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交通事故知識ガイド交通事故と治療Q&A

任意保険・健康保険・労災保険の選択

最終更新日:2023年4月25日

監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 大澤 一郎

Q相手方任意保険、健康保険、労災保険のどれを使えばよいですか?
A最初は相手方の任意保険の利用を考えましょう。何らかの事情があるときは健康保険や労災保険の利用を考えましょう。自らに過失があるときは労災保険や健康保険の利用が望ましいことがあります。

相手方任意保険・健康保険・労災保険が使えるとき

保険会社
交通事故による怪我では、相手方任意保険・健康保険・労災保険が使えることがあります。

相手方任意保険が使えるとき

相手方任意保険は加害者である相手方が加入している保険です。加害者が任意保険に入っているときに使えます。

健康保険が使えるとき

健康保険は病気のときに通常利用する保険です。交通事故の怪我でも使えます。

労災保険が使えるとき

労災保険は国の保険です。通勤中又は業務中の事故で怪我をしたときに使えます。交通事故の怪我でも使えます。

相手方任意保険のメリット・デメリット

メリット

  • 相手方任意保険会社が手続きをするので簡単です。
  • 病院窓口での自己負担がいらないことが多いです。
  • 手続き全体が一本化するのでわかりやすいです。

デメリット

  • 労災保険と比べると、治療費や休業損害が打ち切りされやすいです。
  • 労災保険と比べると、後遺障害申請が認められにくいです。
  • 過失相殺があると補償額が減ります。

健康保険のメリット・デメリット

メリット

  • 治療費総額が減ります。自らに過失があるときの自己負担分も減ります。

デメリット

  • 診断書や診療報酬明細書、後遺障害診断書の作成を病院が拒むことがあります。
  • 病院窓口で一度お金を立替払いしなければいけないことがあります。

労災保険のメリット・デメリット

メリット

  • 過失相殺がされません。
  • 相手方任意保険と比べると、治療費や休業損害が打ち切りされにくいです。
  • 相手方任意保険と比べると、後遺障害申請が認められやすいです。

デメリット

  • 職場の協力がないと手続きが難しいです。

最初は相手方任意保険の利用を検討

相手方任意保険の利用をまずは考えましょう。
相手方任意保険は手続きがスムーズに進むことが多いです。

たとえば保険会社が病院に直接治療費を支払ってくれます。
示談交渉のときも早く計算して合意できることが多いです。

交通事故にあったとき、まずは相手方任意保険の利用を検討しましょう。

相手方任意保険の利用ができないとき

相手方任意保険の利用ができないのはどのようなときでしょうか?
次のようなときは利用できません。

  • 加害者が任意保険に加入していないとき
  • 加害者が任意保険を使う意思がないとき
  • 保険会社が事故や怪我を否定しているとき
  • ひき逃げで加害者不明のとき

相手方任意保険が利用できないときは、健康保険や労災保険を利用しましょう。

相手方任意保険の利用が望ましくないとき

相手方任意保険の利用が望ましくないのはどのようなときでしょうか?
自らにも過失があるときは、相手方任意保険の利用が望ましくないことがあります。

たとえば治療費を計算してみましょう。
治療費総額を200万円、自分の過失割合を40%とします。

相手方任意保険を使ったとき

治療費総額200万円、自分の過失割合が40%ですので、80万円分の治療費は自己負担です。

【計算式】総額200万円×過失40%=80万円の自己負担

健康保険を使ったとき

相手方任意保険を使った治療費総額が200万円とすると、健康保険を使った治療費は半額の100万円程度が多いです。さらに、健康保険を使うと自己負担は3割などになります。
計算をすると、最終的な自己負担額は12万円となります。

【計算式】総額100万円×自己負担額3割×過失40%=12万円

労災保険を使ったとき

労災保険の治療費は過失があってもなくても変わりません。
そのため、最終的な自己負担額は0円です。

自らに過失があるとき、一番有利なのは労災保険の利用です。二番目に有利なのは健康保険の利用です。

まとめ:任意保険・健康保険・労災保険の選択

最初は相手方の任意保険の利用を考えましょう。何らかの事情があるときは健康保険や労災保険の利用を考えましょう。
自らに過失があるときは、労災保険や健康保険の利用が望ましいことがあります。

(監修者 弁護士 大澤 一郎

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