労災利用を会社が拒否する場合
監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 松本 達也
- Q交通事故で労災の利用を会社が拒否した場合、どうすればよいですか?
- A職場が労災の利用を拒否しても労災は利用できます。請求書等の書類は事業主の記名押印がなくても大丈夫です。ただし、自分で手続きを行わないといけないため手続きが若干複雑です。
労災とは
労災とは、労働者が業務中や通勤中に事故が発生し、けがや病気が生じる事故です。
労災事故は労災保険が使えます。
関連情報
交通事故でも労災を使える
交通事故でも労災保険は使えます。「交通事故は労災が使えない」と職場などが勘違いしていることがあります。注意しましょう。
職場が労災の利用を拒否しても労災は利用可能
では、職場が労災の利用を拒否しても労災は利用できるでしょうか?
職場が労災の利用を拒否しても労災は利用できます。ただし、自分で手続きを行わないといけないため、手続きが若干複雑です。
職場が労災の利用を拒否するとき、まずは労働基準監督署に相談してみましょう。労働基準監督署に相談していることを職場に伝えると、職場が労災利用の手続きを進めることもあります。
職場が手続きを拒否するときは、自分で書類を準備します。不明な点は労働基準監督署の職員に質問しながら進めましょう。
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書類には事業主の記名と押印が必要な部分があります。しかし、職場の協力が得られないことを役所に説明すれば、事業主の記名と押印がなくても労災の手続きを進めることは可能です。
会社が労災を嫌がる理由
会社が労災の利用を嫌がるときがあります。しかし、会社が労災を誤解していることもあります。労働基準監督署も交えて丁寧に協議をすれば、職場が労災の手続きに協力することもあります。
会社は次のような理由で労災の理由を嫌がります。
労災の手続きが面倒と考えている
労災の申請書に記入をしたり、労働基準監督署からの照会に対応したりする手続きが面倒なため、申請に協力しない場合があります。
労災による評判の低下を恐れる
労災事故が起こると企業の評判が低下する可能性があります。今後の営業や取引にかかわるので労災を隠そうとします。
労基署による調査を恐れる
労災の申請をきっかけに労基署が調査を行い、企業の違反行為が発覚する可能性もあります。すると企業が処分を受けることがあります。そのため、労災を隠そうとします。
保険料の増額を恐れる
労災事故が頻繁に起こる企業は、労災の保険料が増額する可能性があります。保険料の負担が増えることを恐れて労災を隠そうとします。
労災保険以外の保険を使う方法
職場が労災保険の利用を拒否する場合、他の方法で治療費などを準備する方法もあります。
加害者の任意保険を利用したり、人身傷害保険を利用したりすることも選択肢の1つです。
まとめ:労災利用を会社が拒否する場合
職場が労災の利用を拒否しても労災は利用できます。請求書等の書類は事業主の記名押印がなくても大丈夫です。ただし、自分で手続きを行わないといけないため手続きが若干複雑です。
(監修者 弁護士 松本 達也)