加重障害
監修者:よつば総合法律事務所
代表弁護士 大澤 一郎
- Q後遺障害認定で加重障害の場合、どうなりますか?
- A加重障害とは、既に後遺障害のある者が傷害を受けたことによって、同一部位について障害の程度を加重した場合です。
自賠責保険は加重障害のときは減額となります。逸失利益と後遺障害慰謝料は、加重障害を理由とする減額があることが多いです。
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加重障害とは
加重障害とは、既に後遺障害のある者が傷害を受けたことによって、同一部位について障害の程度を加重した場合です。
たとえば、既に右腕に障害のある人が事故で右腕を怪我し、さらに右腕の障害の程度が悪化したようなときです。
既にあった後遺障害は自動車事故に限りません。先天的な障害や事故以外の理由による障害を含みます。
加重障害になるかは専門的な判断が必要です。悩んだら、交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。
加重障害の後遺障害認定の注意事項
では、加重障害の後遺障害認定の注意事項は何でしょうか?
認定された後遺障害等級、既存障害とされた後遺障害等級の2つの後遺障害の妥当性を検討することが重要です。
もし、既存障害とされた後遺障害等級が実際には既存障害ではなかった場合、受領できる金額が増えます。もちろん、認定された後遺障害等級が変更になれば受領できる金額が増えます。
自賠責保険の扱い
では、自賠責保険の加重障害の扱いはどのようになるでしょうか?
自賠責保険では、今回の事故の後遺障害に対応する保険金から既存の後遺障害に対応する保険金を引く扱いになっています。
たとえば、今回の事故の後遺障害が「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」(3級3号)とします。
しかし、既存の後遺障害として「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」(7級4号)があるとします。
3級3号の自賠責保険金は2,219万円です。7級4号の自賠責保険金は1,051万円です。この場合、2,219万円から1,051万円を引いた1,168万円を自賠責保険は支払います。
逸失利益の扱い
加重障害のとき、逸失利益の扱いはどうなるでしょうか?
逸失利益とは、事故によって今後減少するであろう収入のことです。
加重障害の場合、加重障害であることを理由として逸失利益を減額することが多いです。減額方法には次のような方法があります。
加重障害の逸失利益の計算方法は複雑です。悩んだら、まずは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。
後遺障害慰謝料の扱い
加重障害のとき、後遺障害慰謝料の扱いはどうなるでしょうか?
後遺障害慰謝料とは、後遺障害の認定に伴う慰謝料です。
加重障害の場合、加重障害であることを理由として後遺障害慰謝料を減額することが多いです。減額方法には次のような方法があります。
- ①今回の事故による後遺障害に相当する慰謝料額を個別に検討する方法
- ②加重障害がない前提の後遺障害慰謝料から加重障害として認定された後遺障害等級の慰謝料を引く方法
加重障害の後遺障害慰謝料の計算方法は複雑です。悩んだら、まずは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。
まとめ:加重障害
加重障害とは、既に後遺障害のある者が傷害を受けたことによって、同一部位について障害の程度を加重した場合です。
自賠責保険は加重障害のときは減額となります。逸失利益と後遺障害慰謝料は、加重障害を理由とする減額があることが多いです。
(監修者 弁護士 大澤 一郎)