チャイルドシート不装着と過失相殺
最終更新日:2023年8月10日
監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 前原 彩
- Qチャイルドシート不装着は過失相殺の対象になりますか?
- Aチャイルドシート不装着は過失相殺の対象になることが多いです。過失割合が5~10%不利になります。
―――― 目次 ――――
過失相殺とは
過失相殺(かしつそうさい)とは、損害賠償額を決めるときに被害者の過失を考慮する制度です。
被害者に過失がないときは、損害の全部を加害者が賠償します。過失相殺はされません。被害者に過失があるときは、損害の一部を加害者が賠償します。過失相殺がされます。
関連情報
チャイルドシートのルール
子供が6歳未満の場合、チャイルドシートの装着が義務です。(道路交通法第第71条の3)
そのため、子供が5歳以下の場合、チャイルドシートに載せなければいけません。
チャイルドシート不装着と過失割合
では、チャイルドシート不装着のとき、過失割合はどうなるでしょうか?
チャイルドシート不装着の場合、過失割合が5~10%不利になることが多いです。
チャイルドシート不装着でも過失相殺がないとき
では、チャイルドシート不装着でも過失相殺がないのはどのようなときでしょうか?
次のようなときはシートベルト不着用でも過失相殺がないことがあります。
- ①車の座席の構造から、チャイルドシートを固定できない場合
- ②定員内の乗車人員だが、幼児全員分のチャイルドシートを置くと、全員が乗車できなくなる場合
- ③幼児が病気や怪我をしており、チャイルドシートが療養上や健康上不適当な場合
- ④著しい肥満のケースなど、幼児の身体の関係で、チャイルドシートを適切に利用できない場合
- ⑤チャイルドシートを使ったままでは、授乳などの必要な世話を実施できない場合
- ⑥バスやタクシーに乗車する場合
- ⑦道路運送法によって特別に許可された自家用運送車に乗せる場合
- ⑧負傷した子どもを病院へ運ぶ場合
- ⑨迷子になった子どもを警察に連れていく場合
- ⑩チャイルドシートの装着の有無にかかわらず同じ怪我をしていたと判断できる場合
父母が同乗していないとき
では、父母の同乗の有無により、過失相殺は変わるでしょうか?
父母が同乗していない場合、過失相殺されない可能性もあります。チャイルドシート装着義務違反という父母の法律違反を理由に過失相殺するため、父母が運転していないときは過失相殺すべきではないこともあるためです。
父母の同乗の有無で過失割合が変わるかは専門的な判断です。まずは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。
チャイルドシートの着用の有無を調査する方法
チャイルドシート利用の有無を調査するにはどうすればよいでしょうか?
警察が作成する刑事記録の中に、チャイルドシート利用の有無の記載があることがあります。また、事故状況や負傷状況などからチャイルドシート利用の有無が推測できることもあります。
まとめ:チャイルドシート不装着と過失相殺
チャイルドシート不装着は過失相殺の対象になることが多いです。過失割合が5~10%不利になります。
(監修者 弁護士 前原 彩)