無灯火の過失割合
監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 松本 達也
- Q夜間の無灯火の事故です。過失割合はどうなりますか?
- A夜間で無灯火だった場合、過失割合を加算することが多いです。具体的には10%の加算が多いです。個別事案により5~15%の加算となることもあります。
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過失割合とは
過失割合とはどの程度どちらが悪いという責任の割合です。「10対0」「7:3」「80対20」などと言います。過失があると相手に請求できる金額が減ってしまいます。
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夜間の無灯火は著しい過失
では、夜間に無灯火だと過失割合はどうなるでしょうか?
夜間に運転中の場合、前照灯、車幅灯、尾灯などを付けなければいけません。夜間に道路の幅員が5.5メートル以上の道路に駐停車するときは、ハザードランプ又は尾灯をつけなければいけません。
そのため、夜間の無灯火は過失を加算します。夜間の無灯火は著しい過失として10%の加算が多いです。個別事案により5~15%の加算となることもあります。
個別の事故ごとの無灯火の過失割合
交通事故の過失割合は、別冊判例タイムズ38号の図表を利用することが多いです。
別冊判例タイムズ38号は各事故状況の標準的な過失割合を決めています。各事故状況で著しい過失があるときの加算割合も決めています。
著しい過失は10%の加算が多いです。ただし、加算が5%の事故状況もあれば、加算が15%の事故状況もあります。
別冊判例タイムズ38号の各基本図に著しい過失がある場合の加算をすると、無灯火の過失割合が決まることが多いです。
たとえば、車同士の交差点での事故で考えてみます。基本となる過失割合は、加害者70対被害者30とします。さらに、被害者が無灯火とします。
被害者が無灯火だと被害者の著しい過失があるということで、過失割合が被害者に10%程度不利になることが多いです。
そのため、最終的な過失割合は、加害者60%対被害者40%となります。
双方無灯火の過失割合
では、双方の車が無灯火のとき、過失割合はどうなるでしょうか?
双方の車が無灯火のときは、双方の車に著しい過失があります。そのため、著しい過失による過失割合の変更は行わず、各事故状況の基本となる過失割合を使うことが多いでしょう。
無灯火を証明する方法
では、無灯火を証明するにはどうすればよいでしょうか?
ドライブレコーダーの記録があるときは無灯火を証明しやすいです。
目撃者の証言を警察が聴取して証拠化しているときも、無灯火の証明はしやすいです。警察の実況見分調書などの刑事記録に灯火の有無の記載があるときも、無灯火を証明しやすいです。
人身傷害保険の利用
人身傷害保険とは、交通事故で負傷等したときに人身損害を補償する特約です。自分の交通事故の特約です。
人身傷害保険があると、過失分の賠償が人身傷害保険から出ることがあります。無灯火でも100%の賠償を受領できる可能性があります。
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まとめ:無灯火の過失割合
夜間で無灯火だった場合、過失割合を加算することが多いです。具体的には10%の加算が多いです。個別事案により5~15%の加算となることもあります。
(監修者 弁護士 松本 達也)