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示談後の症状悪化と追加請求

示談後の症状悪化と追加請求

最終更新日:2023年7月19日

監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 佐藤 寿康

Q示談後に症状が悪化しました。追加請求はできますか?
A示談書を作成した後の追加請求は原則できません。ただし、示談後にも追加請求できることを示談書に記載したときは、追加請求できる可能性があります。
交通事故の示談

交通事故の示談とは

交通事故の示談とは、交通事故をめぐる紛争を、裁判によらず当事者間の話し合いで解決することです。

交通事故の示談は、示談書、合意書、承諾書、免責証書等の名前の書類を作成することが多いです。

書面には次のような内容を入れることが多いです。
①最終的な支払金額。たとえば「100万円」など具体的な金額
②今後追加の請求はできないこと

最終的な示談後の請求は原則できない

示談の書面では、今後追加の請求はできないことを記載することが多いです。具体的には次のような文言を記載することが多いです。

  • 一切を解決したものとし今後の請求や異議申立をしないこととする
  • 相互に請求しないこととする
  • 互いに債権債務がないことを確認する

そのため、示談書作成後の追加請求は原則できません。示談後に症状が悪化したときも追加請求は原則できません。

最終的な示談後の請求ができるとき

では、示談後の請求ができるときはどのようなときでしょうか。

次のようなときは示談後の請求ができるときがあります。

  • 錯誤(勘違い)のとき
  • 交通事故によるすべての損害を把握することが難しい場合において、早急に、小額の賠償金で示談が行われた場合、示談の当時に予想できなかった後遺症が発生したとき
  • 示談書に後日請求できることを記載したとき

錯誤(勘違い)のとき

錯誤とは勘違いのことです。

保険会社との示談書作成時に錯誤となることは通常ありません。しかし、本人が明らかな勘違いをしているときは錯誤となり、再度の示談交渉が可能となることもあります。

たとえば、怪我で通院しているにもかかわらず、車の修理代のみを受け取り、怪我の分の損害を請求しないという示談書を作成した場合、勘違いであれば錯誤となる確率が高いでしょう。

示談の当時に予想できなかった後遺症が発生したとき

交通事故によるすべての損害を把握することが難しい場合において、早急に、小額の賠償金で示談が行われた場合、示談の当時に予想できなかった後遺症が発生したときは、示談書を作成したとしても追加の請求が可能です。

ただし、追加請求できるかどうかは交渉経緯や負傷状況など個別の事実関係によります。判断が難しいので悩んだときは弁護士へのご相談をおすすめします。

示談後にも請求できることを示談書に記載したとき

示談後にも請求できることを示談書に記載したときは、追加の請求が可能です。たとえば、次のような記載です。

  • 万一、本示談成立日以降において、後遺症が発生した場合、加害者は被害者に対し、本示談内容とは別に、後遺症についての治療費、休業補償、逸失利益、慰謝料などの損害賠償金を支払う。
  • 後遺障害が認定された場合、後遺障害部分の損害を別途支払う。
  • 本合意は傷害部分のみの合意であり、後遺障害部分は別途協議する。
  • 本合意は物的損害の合意であり、人身損害の合意は別途行う。

示談後にも請求できることを示談書に記載したときは、示談後に症状が悪化しても追加請求できる可能性はあります。

ただし、追加請求が可能かどうかは示談書の記載内容や症状推移により異なります。示談書の文言の解釈に関する争いが発生することもあります。判断が難しいので悩んだときは示談書作成前に弁護士へのご相談をおすすめします。

まとめ:示談後の症状悪化と追加請求

示談書を作成した後の追加請求は原則できません。ただし、示談後にも追加請求できることを示談書に記載したときは、追加請求できる可能性があります。

(監修者 弁護士 佐藤 寿康

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