本人が高次脳機能障害を否定するときの家族の対応
最終更新日:2025年01月23日
- 監修者
- よつば総合法律事務所
弁護士 大澤 一郎
- Q本人は否定していますが高次脳機能障害です。家族はどうすればよいですか?
- 本人が高次脳機能障害を否定するとき、まずは医師の診察を一緒に受けましょう。本人のプライドに配慮しながら、高次脳機能障害であることの認識を少しずつ深めましょう。
1. 高次脳機能障害とは
高次脳機能障害とは脳損傷による認知障害全般です。様々な認知障害だけではなく、行動障害や人格変化を伴うことが多いです。症状には記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがあります。
2. 病識欠如は高次脳機能障害の特徴
病識欠如とは病気という認識を欠いていることです。次のような状態です。
- 自分が障害をもっていることに対する認識がうまくできない
- 自分が障害がないかのように振る舞ったり、言ったりする
- 困っていることは何もないと考えている
- うまくいかないのは、相手のせいだと考えている
- 自分にはどのようなこともできると確信している
高次脳機能障害では、病識欠如の症状が出ることが多いです。
3. 病識欠如のときの対応
高次脳機能障害の病識がないとき、どのように家族は関わればよいでしょうか?
まずは医師の診察を一緒に受けましょう。
病院に一緒に行かない場合、本人が困っていることに着目しましょう。「病気の有無」を議論しても意味はありません。「本人が困っていることができるように一度病院に一緒に行く」という家族の姿勢が重要です。
また、次のような対応をしましょう。
- 本人のプライドに配慮しながら、不適切な行動や間違いを指摘したり修正したりしましょう。
- グループ活動のなかで、他人の失敗をみてもらいましょう。他人の失敗を見るなかで自分の問題点に気付くことがあります。
- 病識が出てきたときは、本人が自信をなくさないよう配慮しましょう。
4. 福祉サービスの利用も検討
病識のない高次脳機能障害患者本人と接していると家族は疲弊します。福祉サービスの利用も検討しましょう。
高次脳機能障害の患者が利用できる福祉サービスは、①障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス②介護保険法による介護サービス③障害者手帳制度に基づく福祉サービスなどがあります。
市区町村の障害福祉担当窓口に相談し、適切な福祉サービスを利用しましょう。
また、レスパイトケアも検討しましょう。
レスパイトケアとは、介護が必要な人がショートステイなどを利用し、日々在宅で介護を行っている家族など介護者の負担を軽減するためのケアです。病院や障害者支援施設に相談してみましょう。
5. まとめ:本人が高次脳機能障害を否定するときの家族の対応
本人が高次脳機能障害を否定するときは、まずは医師の診察を一緒に受けましょう。本人のプライドに配慮しながら、高次脳機能障害であることの認識を少しずつ深めましょう。- 監修者
- よつば総合法律事務所
弁護士 大澤 一郎