくなりますので要注意です。

  • 6カ月以上の通院実績がないと後遺障害が認定されない
    頚椎捻挫・腰椎捻挫などは6カ月以上の通院期間がないと通常は後遺障害が認定されません。後遺障害を申請する場合、6カ月以上は通院しましょう。

  • 打ち切り後の治療費が自己負担となる可能性があります
    示談交渉や裁判の結果、打ち切り後の治療費を保険会社が支払うこともあります。他方、打ち切り後の治療費を保険会社が支払わず、自己負担となることもあります。

まとめ

  • 保険会社に病院への治療費支払を通院段階で強制させることはできません。
  • ①主治医経由、②被害者本人、③弁護士経由で治療費打ち切り延長を求める方法があります。
  • 治療費打ち切りとなった場合、①労災保険、②人身傷害保険、③健康保険を利用して通院を継続する方法があります。
  • 多くの場合、治療費打ち切り後は後遺障害申請や示談交渉に進みます。

(監修者 弁護士 大澤 一郎

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