キックスケーターと過失割合
最終更新日:2023年7月28日
監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 松本 達也
- Qキックスケーターの事故の過失割合はどうなりますか?
- Aキックスケーター事故は自転車事故より有利な過失割合となることが多いです。ただし、キックスケーターの構造や個別の事故状況により、大幅に過失割合が変わる可能性があります。
―――― 目次 ――――
キックスケーターとは
キックスケーターとは、地面を蹴って進むハンドル付きの乗物です。
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過失割合とは
過失割合とはどの程度どちらが悪いという責任の割合です。「10対0」「7:3」「80対20」などと言います。過失があると相手に請求できる金額が減ってしまいます。
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自転車とキックスケーターの違い
では、自転車とキックスケーターの違いは何でしょうか?
自転車は軽車両です。そのため法律上は車両の一種です。他方、キックスケーターは電動など特殊な機能がない限り車両ではありません。両者は法律上の取扱いが異なります。
そのため、自転車よりキックスケーターは過失割合を有利に算定することが多いです。
キックスケーターの過失割合の具体例
では、キックスケーターの事故の過失割合は具体的にどのようになるでしょうか?
キックスケーターと自動車が衝突した事案をご紹介します。
(東京地方裁判所立川支部平成26年8月27日判決)
裁判所の判断
- キックスケーターは各メーカーや機種ごとに構造(開発設計意図や制動装置の有無等)が異なる
- 今回のキックスケーターはアルミ製で長さ65センチメートル、幅34センチメートル、高さ90センチメートル
- キックスケーターを使用した者の過失の程度については、直ちに軽車両の使用者と同列に評価したり、あるいは、純然たる歩行者と同列に評価したりするのではなく、具体的な事案ごとに考察するのが相当であるというべきである。
- キックスケーターの構造は片足を乗せてもう一方の足で地面を蹴って進む通常のタイプのものであり、特殊な機能を備えているものではない
- キックスケーターと自転車の事故を同様に評価するのは相当ではない
- 自動車とキックスケーターの過失割合は95対5とする。
弁護士のコメント
キックスケーターは自転車より過失割合を少なく判断することが多いです。
今回の裁判例でも、自転車であれば10%~30%程度の過失でもおかしくない事案でした。被告の主張する過失割合も30%でした。
しかし、判決の過失割合は5%でした。キックスケーター事故は自転車事故とは異なる判断となる確率が高いです。
ただし、キックスケーターの構造や個別の事故状況により大幅に過失割合が変わる可能性があります。
まとめ:キックスケーターと過失割合
キックスケーター事故は自転車事故より有利な過失割合となることが多いです。ただし、キックスケーターの構造や個別の事故状況により、大幅に過失割合が変わる可能性があります。
(監修者 弁護士 松本 達也)