GCSとJCS
最終更新日:2023年8月24日
監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 松本 達也
- Q高次脳機能障害の被害者です。GCSとJCSとは何ですか?
- AGCSとは、グラスゴー・コーマ・スケールです。JCSとは、ジャパン・コーマ・スケールです。共に頭部外傷後の意識障害の評価方法です。
―――― 目次 ――――
高次脳機能障害とは
高次脳機能障害とは脳損傷による認知障害全般です。様々な認知障害だけではなく、行動障害や人格変化を伴うことが多いです。
症状には記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがあります。
関連情報
高次脳機能障害の後遺障害認定基準
交通事故で高次脳機能障害と認定されるには①頭部外傷を示す傷病名②意識障害③画像所見が原則必要です。そして、意識障害の所見を測定するのがGCSとJCSです。
GCSとは
GCSとは、グラスゴー・コーマ・スケール(Glasgow Coma Scale)です。
GCSは世界に通用する意識障害の評価方法です。開眼機能、言語機能、運動機能の3つの指標の合計点で評価します。正常は15点満点です。点数が下がるほど重症です。
E 開眼機能(Eye opening)
- 4 自発的に、または普通の呼びかけで開眼
- 3 強く呼びかけると開眼
- 2 痛み刺激で開眼
- 1 痛み刺激でも開眼しない
V 言語機能(Verbal response)
- 5 見当識が保たれている
- 4 会話は成立するが見当識が混乱
- 3 発語は見られるが会話は成立しない
- 2 意味のない発声
- 1 発語みられず
M 運動機能(Motor response)
- 6 命令に従って四肢を動かす
- 5 痛刺激に対して手で払いのける
- 4 指への痛刺激に対して四肢を引っ込める
- 3 痛刺激に対して緩徐な屈曲運動
- 2 痛刺激に対して緩徐な伸展運動
- 1 運動みられず
たとえば、強く呼びかけると開眼(3)、発語は見られるが会話は成立しない(3)、痛刺激に対して手で払いのける(5)の場合、E3 V3 M5 合計11と評価します。
JCSとは
JCSとは、ジャパン・コーマ・スケール(Japan Coma Scale)です。
JCSは、比較的簡単に意識レベルを評価でき、脳や延髄損傷の程度を判定しやすい評価方法です。以下の点数で評価します。
覚醒している(1桁の点数で表現)
- 0 意識清明
- 1 見当識は保たれているが意識清明ではない
- 2 見当識障害がある
- 3 自分の名前・生年月日が言えない
刺激に応じて一時的に覚醒する(2桁の点数で表現)
- 10 普通の呼びかけで開眼する
- 20 大声で呼びかけたり、強く揺するなどで開眼する
- 30 痛み刺激を加えつつ、呼びかけを続けると辛うじて開眼する
刺激しても覚醒しない(3桁の点数で表現)
- 100 痛みに対して払いのけるなどの動作をする
- 200 痛み刺激で手足を動かしたり、顔をしかめたりする
- 300 痛み刺激に対し全く反応しない
たとえば、刺激に応じて一時的に覚醒する状態で、普通の呼びかけで開眼する状態だった場合、JCS10と評価します。
まとめ:GCSとJCS
GCSとは、グラスゴー・コーマ・スケールです。JCSとは、ジャパン・コーマ・スケールです。共に頭部外傷後の意識障害の評価方法です。
(監修者 弁護士 松本 達也)