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交通事故知識ガイド各損害の損害賠償基準の詳細解説

将来介護費

最終更新日:2023年5月31日

監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 大澤 一郎

将来介護費の損害賠償基準
後遺障害1~2級の重症の後遺障害では将来介護費が補償対象となります。金額は、施設介護では実額の補償が多いです。在宅介護では個別の事案によります。家族の在宅介護では1日8,000円が多いです。

この記事では交通事故の被害者にむけて、将来介護費が認められる場合、日額、関連する補償などを交通事故に詳しい弁護士がわかりやすく解説します。

なお問題が発生しそうなときは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。

将来介護費とは

将来介護費とは症状固定後に発生する介護費用です。

症状固定後の治療や介護の費用は原則補償の対象になりません。しかし、後遺障害1~2級の重度の後遺障害の場合、将来介護費が補償対象となることがあります。
症状固定とは

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自賠責保険や裁判での将来介護費の支払基準

では自賠責保険や裁判での将来介護費の支払基準はどのようなものでしょうか?
自賠責保険では自賠責保険の支払基準の告示(金融庁)があります。
裁判では赤い本と青い本という裁判の基準をまとめた本があります。

赤い本の基準

  • 医師の指示又は症状の程度により必要があれば被害者本人の損害として認める。
  • 職業付添人は実費全額。
  • 近親者付添人は1日につき8,000円
  • ただし、具体的看護の状況により増額することがある。

青い本の基準

  • 実際に支出されるであろう費用額に基づき相当額を認定する。
  • 近親者が付添を行う場合には、常時介護を要する場合で1日につき8,000~9,000円を目安に算定を行う。
  • 期間は原則として平均余命までの間とし、中間利息を控除する。
  • 常時介護を必要としない場合には、介護の必要性の程度、内容により減額されることがある。

基準の解説

将来介護費は後遺障害1~2級の重度の後遺障害のときに補償対象となります。後遺障害3級以下のときも補償対象となることはあります。

将来介護費は①施設介護と②在宅介護で算定方法が異なります。

施設介護のときの補償

では施設介護の将来介護費はどのように計算するでしょうか?

施設介護では、発生する実額が補償対象となることが経験上多いです。たとえば、日額1万円の施設であれば1日1万円が補償対象です。

在宅介護のときの補償

では在宅介護の将来介護費はどのように計算するでしょうか?

在宅介護では将来介護費を決める一律の基準はありません。

家族のみが在宅介護に関わるときは1日8,000円が多いです。介護サービス利用などプロが在宅介護に関わるときは発生する実額が補償対象となることが多いです。

ただし家族とプロの両方が介護に関わるときは、合計で1日20,000円前後が補償対象となることが経験上多いです。

近親者の在宅介護の補償額を決める要素

近親者の在宅介護の補償額を決める場合、次のような要素を元に個別に決めます。

  • 被害者の後遺障害の内容や程度
  • 被害者の要介護状態
  • 被害者の日常生活の自立の程度
  • 必要とされる介護の内容程度
  • 介護のために必要な時間
  • 介護主体の属性(性別、年齢、健康状態)
  • 介護仕様の家屋の建築の有無
  • 介護用具の使用の有無

介護サービスの利用などプロの在宅介護の補償額を決める要素

介護サービスの利用などプロの在宅介護の補償額を決める場合、次のような要素を元に個別に決めます。

  • 現に専門家の介護を依頼している場合の負担額
  • 援助を受けている市町村の介護サービスの単価
  • 専門家を依頼した場合の見積額
  • 介護保険制度の介護システムの今後の検討見直しの可能性
  • その他近親者が在宅介護をする場合の要素全般
将来介護費の基準
介護方法 1日の金額
施設介護 実額
在宅介護
(家族)
8,000円
在宅介護
(家族以外)
実額
  • 注1 実額が日額2万円を超えるときは、実際の補償額は日額2万円前後となることが多いです。
  • 注2 家族と家族以外の在宅介護を併用するときは、両者を合算して実際の補償額が日額2万円前後となることが多いです。
  • 注3 個別の介護状況により金額は増減します。

将来介護費の計算方法

将来介護費は年額の介護費用×年数で計算します。たとえば、28歳の女性で平均余命が60年、1日2万円の補償とすると次の計算式です。

年額730万円×60年のライプニッツ係数27.6756=202,031,880円

2億円以上の補償となります。

将来介護費に関連する補償

将来介護費が補償対象となる場合、自宅改造費、車両改造費、将来治療費、将来雑費などの介護関連費用が補償対象となることがあります。

自宅改造費

介護のために自宅を改造した費用です。

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車両改造費

介護仕様に車両を改造した費用です。

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将来治療費

症状固定後の治療費です。将来介護費とは別に将来治療費が補償対象となることがあります。将来治療費が補償対象となるときは、将来の入通院の付添費用や交通費も補償対象となることがあります。

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将来雑費

症状固定後の治療や介護のためにかかる雑費です。

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まとめ:将来介護費

将来介護費は後遺障害1~2級など重度の後遺障害のときに補償対象となることが多いです。

施設介護、在宅介護の違いにより次の補償額となることが多いです。

将来介護費の基準
介護方法 1日の金額
施設介護 実額
在宅介護
(家族)
8,000円
在宅介護
(家族以外)
実額
  • 注1 実額が日額2万円を超えるときは、実際の補償額は日額2万円前後となることが多いです。
  • 注2 家族と家族以外の在宅介護を併用するときは、両者を合算して実際の補償額が日額2万円前後となることが多いです。
  • 注3 個別の介護状況により金額は増減します。

(監修者 弁護士 大澤 一郎

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