抜釘をしないままの症状固定
監修者:よつば総合法律事務所
代表弁護士 大澤 一郎
- Q抜釘をしないまま症状固定にするとどうなりますか?
- A抜釘とは、手術により体内に残った異物や金属ネジを取り出すことです。
抜釘しないまま症状固定にした場合、症状固定後の治療費は原則自己負担です。また、体の中にボルトやプレートなどが入っていることを前提に後遺障害等級を審査します。
抜釘の有無や時期により保険金の金額が変わる可能性もあります。悩んだら、まずは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。
―――― 目次 ――――
抜釘とは
抜釘とは、手術により体内に残った異物や金属ネジを取り出すことです。「ばってい」と読みます。
骨折などの治療の場合、体内にボルトやプレートなどの金属を入れることがあります。ボルトやプレートなどの金属を取りだすのが抜釘です。
症状固定とは
症状固定とは治療を継続しても効果が見込まれず、症状の改善がない状態のことです。
事故から一定の期間で症状固定になります。
骨折の場合、事故から6カ月~2年での症状固定が多いです。
抜釘しないままの症状固定
では、抜釘しないまま症状固定となることはあるのでしょうか?
抜釘しないまま症状固定となることはあります。
抜釘の有無及び時期は主治医の判断です。骨が癒合したら抜釘し、その後に症状固定とすることが多いです。しかし、医師が現時点で抜釘をすることが相当ではないと判断した場合、抜釘しないまま症状固定となることはあります。
将来の治療費の扱い
抜釘しないまま症状固定にした場合、将来の治療費の扱いはどうなるでしょうか?
症状固定までの治療費は保険会社の負担、症状固定後の治療費は自己負担が原則です。そのため、症状固定後の治療費は原則自己負担です。
しかし、次のようなときは例外的に、症状固定後の治療費が賠償対象となることがあります。
- 重症の場合で症状の悪化を防ぐため必要があるとき
- 将来手術をする確率が相当高いとき
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後遺障害の扱い
抜釘しないまま症状固定にした場合、後遺障害の扱いはどのようになるでしょうか?
抜釘しないまま症状固定にしたとき、体の中にボルトやプレートなどが入っていることを前提に後遺障害等級を審査します。
たとえば、骨癒合が不十分なために抜釘をしなかったとすると、偽関節などの後遺障害となる可能性があります。可動域制限や痛みの後遺障害となる可能性もあります。
関連情報
抜釘をするかどうかの判断
抜釘をするかどうかの判断は、主治医の意見を元に決めましょう。
ただし、交通事故は保険金の問題があります。抜釘の有無や時期により保険金の金額が変わることもあります。悩んだら、まずは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。
まとめ:抜釘をしないままの症状固定
抜釘とは、手術により体内に残った異物や金属ネジを取り出すことです。
抜釘しないまま症状固定にした場合、症状固定後の治療費は原則自己負担です。また、体の中にボルトやプレートなどが入っていることを前提に後遺障害等級を審査します。
抜釘の有無や時期により保険金の金額が変わる可能性もあります。悩んだら、まずは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。
(監修者 弁護士 大澤 一郎)