2030年の弁護士費用特約
監修者:よつば総合法律事務所
代表弁護士 大澤 一郎
- Q2030年には弁護士費用特約はどのようになっていると思いますか?
- A2030年の弁護士費用特約は、一層の定額化と低額化が進むでしょう。交通事故以外の弁護士費用特約がより普及するでしょう。
―――― 目次 ――――
弁護士費用特約とは
弁護士費用特約とは、弁護士に相談したり依頼したりする費用を保険会社が補償する特約です。自分の自動車保険などに付いていることがあります。
関連情報
2000年以降の弁護士費用特約の推移
弁護士費用特約が始まったのは2000年です。私大澤一郎が弁護士登録したのは2002年です。当時も弁護士費用特約は既にありました。しかし、余り普及していた印象はありません。
弁護士の研修をする司法研修所で弁護士費用特約を習ったことはありません。弁護士向けの交通事故の書籍にも弁護士費用特約のことはほとんど記載はなかったと思います。
今思うと勉強不足でお恥ずかしい限りですが、新人弁護士だった2002年は弁護士費用特約の存在を知りませんでした。
「弁護士費用が自分の保険で出るんですよ」とお客様から初めて言われたとき、「そんな保険が本当にあるのか???」と驚いた記憶があります。
その後、交通事故を専門に取り扱う一部の事務所が弁護士費用特約の案件を多く取り扱っていたのではないかと思います。交通事故で多くの弁護士が弁護士費用特約の案件を積極的に取り扱うようになったのは、私の記憶では2008 年ころです。
2008年ころ、有名な大手弁護士法人が債務整理だけではなく交通事故にも大々的に進出しました。「弁護士費用特約」の利用を積極的に進めていたという記憶です。
弁護士費用特約は普及し、今では交通事故を取り扱う弁護士で弁護士費用特約のことを知らない人はいません。
今後の弁護士費用特約の動向
では、今後の弁護士費用特約はどのようになるでしょうか?
2つの「ていがくか」が進むと予想しています。定額化と低額化です。定額化と低額化は段階的に進んでいますが、今後一層進むという予想です。
定額化の傾向
請求額や獲得額に応じて弁護士費用特約に基づき支払われる金額は変わります。しかし、非常にわかりにくいです。
たとえば、弁護士と保険会社担当者では次のようなやりとりを行っています。
弁護士:弁護士費用の請求書を保険会社に出す
保険会社:一部支払ができない旨を弁護士に連絡する。
その後:弁護士と保険会社が協議する。
全ての案件ではありませんが、弁護士と保険会社が個別案件ごとに協議することは多いです。わかりにくいですし、時間もかかります。
獲得金額や後遺障害の等級、裁判の有無などで定額を支給する保険にすればわかりやすいです。そのため、弁護士費用特約の支払額の定額化が今後進むでしょう。
低額化の傾向
弁護士費用特約の支払額は、社会一般の人から見ると「高すぎる」と思われます。
(弁護士側には弁護士側の言い分がありますがここでは割愛します。)
そのため、支払基準は今後低額化するでしょう。
交通事故以外の弁護士費用特約の普及
交通事故で広く弁護士費用特約は普及しました。今後、交通事故以外での弁護士費用特約が普及していくと予想されます。弁護士に気軽に相談できるよい社会になることを願っています。
まとめ:2030年の弁護士費用特約
2030年の弁護士費用特約は、一層の定額化と低額化が進むでしょう。交通事故以外の弁護士費用特約がより普及するでしょう。
(監修者 弁護士 大澤 一郎)