医療照会
監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 松本 達也
- Q医療照会とは何ですか?
- A医療照会とは、病院などの医療機関に対し、患者の病状や治療経過、検査結果などの資料や回答を求めることです。
医療照会を拒否すると、手続きがスムーズに進まない確率が上がります。保険会社の医療照会を被害者が拒否することは望ましい対応ではないでしょう。
―――― 目次 ――――
医療照会とは
医療照会とは、病院などの医療機関に対し、患者の病状や治療経過、検査結果などの資料や回答を求めることです。
交通事故にあって被害者が治療を受けると、病院には治療記録(カルテ)や診断書、診療報酬明細書や検査結果などの資料がたまっていきます。 これらの記録を取り寄せたり、医師に患者の状況を質問して回答を求めたりすることが医療照会です。
医療照会は保険会社が行うことが多いです。弁護士が行うこともあります。
医療照会は書面による照会と面談による照会があります。
保険会社が医療照会をするとき
では、保険会社が医療照会をするのはどのようなときでしょうか?
保険会社は次のようなとき医療照会をすることが多いです
- ①通院期間が長くなってきたとき
- ②休業損害支払の可否を確認するとき
- ③事故が原因の症状か確認するとき
①通院期間が長くなってきたとき
事故による治療期間はある程度目安があります。打撲や挫傷で1~3カ月、捻挫で3~6カ月、骨折で6カ月以上が1つの目安です。
怪我の種類 | 治療期間の目安 |
---|---|
打撲・挫傷 | 1~3カ月 |
捻挫 | 3~6カ月 |
骨折 | 6カ月以上 |
注 個別事案により異なります。
ある程度通院期間が長くなると、保険会社が治療終了時期などを医療照会することがあります。
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②休業損害支払の可否を確認するとき
事故により仕事ができないとき、休業損害の支払があります。症状や仕事内容との関係で休業が必要か否かにつき、保険会社が医療照会することがあります。
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③事故が原因の症状か確認するとき
事故が原因で発生する治療費を保険会社は支払います。事故が原因ではない治療費を保険会社は支払いません。
事故が原因の症状か確認するため、保険会社が医療照会することがあります。
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まとめ:保険会社が治療照会をするとき
保険会社は次のようなとき医療照会をすることが多いです。
- 通院期間が長くなってきたとき
- 休業損害支払の可否を確認するとき
- 事故が原因の症状か確認するとき
保険会社の医療照会を被害者が拒否した場合
では、保険会社の医療照会を被害者が拒否した場合、どのようになるでしょうか?
医療照会は被害者の同意書が必要です。被害者は同意書を出さずに医療照会を拒否することができます。
しかし、保険会社の医療照会を被害者が拒否した場合、保険会社は医療機関へ問い合わせができません。治療や休業の必要性を保険会社は確認できません。症状も確認できません。そのため、保険会社は治療費や休業損害を支払わないでしょう。
保険会社の医療照会を被害者が拒否することは望ましい対応ではありません。
弁護士が医療照会をするとき
被害者側の弁護士が医療照会をするときがあります。保険会社と同じく治療費や休業損害の照会をする事案もあります。
また、被害者側の弁護士は、後遺障害に関する医療照会をすることもあります。
MRI等の画像所見がない場合、後遺障害申請の証拠が不十分のことがあります。このような場合、医療照会で医師に質問状を送り、回答を書面で出していただければ後遺障害認定の証拠となります。
回答書を作成していただく前の段階で弁護士が医師と面談を行うこともあります。質問の意味や回答していただきたい理由等を医師に説明し、より適切な回答書を出していただけるようにする事案もあります。
医療照会の書面を提出した結果、認定が難しい後遺障害認定を取得できることもあります。交通事故被害者にとって被害者側弁護士からの医療照会は重要です。
まとめ:医療照会
医療照会とは、病院などの医療機関に対し、患者の病状や治療経過、検査結果などの資料や回答を求めることです。保険会社が行うことが多いです。
保険会社は次のようなとき医療照会をすることが多いです。
- 通院期間が長くなってきたとき
- 休業損害支払の可否を確認するとき
- 事故が原因の治療かどうか確認するとき
医療照会を拒否すると、手続きがスムーズに進まない確率が上がります。保険会社の医療照会を被害者が拒否することは望ましい対応ではありません。
(監修者 弁護士 松本 達也)