連合野の損傷と高次脳機能障害
最終更新日:2025年01月23日
- 監修者
- よつば総合法律事務所
弁護士 大澤 一郎
- Q連合野に損傷があり高次脳機能障害です。どのような症状が出ますか?
- 連合野を損傷すると高次脳機能障害を発症します。前頭連合野や頭頂連合野、側頭連合野などの損傷部位により異なる症状を発症します。
1. 高次脳機能障害とは
高次脳機能障害とは脳損傷による認知障害全般です。様々な認知障害だけではなく、行動障害や人格変化を伴うことが多いです。症状には記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがあります。
2. 連合野とは
連合野(れんごうや)とは、脳の高度な働きを担当している大脳の一部分です。
大脳は、他に運動野(うんどうや)、感覚野(かんかくや)、視覚野(しかくや)があり、それぞれがその名の通り、運動、感覚、視覚に関する情報伝達を行っています。
連合野は、運動や感覚、視覚に関する情報を処理する機能があります。
連合野を怪我すると高次脳機能障害を発症します。以前のような感情表現や思考力、表現力、認知、行動などができなくなります。
3. 連合野の損傷部位による症状
大脳の表面に存在する大脳皮質の部分が連合野です。
連合野は、前頭連合野(ぜんとうれんごうや)、頭頂連合野(とうちょうれんごうや)、側頭連合野(そくとうれんごうや)の3つに分かれています。
3つの連合野でもっとも大きいのが、前頭葉(ぜんとうよう)のうち運動野より前の部分にある前頭連合野です。
前頭連合野とは
前頭連合野は、抽象的な考え、論理的判断、結果の予測、善悪の判断などを行います。前頭前野とも言います。
前頭連合野の特徴は、複数の情報の収集と分析です。
人間が人間らしさを保つことができるのは前頭連合野の働きがあるからです。前頭連合野を損傷して高次脳機能障害になると、やる気がなくなってぼんやりする、性格が変わる、段取りを立ててものごとを進めることができないなどの症状が現れます。
頭頂連合野とは
頭頂連合野は、空間の認識や、体の認識を担当しています。
自分がどこにどういう姿勢でいるかわかるのは、頭頂連合野の働きによるものです。
頭頂連合野を傷付けて高次脳機能障害を発症すると、次のような症状が現れます。
空間に関する認知の問題
物の遠近、上下、左右の判断などが困難になり、歩きなれた道順がわからなくなり道に迷う地誌的障害を発症することもあります。損傷した部位により半側空間無視の症状が現れます。
身体失認(しんたいしつにん)
自分の体の部位や指の名前を言えなくなります。
その他、文章が読めない失読(しつどく)、文字が書けない失書(しっしょ)を発症することもあります。
側頭連合野
側頭連合野は、物の認知、聴覚と視覚、時間や場所などの認識に関わっています。
側頭連合野を損傷すると、画像の意味がわからない画像失認、よく知っている人の顔を見ても誰かわからない相貌失認、言語障害、発症した後で起きたことを記憶できない前行性健忘などを発症します。
4. まとめ:連合野の損傷と高次脳機能障害
連合野を損傷すると高次脳機能障害を発症します。前頭連合野や頭頂連合野、側頭連合野などの損傷部位により異なる症状を発症します。
- 監修者
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弁護士 大澤 一郎