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交通事故知識ガイド各損害の損害賠償基準の詳細解説

学習費や保育費

最終更新日:2024年7月22日

監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 大澤 一郎

学習費・保育費の損害賠償基準
事故により追加で発生した学習費や保育費は賠償対象となることがあります。

この記事では交通事故の被害者にむけて、学習費や保育費の損害賠償のルール、賠償対象となった具体例などを交通事故に詳しい弁護士がわかりやすく解説します。

なお問題が発生しそうなときは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。

学習費や保育費とは

学習費とは子供の学習の費用です。保育費とは子供の保育の費用です。事故により追加の学習費や保育費が発生するときは賠償対象となります。

自賠責保険や裁判での学習費や保育費の支払基準

では自賠責保険や裁判での学習費や保育費の支払基準はどのようなものでしょうか?
自賠責保険では自賠責保険の支払基準の告示(金融庁)があります。
裁判では赤い本と青い本という裁判の基準をまとめた本があります。

赤い本の基準

  • 被害者の被害の程度・内容・子供の年齢・家庭の状況を具体的に検討し、学習、通学付添の必要性が認められれば、妥当な範囲で認める。

青い本の基準

  • 被害の程度、内容、年齢、家庭の状況に照らして必要性が認められる場合には相当額が認められる。

基準の解説

交通事故の被害に子供があうと学習や保育に影響がでることがあります。事故により影響がでた学習費や保育費は賠償対象となります。たとえば次のような場合です。

  • 進級遅れの場合の授業料や補習費
  • 家庭教師や塾の費用
  • 受傷で無駄になった支払済教育費や通学定期代
  • 保育料
  • 通学のため借りたマンション賃料
  • 家族の通学付添費
  • 家族の看護料

事故により費用や負担が発生したと書類で証明できるときに賠償対象となります。はっきりと証明できないときは経験上賠償対象とならないことが多いです。

学習費や保育費が賠償対象となった事例

では学習費や保育費が賠償対象となった事例にはどのようなものがあるでしょうか?
代表的なパターンをご紹介します。

進級遅れの場合の授業料が賠償対象となった事例

次の理由で大学1年分の授業料89万円が賠償対象となりました。

  • 薬学部の19歳
  • 事故による入院治療のため1年留年
    (神戸地方裁判所平成30年3月29日判決)

塾の費用が賠償対象となった事例

次の理由で補修塾費用約10万円が賠償対象となりました。

  • 事故により約2カ月入院し中学校を欠席した中学3年生
  • 事故により中学校の学習に支障
  • 入院による学習の遅れを取り戻す目的で通塾の必要性あり
  • 高校受験前約5カ月の補習塾費用が30万円
  • 30万円のうち10万円が事故による損害として相当
    (東京地方裁判所平成30年9月14日判決)

受傷で無駄になった支払済教育費が賠償対象となった事例

次の理由で自動車教習所の費用全額290,900円が賠償対象となりました。

  • 非器質性精神障害の19歳(後遺障害9級)
  • 事故により教習の継続が困難
  • 事故により自動車運転免許の取得が困難
    (大阪地方裁判所岸和田支部令和元年11月15日判決)

保育料が賠償対象となった事例

次の理由で緊急一時保育の利用料約4万円が賠償対象となりました。

  • 事故による外傷性クモ膜下出血の7歳の付添看護が必要
  • 生後間もない子の緊急一時保育を32日利用
  • 利用料は約4万円
    (東京地方裁判所平成28年2月25日判決)

通学のため借りたマンション賃料が賠償対象となった事例

次の理由でアパート賃貸借契約の礼金4万円、前払い家賃約5万円の合計約10万円が賠償対象となりました。

  • 事故で長期入院のため、大学近くに借りたアパートを使えなくなった
  • 賃貸借契約を解約
    (大阪地方裁判所平成30年4月16日判決)

家族の通学付添費が賠償対象となった事例

次の理由で車いすで登校した61日間、母親の通学付添費日額1,000円、合計約6万円が賠償対象となりました。

  • 右足背部皮膚剥奪層、左下腿挫滅創、左足デグロービングの障害の8歳(後遺障害14級)
  • 退院後車いすで登校
  • 母親が通学に付添
    (東京高等裁判所平成26年12月24日判決)

家族の看護料が賠償対象となった事例

次の理由で祖父母の看護費用1,128,000円が賠償対象となりました。

  • 主婦(母親)が入院
  • 小学生の娘の養育監護が必要
  • 小学生の祖父母に看護を依頼
  • 主婦(母親)の休業損害とは別に祖父母に扶養料を認めるのが相当
  • 1日3,000円で387日分1,128,000円が相当
    (仙台地方裁判所平成19年2月9日判決)

まとめ:学習費や保育費

事故により影響がでた学習費や保育費が賠償対象となります。たとえば次のような場合です。

  • 進級遅れの場合の授業料や補習費
  • 家庭教師や塾の費用
  • 受傷で無駄になった支払済教育費や通学定期代
  • 保育料
  • 通学のため借りたマンション賃料
  • 家族の通学付添費
  • 家族の看護料

事故により費用や負担が発生したと書類で証明できるときに賠償対象となることが多いです。

(監修者 弁護士 大澤 一郎

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