損害賠償請求関係費用
監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 大澤 一郎
損害賠償請求をするための費用は賠償の対象となります。
この記事では交通事故の被害者にむけて、損害賠償請求関係費用の賠償のルールや過去の具体的な事例を交通事故に詳しい弁護士がわかりやすく解説します。
なお問題が発生しそうなときは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。
損害賠償請求関係費用とは
損害賠償請求を行うためには、書類を準備したり専門家に依頼したりする必要があります。そのため、次のような費用が発生します。
- 診断書作成費用
- 後遺障害診断書作成費用
- 診療報酬明細書発行費用
- 保険金請求手続費用
- 調査や立証の費用
- 印鑑証明書発行費用
- 住民票の発行費用
- 戸籍謄本の発行費用
- 交通事故証明書取得費用
- 刑事記録謄写費用
- 成年後見開始の審判手続費用や後見人報酬
- 弁護士費用
自賠責保険や裁判での損害賠償請求関係費用の支払基準
では自賠責保険や裁判での損害賠償請求関係費用の支払基準はどのようなものでしょうか?
自賠責保険では自賠責保険の支払基準の告示(金融庁)があります。
裁判では赤い本と青い本という裁判の基準をまとめた本があります。
赤い本の基準
- 診断書等の文書料、保険金請求手続費用など、必要かつ相当な範囲で認める。
青い本の基準
- 調査・立証費用などを認める。
基準の解説
損害賠償請求関係費用の賠償には一律の基準はありません。たとえば、次のような費用が損害賠償の対象となります。
- 診断書作成費用
- 後遺障害診断書作成費用
- 診療報酬明細書発行費用
- 保険金請求手続費用
- 調査や立証の費用
- 印鑑証明書発行費用
- 住民票の発行費用
- 戸籍謄本の発行費用
- 交通事故証明書取得費用
- 刑事記録謄写費用
- 成年後見開始の審判手続費用や後見人報酬
損害賠償請求関係費用が賠償対象となった事例
では損害賠償請求関係費用が賠償対象となった事例にはどのようなものがあるでしょうか?代表的なパターンをご紹介します。
診断書費用が賠償対象となった事例
次の理由で死体検案料や死体検案診断書代、検案往診料43,200円が賠償対象となりました。
- 死亡事故
- 実際に費用が発生
(大阪地方裁判所平成30年12月20日判決)
医師の意見書作成費用が賠償対象となった事例
次の理由で医師への相談料7万円、意見書作成費用30万円、カルテ開示費用5万円の合計42万円が賠償対象となりました。
- 遷延性意識障害や四肢弛緩性麻痺の75歳(後遺障害1級)
- 後遺障害やリハビリテーションの方法に関して医師に相談して意見書を作成
(大阪地方裁判所平成27年5月27日判決)
成年後見報酬が賠償対象となった事例
次の理由で成年後見報酬323万円が賠償対象となりました。
- 高次脳機能障害の41歳(後遺障害1級)
- 弁護士成年後見人が選任
- 過去の報酬として883,000円が発生
- 今後平均余命39年間月額2万円の報酬が発生
- 計算にあたっては中間利息を控除
(東京地方裁判所平成29年4月13日判決)
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目撃者探索のための看板代が賠償対象となった事例
次の理由で目撃者探索のための看板代7万円が賠償対象となりました。
- 死亡事故(24歳)
- 目撃情報の提供を求める看板の制作を注文
- 目的者が看板を見た
- 目撃者が目撃状況を警察署及び検察庁に供述
(東京地方裁判所平成19年6月27日判決)
裁判のときは弁護士費用も賠償対象
では弁護士費用は賠償請求の対象になるでしょうか?
裁判の判決のときは、総損害額の10%程度が弁護士費用として賠償請求の対象となることが多いです。裁判所での和解のときは、弁護士費用の一部を賠償請求の対象とする合意をすることが多いです。
裁判以外のときは、弁護士費用は原則自己負担となります。
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まとめ:損害賠償請求関係費用
損害賠償請求関係費用の賠償には一律の基準はありません。たとえば、次のような費用が損害賠償の対象となります。
- 診断書作成費用
- 後遺障害診断書作成費用
- 診療報酬明細書発行費用
- 保険金請求手続費用
- 調査や立証の費用
- 印鑑証明書発行費用
- 住民票の発行費用
- 戸籍謄本の発行費用
- 交通事故証明書取得費用
- 刑事記録謄写費用
- 成年後見開始の審判手続費用や後見人報酬
(監修者 弁護士 大澤 一郎)