事故直後に100%悪いと一筆書いてもらった場合
監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 松本 達也
- Q事故直後に100%悪いと一筆書いてもらいました。過失割合は0対100になりますか?
- A加害者が事故直後に100%悪いという書面を作成しても、加害者の過失が100%になるとは限りません。ただし、加害者が書いた紙があると、ある程度被害者に有利な過失割合となることもあります。
―――― 目次 ――――
過失割合とは
過失割合とはどの程度どちらが悪いという責任の割合です。「10対0」「7:3」「80対20」などと言います。過失があると相手に請求できる金額が減ってしまいます。
関連情報
過失割合は客観的な事故状況で決まる
過失割合は客観的な事故状況で決まるのが原則です。そのため、加害者が事故直後に100%悪いという書面を作成しても、加害者の過失が100%になるとは限りません。
では、過失割合はどのように決まるのでしょうか?
加害者が保険に入っているとき、過失割合は次の流れで決まることが多いです。
- ①加害者の保険会社が事故状況を調査
- ②調査に基づき加害者の保険会社が過失割合を提示
- ③被害者と加害者の保険会社が協議や交渉
- ④最終的な過失割合や損害額の決定
もちろん、協議や交渉ではお互いの合意が重要です。ただ、事故直後に加害者が100%悪いと書いてもらった書面だけではあまり意味がないことが多いです。
過失割合を有利にする方法
では、過失割合を有利にするにはどうすればよいでしょうか?
過去の類似事例調査と証拠が大切です。
過去の類似事例調査
事故状況により、ある程度過失割合は決まっています。別冊判例タイムズ38号という書籍には、過去の典型的な交通事故の過失割合の図があります。
まずは過去の類似事例を元にして、基本の過失割合を把握しましょう。
別冊判例タイムズ38号にない事故状況のときは、過去の裁判例の検索が必要となることもあります。裁判例の検索が必要なときは事故に詳しい弁護士に相談しましょう。
証拠が大切
事故状況を把握するには証拠が大切です。次のような証拠が有力です。
①ドライブレコーダー
②警察官等が作成する刑事記録
他にも次のような点が役に立つこともあります。
①近隣の監視カメラ
②目撃者の証言
③車の損傷状況からの推測
④怪我の状況からの推測
⑤当事者の発言からの推測
事故直後に100%悪いと一筆書いてもらうメリット
では、事故直後に100%悪いと一筆書いてもらうことは全く意味はないのでしょうか?
全く意味がないということはありません。
事故直後に100%悪いと加害者が書いた以上、100%悪いと事故直後は思っていたはずです。
加害者と加害者の任意保険会社が後日過失割合を争う可能性はあります。しかし、加害者が書いた紙があると、ある程度被害者に有利な過失割合となることもあります。
そのため、事故直後の書類の作成は全く無意味ではありません。
まとめ:事故直後に100%悪いと一筆書いてもらった場合
加害者が事故直後に100%悪いという書面を作成しても、加害者の過失が100%になるとは限りません。ただし、加害者が書いた紙があると、ある程度被害者に有利な過失割合となることもあります。
(監修者 弁護士 松本 達也)