電動キックボードの交通事故における加害者の責任
監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 川田 啓介
- Q電動キックボードの交通事故における加害者の責任はどうなりますか?
- A電動キックボードとは、キックボードに取り付けられた電動式モーターにより自走可能な乗り物です。刑事上の責任、行政上の責任、民事上の責任を事故の加害者は負います。
電動キックボードの種類や保険の有無により、加害者の責任は異なります。悩んだら、まずは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。
電動キックボードとは
電動キックボードとは、キックボードに取り付けられた電動式モーターにより自走可能な乗り物です。
電動キックボードは、いわゆる原付バイク又は自動車と同じ扱いで運転免許が必要です。しかし、一定の基準を満たす電動キックボードは、特定小型原動機付自転車と定義され、16歳以上であれば、運転免許がなくても運転できます。
特定小型原動機付自転車とは
電動キックボードのうち、特定小型原動機付自転車は、16歳以上であれば運転免許がなくても運転できます。
では、特定小型原動機付自転車となる電動キックボードはどのようなものでしょうか?
次の条件を全て満たすときは、電動キックボードは特定小型原動機付自転車となります。
- 車体の長さ:190センチメートル以下
- 車体の幅:60センチメートル以下
- 原動機として、定格出力が0.60キロワット以下の電動機を用いること
- 時速20キロメートルを超えて加速することができない構造であること
- 走行中に最高速度の設定を変更することができないこと
- オートマチック・トランスミッション(AT)であること
- 最高速度表示灯(灯火が緑色で、点灯又は点滅するもの)が備えられていること
加害者の3つの責任
では、電動キックボードで事故を起こすと、加害者の責任はどうなるでしょうか?
交通事故の加害者には次の3つの責任があります。
- ①刑事上の責任
- ②行政上の責任
- ③民事上の責任
関連情報
電動キックボードが原動機付自転車又は自動車の扱いのときと特定小型原動機付自転車の扱いのときで責任が異なることがあります。悩んだら、まずは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。
電動キックボードの民事上の損害賠償の注意点
では、電動キックボードの民事上の損害賠償ではどのような点に注意すべきでしょうか?
電動キックボードの事故では、次のような注意点があります。
- ①保険加入の有無を確認しましょう
- ②過失割合を個別事案ごとに協議するためもめやすいです
①保険加入の有無の確認
自動車には自賠責保険と任意保険があります。電動キックボードでも自賠責保険や任意保険に加入していることがあります。
保険の有無により手続きの流れは大きく変わります。まずは保険の有無を確認しましょう。
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②過失割合を個別事案ごとに協議するためもめやすいです
過失割合を個別事案ごとに協議するため、電動キックボードの事故はもめやすいです。
自動車事故の場合、別冊判例タイムズ38号の図面を元に過失割合を決めることが多いです。しかし、別冊判例タイムズ38号には電動キックボードの図面はありません。
したがって、過失割合を個別事案ごとに協議するため、電動キックボードの事故はもめやすいです。
まとめ:電動キックボードの交通事故における加害者の責任
電動キックボードとは、キックボードに取り付けられた電動式モーターにより自走可能な乗り物です。刑事上の責任、行政上の責任、民事上の責任を事故の加害者は負います。
電動キックボードの種類や保険の有無により、加害者の責任は異なります。悩んだら、まずは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。
(監修者 弁護士 川田 啓介)