交通事故の休業損害|いつもらえるか?

最終更新日:2025年03月24日

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博
Q交通事故の休業損害はいつもらえますか?

休業損害は、①治療中にもらえるケースと②最終的な示談後にもらえるケースがあります。

①治療中にもらえる場合、請求から1週間~1か月以内の振込が多いです。②最終的な示談後にもらえる場合、示談から1~2週間での振込が多いです。

もっとも、休業損害をいつもらえるかは個別の状況により異なります。悩んだら、交通事故に詳しい弁護士へのご相談をおすすめします。

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1. 休業損害がもらえる時期は事案により異なる

休業損害を受け取れる時期は、事故の状況や保険会社の対応によって異なります。

早ければ請求から1週間以内に振込となることもありますが、数カ月経過しても振込がないこともあります。

また、生活費の負担を減らすために、治療中の段階で保険会社から支払いを受ける方法や、自賠責保険会社への被害者請求を活用する方法もあります。

早ければ請求から1週間以内

休業損害の請求がスムーズに進めば、保険会社によっては請求から1週間程度で振り込むこともあります。

これは、必要書類が整っており、加害者側の保険会社が迅速に審査・支払いを行う場合です。

ただし、初回の請求では診断書や休業損害証明書の不備の指摘を受け、時間がかかることもあります。早めに書類を準備しておくことが大切です。

経験上は個別の事案により異なる

休業損害の支払い時期は一律ではなく、事故の状況や加害者側の対応によって変わります。

具体的には、次のような状況に応じて異なります。

  1. 保険会社が治療中に先払いに応じるかどうか?
  2. 話し合いでまとまるか、裁判になるか?
  3. 自賠責保険会社に請求するか、任意保険会社に請求するか?
  4. 請求に必要な書類がそろっているかどうか?
  5. 保険会社担当者の手続きが早いかどうか?

休業損害が支払われる時期について、一律の基準はありません。そのため、生活に問題が生じないよう、事故後の生活や保険会社との手続きを進めていく必要があります。

保険会社からの治療中の支払い

保険会社に申請すれば、治療中に毎月一定額の休業損害を受け取れることがあります。

ただし、保険会社が必ず対応するわけではなく、支払いを渋るケースもあるため、事前に交渉が必要です。

最後の示談時の支払い

保険会社が先払いに応じないとしても、治療が終了して示談が成立すれば、休業損害を含む賠償金が一括で受け取れます。示談交渉が長引けば、その分支払いも遅れます。

なお、示談が成立しない場合でも、裁判で賠償額が確定すれば、確定した後に賠償金を受け取れます。

自賠責保険の被害者請求での支払い

加害者側の任意保険会社が休業損害の先払いに応じない場合、自賠責保険に直接請求することもできます。これを「被害者請求」といいます。

自賠責への被害者請求は、書類がそろっていれば1か月程度で支払われることが多いですが、通常の任意保険による支払いよりも手間がかかります。また、自賠責の補償上限が120万円であるため、それを超える分は後の示談で任意保険会社に請求する必要があります。

休業損害と慰謝料の違い

休業損害慰謝料は、どちらも交通事故の被害者が受け取れるものですが、目的が異なります。それに伴い、支払い時期も変わってきます。

  1. 休業損害
    • 目的:交通事故により仕事を休んだことで生じた収入の減少を補填するもの。
    • 支払時期:示談成立後に一括支払いあるいは、治療中に保険会社が定期的に一部を「内払い」として支払う。
  2. 慰謝料
    • 目的:交通事故による精神的・肉体的苦痛を賠償するもの。
    • 支払時期:示談が成立した後に一括で支払われる。

休業損害と休業補償の違い

「休業損害」と「休業補償」は似た言葉ですが、支払い対象や支払元が異なります。

  1. 休業損害(交通事故)
    • 対象:交通事故の被害者
    • 支払元:加害者側の保険会社
    • 支払時期:示談成立後。ただし、治療中に「内払い」として受け取れることもある。
  2. 休業補償(労災)
    • 対象:労働災害によって仕事を休んだ労働者
    • 支払元:労災保険
    • 支払時期:労災認定後、休業4日目以降から支給開始。ただし、必要な書類が多く請求から入金までには一定の期間がかかる。

休業損害と逸失利益の違い

休業損害と逸失利益は、どちらも事故による収入の減少を賠償するものですが、対象となる期間が異なります。

  1. 休業損害
    • 対象期間:事故後の治療期間中に仕事を休んだ期間
    • 支払時期:示談成立後。または治療中の内払い
  2. 逸失利益
    • 対象期間:後遺障害が残った場合、将来にわたって収入が減少する期間
    • 支払時期:後遺障害等級が確定し、示談または裁判で賠償金が決定した後

損害賠償金は非課税

交通事故の損害賠償金は、基本的に所得税の課税対象にはなりません。これは、損害の補填として支払われるため、新たな所得とはみなされないからです。

ただし、一部例外もありえます。税務上の取り扱いが不明な場合は、税理士に相談するのが安心です。

2. 会社員・アルバイトなどの給与所得者

会社員やアルバイトの休業損害は、請求のタイミングや手続きの方法によって、支払い時期が異なります。次の2つのパターンがあります。

  1. 示談成立後に一括で支払われる(原則)

    休業損害は通常、治療が終了し、示談が成立した後に、慰謝料や治療費とまとめて支払われます。

    示談成立後、1~2週間程度で振り込まれるのが一般的です。

    ただし、示談交渉が長引いた場合、その間の休業損害は受け取れず、生活が苦しくなる可能性があります。

  2. 内払い(仮払い)で分割受け取り

    収入が途絶えると生活に影響が出るため、毎月の給与のように定期的に受け取る方法もあります。休業損害証明書を会社に作成してもらい、毎月保険会社に提出することで、継続的に支払ってもらうことが可能です。

    初回の支払いは審査があるため、1か月ほどかかることもありますが、2回目以降は提出後1~2週間程度で振り込まれることが多いです。

    ただし、保険会社が必ずしも内払いに応じるとは限らず、支払いを拒否されるケースもあります。

3. 自営業者・個人事業主・フリーランス

自営業者やフリーランスの場合、収入の証明方法が給与所得者とは異なるため、休業損害の支払いを受けるまでに時間がかかる傾向があります。

  1. 示談成立後に一括で支払われる(原則)
    会社員と同様に、治療が終了し、示談が成立した後に、休業損害が支払われます。示談成立後、1~2週間程度で入金されるのが一般的です。ただし、収入証明の資料が不足していると、保険会社との交渉が難航し、支払いが遅れることもあります。
  2. 内払い(仮払い)での受け取り
    事業を継続するための資金が必要な場合、休業損害の先払いを申請することも可能です。

もっとも、会社員のように会社に休業損害証明書を発行してもらうことができないため、自営業者の場合は認められにくい傾向があります。

収入証明として、確定申告書や帳簿、請求書・領収書などを揃える必要があり、審査が厳しくなることが多いです。内払いが認められた場合でも、申請から支払いまで1か月程度以上はかかることが一般的です。

4. 会社役員

会社役員の場合、役員報酬のうち「労働対価分」が休業損害の対象となりますが、支払いのタイミングには注意が必要です。

  1. 示談成立後に一括で支払われる(原則)
    役員報酬のうち、労働対価に該当する部分が認められれば、示談成立後に休業損害として受け取ることができます。示談成立後、1~2週間程度で振り込まれるのが一般的です。ただし、労働対価分の証明が難しく、交渉が長引くこともあります。
  2. 内払い(仮払い)はほぼ認められない
    会社役員の場合、休業損害の先払いが認められるケースは少ないです。これは、役員報酬の減額がなかったり、役員報酬の大半が労働の対価ではなく、会社の利益配分とみなされることがあるためです。

仮に内払いが認められたとしても、役員報酬のうち「労働対価」として認められる部分を証明する必要があり、審査に時間がかかる可能性があります。また、報酬の性質について保険会社と意見が対立し、支払いがスムーズに進まないこともあります。

適正な金額を受け取るためには、専門家のアドバイスを受けながら慎重に請求を進めることが重要です。

5. 専業主婦・兼業主婦などの家事従事者

家事労働にも経済的価値があると認められるため、休業損害の対象になりますが、他の職業と比べて内払いを受けるのが難しいです。

  1. 示談成立後に一括払い
    他の職業と同じく、示談成立後に休業損害が支払われます。示談成立後、1~2週間程度で振り込まれることが多いです。
  2. 内払いは基本的に不可
    家事労働ができなかったことで実際の収入が減るわけではないため、保険会社が「先払いの必要なし」と判断することがほとんどです。そのため、治療中に休業損害を分割で受け取るのは難しいのが現状です。
ただし、家事ができなくなったことで家事代行サービスを利用した場合の費用などは、賠償の対象として請求できる可能性があります。

6. 休業損害を早くもらうためのポイント

休業損害をできるだけ早く受け取るためには、次のポイントを押さえておくとよいでしょう。

証拠をそろえて請求する

休業損害を請求するためには、適切な証拠をそろえて提出することが重要です。必要書類が不足していると審査が遅れ、支払いまでの期間が長引いてしまいます。

任意保険会社に請求する場合、職業ごとに必要となることが多い書類は、次のとおりです。

給与所得者の場合

自営業者の場合

  • 確定申告書の写し
  • 帳簿や売上記録(収入の減少を証明するもの)

会社役員の場合

  • 法人の決算書
  • 法人税の申告書
  • 役員報酬の受領額がわかる資料(給与明細・会社の帳簿・通帳の履歴)

主婦の場合

  • 家族構成がわかるもの(家事従事者であることを証明)
  • 日常生活への影響を記録したメモや日記(家事ができない状況の証明)

これらの書類を早めに準備し、できるだけ早く保険会社に提出することで、審査をスムーズに進めることができます。

定期的に保険会社担当者に状況を確認する

保険会社に書類を提出しても、処理に時間がかかる場合があります。そのため、定期的に担当者に進捗を確認することが大切です。

特に初回の請求時には、診断書の確認や計算の見直しが必要になるため、時間がかかることが多いです。催促しないと後回しにされる可能性もあるため、進捗状況を定期的に確認しましょう。

納得できなければ弁護士に相談する

保険会社が休業損害の支払いを遅らせたり、不適正な金額を提示したりする場合、弁護士に相談することで、適正な時期に休業損害をもらえる可能性が高まります。

特に次のようなケースでは、弁護士に依頼することで納得できる解決ができる可能性が高まります。

  1. 休業損害の支払いを拒否された
    「休業が必要だったことの証拠が不十分」「実際に収入減がない」などの理由で保険会社が支払いを渋ることがあります。弁護士に相談すれば、必要な証拠をそろえたうえで適切に請求できます。
  2. 支払いのタイミングが遅すぎる
    保険会社によっては、意図的に支払いを遅らせていると疑われるケースもあります。弁護士が交渉に入ることで、適正な時期に支払いを受けることができる可能性があります。
  3. 提示された金額が少なすぎる
    保険会社は独自の基準で休業損害を計算しており、弁護士が介入すれば、裁判所基準での適正な賠償をもらえる可能性が高まります。特に、自営業者や主婦の場合は計算方法が複雑であり、専門家のサポートが有効です。

7. まとめ:休業損害がもらえる時期

最後に、休業損害がもらえる時期をまとめておさらいしましょう。

  1. 示談成立後に一括支払い(最も一般的)
    休業損害は、慰謝料や治療費などとともに、示談成立後1~2週間程度で支払われるのが一般的です。ただし、示談交渉が長引くと、支払いも遅れます。
  2. 治療中に「内払い」で受け取る
    生活費の確保が難しい場合、保険会社に交渉して休業損害を分割で受け取ることも可能です。通常、休業損害証明書を毎月提出することで、提出後1~2週間程度で支払われます。ただし、保険会社が応じない場合もあるため、事前の交渉が重要です。
  3. 自賠責保険の被害者請求(加害者側の保険会社が支払わない場合)
    保険会社が先払いを拒否するなどの場合、被害者自身で自賠責保険に請求できます。通常、書類をそろえて請求してから1か月程度で支払われます。

休業損害の支払い時期は、示談成立後が基本ですが、治療中の内払いや自賠責の被害者請求を活用することで、早めに受け取ることも可能です。

少しでも早く支払いを受けたい場合は、必要書類の準備を早めに行い、保険会社と適切に交渉することが重要です。

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博

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