症状固定前の自宅付添費
監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 大澤 一郎
自宅での家族などの付き添い費用が補償対象となることがあります。金額は入院付添費1日6,500円、通院付添費1日3,300円を参考にして個別に決めます。
この記事では交通事故の被害者にむけて、症状固定前の自宅付添費の補償ルールを交通事故に詳しい弁護士がわかりやすく解説します。
なお問題が発生しそうなときは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。
―――― 目次 ――――
症状固定前の自宅付添費とは
症状固定とは治療を継続しても効果が見込まれず、症状の改善がない状態のことです。
症状固定前に自宅での付添を家族などが行ったとき、症状固定前の自宅付添費が補償対象となることがあります。
なお症状固定後は、症状固定後の治療に伴う入通院の付添看護費や将来介護費が補償対象となることがあります。
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自賠責保険や裁判での症状固定前の自宅付添費の支払基準
では自賠責保険や裁判での症状固定前の自宅付添費の支払基準はどのようなものでしょうか?
自賠責保険では自賠責保険の支払基準の告示(金融庁)があります。
裁判では赤い本と青い本という裁判の基準をまとめた本があります。
赤い本の基準
- (明確な基準はないが)必要かつ相当な金額。
青い本の基準
- (明確な基準はないが)必要かつ相当な金額。
- 入院付添費よりは低額となることが多い。
基準の解説
症状固定前の自宅付添費が補償対象となるとき
では症状固定前の自宅付添費が補償対象となるのはどのようなときでしょうか?
自宅付添費が補償対象となるのは、自宅での付き添いの必要性があるときです。たとえば次のようなときは補償対象となることが多いでしょう。
- 症状が重症で1人で家では生活できないとき
- 子供の年齢が低く親の付き添いが必要なとき
自宅付添費の補償金額
自宅付添費は補償金額の明確なルールはありません。個別の状況により決まります。
入院付添費は1日6,500円、通院付添費は1日3,300円が多いため、入通院の付添費の相場を参考にします。
付添の種類 | 1日の金額 |
---|---|
入院付添費 | 6,500円 |
通院付添費 | 3,300円 |
自宅付添費 | 一律の基準なし |
注 症状固定後は補償の有無及び金額が個別事案により大きく変わります。
症状固定前の自宅付添費が補償対象となった事例
では自宅付添費が補償対象となった事例にはどのようなものがあるでしょうか?
代表的なパターンをご紹介します。
症状が重症で1人で家では生活できない事例
次の理由で1日3,000円で症状固定まで524日間、合計1,572,000円が補償対象となりました。
- 骨盤骨折による右股関節の可動域制限の81歳(後遺障害12級)
- 自宅での転倒の危険あり
- 家事や屋外の歩行に娘の見守りが必要
(横浜地方裁判所令和3年2月24日判決)
子供の年齢が低く親の付き添いが必要な事例
次の理由で1日6,000円で症状固定日まで1255日、合計753万円が補償対象となりました。
- 高次脳機能障害の9歳の小学生
- 後遺障害3級
(東京地方裁判所平成29年3 月16日判決)
症状固定前の自宅付添費に関連する補償
症状固定前の自宅付添費に関連する補償には次のような補償があります。
いずれも重症の場合や被害者が子供の場合などに補償対象となることが多いです。
- 入院付添費
- 通院付添費
- 症状固定後の付添看護費
- 将来介護費
入院付添費
入院に付き添ったときの補償です。1日6,500円が多いです。
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通院付添費
自宅で付き添ったときの補償です。1日3,300円が多いです。特に重症のときに補償対象となることがあります。
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症状固定後の付添看護費
症状固定後の入通院に付き添う費用の補償です。症状固定後の治療費が補償対象となるときは、症状固定後の付添看護費も補償対象となりやすいです。請求漏れしやすいので要注意です。
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将来介護費
症状固定後の介護費用の補償です。高額になることが多いです。
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まとめ:症状固定前の自宅付添費
自宅付添費が補償対象となるのは、自宅での付き添いの必要性があるときです。たとえば次のようなときです。
- 症状が重症で1人で家では生活できないとき
- 子供の年齢が低く親の付き添いが必要なとき
入院付添費は1日6,500円、通院付添費は1日3,300円が多いため、入通院の付添費の相場を参考にして自宅付添費は決まります。
(監修者 弁護士 大澤 一郎)