神経心理学的検査
監修者:よつば総合法律事務所
代表弁護士 大澤 一郎
- Q神経心理学的検査とは何ですか?
- A紙や各種道具、コンピュータなどを用いて、知能・記憶・言語などの機能障害を数値化し、定量的・客観的に評価するための検査です。知能検査、記憶検査、言語検査、注意力検査、前頭葉検査、遂行機能検査等があります。
検査結果が後遺障害認定に影響を与えることが多いです。異常結果が出る可能性がある検査を行うことが望ましいでしょう。
―――― 目次 ――――
高次脳機能障害とは
高次脳機能障害とは脳損傷による認知障害全般です。様々な認知障害だけではなく、行動障害や人格変化を伴うことが多いです。症状には記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがあります。
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神経心理学的検査とは
神経心理学的検査とは、主に紙や各種道具、コンピュータなどを用いて、知能・記憶・言語などの機能障害を数値化し、定量的・客観的に評価するための検査です。
神経心理学的検査には次のような検査があります。
- 知能検査
ミニメンタルステート検査 (MMSE) 、長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R) 、ウェクスラー成人知能検査 (WAIS-III) 、レーヴン色彩マトリックス検査 (RCPM) - 記憶検査
ウェクスラー記憶検査 (WMS-R) 、リバーミード行動記憶検査 (RBMT) 、レイ複雑図形検査 (ROCFT)、レイ聴覚性言語学習検査 (RAVLT) - 言語検査
標準失語症検査 (SLTA) - 言語検査
標準失語症検査 (SLTA) - 注意力検査
標準注意検査法 (CAT) 、トレイルメーキング検査 (TMT) - 前頭葉検査
ウィスコンシンカード分類課題 (WCST)、ストループ検査、流ちょう性検査 - 遂行機能検査
遂行機能の行動評価法 (BADS) - その他の検査
標準高次動作性検査 (SPTA) 、標準高次視知覚検査(VPTA)、標準意欲評価法 (CAS)、BIT行動性無視検査
高次脳機能障害の後遺障害は、神経心理学的検査の結果を踏まえた判断となることが多いです。
知能検査とは
知能検査とは、知能を測定するための検査です。知能指数(IQ)などを測定します。
ミニメンタルステート検査 (MMSE)、長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、ウェクスラー成人知能検査 (WAIS-III)、レーヴン色彩マトリックス検査 (RCPM)等で検査します。
記憶検査とは
記憶検査とは記憶力の検査です。記憶には様々な種類があります。
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ウェクスラー記憶検査 (WMS-R)、リバーミード行動記憶検査 (RBMT)、レイ複雑図形検査 (ROCFT)、レイ聴覚性言語学習検査 (RAVLT)等で検査します。
言語検査とは
言語検査とは失語症などの検査です。標準失語症検査 (SLTA)で検査します。
注意力検査とは
注意力検査とは注意障害の検査です。注意障害とは次のような症状です。
- 意識水準を一定に保つ注意機能が低い
- 必要な刺激への注意が損なわれる
- 不必要な刺激に注意が向けられる
- 刺激に注意を持続することができない
標準注意検査法 (CAT)、トレイルメーキング検査 (TMT)で検査します。
前頭葉検査とは
前頭葉検査とは前頭葉の機能の検査です。前頭葉が損なわれると、問題を解決する能力や、計画を立てたり行動を起こしたりする能力が失われます。
ウィスコンシンカード分類課題 (WCST)、ストループ検査、流ちょう性検査等で検査します。
遂行機能検査とは
遂行機能検査とは遂行機能の検査です。遂行機能に障害が出ると、目的をもった一連の活動を有効に成し遂げるため、自ら目標を設定し、細かい手順の計画を立て、目標を維持しながら実際の行動を効果的に行うことができなくなります。
遂行機能の行動評価法 (BADS)等で検査します。
まとめ:神経心理学的検査
神経心理学的検査とは、紙や各種道具、コンピュータなどを用いて、知能・記憶・言語などの機能障害を数値化し、定量的・客観的に評価するための検査です。知能検査、記憶検査、言語検査、注意力検査、前頭葉検査、遂行機能検査等があります。
検査結果が後遺障害認定に影響を与えることが多いです。異常結果が出る可能性がある検査を行うことが望ましいでしょう。
(監修者 弁護士 大澤 一郎)