対物全損時修理差額費用特約
監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 佐藤 寿康
- Q対物全損時修理差額費用特約とは何ですか?
- A対物全損時修理差額費用特約とは、加害者が被害者に自動車の損害を支払う事故にて被害者の自動車の時価より修理代が高い場合、修理代を保険で補償する特約です。
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対物全損時修理差額費用特約とは
対物全損時修理差額費用特約とは、加害者が被害者に自動車の損害を支払う事故にて被害者の自動車の時価より修理代が高い場合、修理代を保険で補償する特約です。
対物全損時修理差額費用特約はわかりにくいです。具体例でみてみましょう。
対物全損時修理差額費用特約がない場合
自分が加害者の立場とします。まずは特約に加入していない場合です。
- 被害者の車の時価は20万円
- 被害者の車の修理代は50万円
- 被害者が実際に車を50万円かけて修理
この場合、加害者が加入する保険会社が被害者に支払う金額は20万円です。時価と修理代を比較して少ない金額を支払うのがルールだからです。
しかし、20万円しかもらえない被害者は怒ることが多いです。50万円かけて修理したのに20万円しかもらえないからです。
対物全損時修理差額費用特約がある場合
では、対物全損時修理差額費用特約がある場合はどうなるでしょうか?
自分が加害者の立場とします。自分が対物全損時修理差額費用特約に加入している場合です。
- 被害者の車の時価は20万円
- 被害者の車の修理代は50万円
- 被害者が実際に車を50万円かけて修理
- 加害者が対物全損時修理差額費用特約に加入
この場合、加害者が加入する保険会社が被害者に支払う金額は50万円です。修理代を保険で補償する特約に加入しているためです。
対物全損時修理差額費用特約の注意点
では、対物全損時修理差額費用特約の注意点はどのような点でしょうか?
特約は次のような注意点があります。
- 補償金額の上限がある
- 修理をすることが原則条件である
- 一定期間内の修理が条件である
- 過失相殺後の金額が支払い対象となる
個別の保険会社や商品ごとに細かいルールが異なります。保険会社に問い合わせをしたり約款を見たりして確認しましょう。
補償金額の上限がある
対物全損時修理差額費用特約は補償額上限50万円など上限があることが多いです。
修理することが原則条件である
対物全損時修理差額費用特約は、実際に修理をすることが原則条件です。見積書のみで未修理の時点では適用がありません。
一定期間内の修理が条件である
対物全損時修理差額費用特約は、6~12カ月以内に修理をすることが必要など一定期間内の修理が条件となることが多いです。
過失相殺後の金額が補償対象となる
対物全損時修理差額費用特約は過失相殺後の金額が補償対象です。
具体例でみていきましょう。
自分が加害者の立場とします。自分が対物全損時修理差額費用特約に加入している場合で考えます。
- 被害者の車の時価は20万円
- 被害者の車の修理代は50万円
- 被害者が実際に車を50万円かけて修理
- 加害者が対物全損時修理差額費用特約に加入
この場合、加害者が100%悪いときは、50万円を保険会社は被害者に補償します。一方、加害者が80%悪いときは、40万円を保険会社は被害者に補償します。
対物全損時修理差額費用特約は過失相殺後の金額が補償対象です。
まとめ:対物全損時差額費用特約
対物全損時修理差額費用特約とは、加害者が被害者に自動車の損害を支払う事故にて被害者の自動車の時価より修理代が高い場合、修理代を保険で補償する特約です。
(監修者 弁護士 佐藤 寿康)