治療中に加害者が民事調停申立をした場合
監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 松本 達也
- Q交通事故の被害者です。治療中に加害者が民事調停申立をしました。どうすればよいですか?
- A治療中に加害者が民事調停申立をした場合、治療継続と治療終了の選択肢があります。
治療終了のときは示談交渉か後遺障害申請に進みましょう。
民事調停とは
民事調停とは、話合いによりお互いが合意することで紛争の解決を図る裁判所の手続きです。
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加害者が民事調停を申立するとき
では、交通事故で民事調停を加害者が申立するのはどのようなときでしょうか?
加害者が任意保険に加入しているとき、任意保険会社と被害者が交渉します。具体的には保険会社担当者と被害者が協議します。
しかし、次のような場合、保険会社が弁護士に依頼することがあります。
- 感情的なもつれが大きいとき
- お互いの要求水準に大きな差があるとき
- 治療期間が標準より大幅に長いとき
- 交渉が適切に進まないと保険会社が判断したとき
保険会社が弁護士に依頼したときは、加害者側弁護士と被害者が協議します。交渉しても解決に向かわないと、加害者側弁護士が民事調停を申立することがあります。
怪我の状況に応じた対応方法
では、被害者が治療中にもかかわらず民事調停申立をされたとき、どのように対応すればよいでしょうか?
対応方法には治療継続と治療終了があります。治療終了の場合、示談交渉と後遺障害申請の2つの方法があります。
治療を継続する方法
民事調停申立があっても治療継続は可能です。
民事調停申立がある場合、保険会社は治療費支払いを打ち切っているでしょう。そのため、治療費は一度被害者が支払います。被害者は保険会社に立替した治療費を請求します。
協議しても合意に至らない場合、最後は裁判所の判決で決まります。
被害者が立替した治療費は症状固定前の治療費であるという裁判所の判断があった場合、保険会社は治療費を支払う義務があることが多いでしょう。裁判の判決に保険会社は従います。
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治療を終了する方法
民事調停申立があった場合、治療を終了する選択肢もあります。治療終了後は次の方法があります。
- ①示談交渉に進む方法
- ②後遺障害申請に進む方法
①示談交渉に進む方法
示談交渉に進む場合、民事調停で話し合いによる解決を目指すのがよいでしょう。民事調停は裁判所の手続きですので、裁判基準での解決が多いです。
民事調停での話し合いで合意できない場合、被害者が民事裁判を起こすことが多いでしょう。
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②後遺障害申請に進む方法
治療を終了し、後遺障害の申請をすることも可能です。後遺障害の申請中と裁判所に伝えれば、後遺障害認定結果が出るまである程度手続きをゆっくり進めることができます。
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ただし、後遺障害の申請手続きを進めないと、加害者が民事調停を打ち切ることがあります。打ち切り後は加害者が民事裁判を起こすこともあります。
後遺障害等級が決まらないままの裁判は複雑になります。あまり望ましくありません。早めに後遺障害申請は行いましょう。
まとめ:治療中に加害者が民事調停申立をした場合
治療中に加害者が民事調停申立をした場合、治療継続と治療終了の選択肢があります。
治療終了のときは示談交渉か後遺障害申請に進みましょう。
(監修者 弁護士 松本 達也)