葬儀関係費用
最終更新日:2024年7月22日
監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 大澤 一郎
死亡事故のときは葬儀関係費用が賠償の対象となります。上限150万円が多いです。
この記事では交通事故の被害者にむけて、葬儀関係費用の損害賠償のルールや過去の具体的な事例を交通事故に詳しい弁護士がわかりやすく解説します。
なお問題が発生しそうなときは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。
―――― 目次 ――――
葬儀関係費用とは
葬儀関係費用とは葬儀費用や葬儀に関連する費用です。たとえば次のような費用です。
- 葬儀費用
- 通夜や告別式で発生する葬儀関連費用
- 通夜や告別式以外の法要の費用
- 仏壇購入費用
- 仏具購入費用
- 墓碑建立費
- 遺体搬送料
- 遺体処置費
自賠責保険や裁判での葬儀関係費用の支払基準
では自賠責保険や裁判での葬儀関係費用の支払基準はどのようなものでしょうか?
自賠責保険では自賠責保険の支払基準の告示(金融庁)があります。
裁判では赤い本と青い本という裁判の基準をまとめた本があります。
赤い本の基準
- 葬儀費用は原則150万円。
- ただし、150万円を下回る場合には、実際に支出した額。
- 香典返しは損害と認めない。
青い本の基準
- 130万円から170万円。
基準の解説
葬儀関係費用として請求可能な損害
では葬儀関係費用として請求可能な損害にはどのような損害があるでしょうか?
次のような項目が請求可能です。
- 葬儀費用
- 通夜や告別式で発生する葬儀関連費用
- 通夜や告別式以外の法要の費用
- 仏壇購入費用
- 仏具購入費用
- 墓碑建立費
- 遺体搬送料
- 遺体処置費
賠償対象となる金額
葬儀関係費用は実額の賠償が原則です。実額が合計150万円を超えるときは賠償金額は150万円となることが多いです。遺体搬送費用や遺体処置費は150万円とは別に賠償請求できることがあります。
葬儀関係費用が賠償対象となった事例
では葬儀関係費用が賠償対象となった事例にはどのようなものがあるでしょうか?代表的なパターンをご紹介します。
葬儀費用150万円とは別に遺体搬送費用が賠償対象となった事例
次の理由で葬儀費用150万円とは別に搬送費97,200円が賠償対象となりました。
- 遺体搬送費用と葬儀費用は別の費用
(東京地方裁判所平成31年3月6日判決)
葬儀費用150万円とは別に遺体処置費用等が賠償対象となった事例
次の理由で葬儀費用150万円とは別に遺体処理費用と遺体搬送費用66万円が賠償対象となりました。
- 脳挫滅で即死
- 現場での遺体の状況を考慮
(横浜地方裁判所平成27年9月30日判決)
葬儀関係費用合計200万円が賠償対象となった事例
次の理由で葬儀関連費用200万円が賠償対象となりました。
- 会社員の50歳男性の死亡事故
- 遺体の運搬費用が高額となるため単身赴任先で葬儀を行う
- 改めて地元でも葬儀を行う
(大阪地方裁判所平成28年10月26日判決)
まとめ:葬儀関係費用
葬儀関係費用は次のような項目が請求可能です。
- 葬儀費用
- 通夜や告別式で発生する葬儀関連費用
- 通夜や告別式以外の法要の費用
- 仏壇購入費用
- 仏具購入費用
- 墓碑建立費
- 遺体搬送料
- 遺体処置費
賠償額は実額の賠償が原則です。実額が合計150万円を超えるときは賠償金額は150万円となることが多いです。
(監修者 弁護士 大澤 一郎)