実況見分調書

1. 実況見分調書とは

実況見分調書とは、事故の当事者や参考人の立会いのもとで現場の状況や事故の発生状況の調査を行い、調査結果を警察官がまとめた書類です。「じっきょうけんぶんちょうしょ」と読みます。

実況見分調書には、次のような事項の記載があります。

1. 実況見分の日時
2. ②実況見分の場所（事故現場住所）、車のナンバー
3. 目的（本件交通事故の状況を明らかにし、証拠を保全するため）
4. 実況見分の立会人（住居、職業、氏名、年齢）、立会人の説明
5. 実況見分の経過、現場の位置
6. 現場付近の模様（人家の状況、見通し状況、道路の幅員、路面状況、交通規制、信号機の状況など）
7. 事故車両の状況等（車両の大きさ、登録番号、年式、パンクの状態、損傷箇所など）
8. 天候

最初に相手を発見した地点、ブレーキを踏んだ地点、相手と接触した地点、危険を感じた地点、ハンドルを切った地点などの記載があることもあります。

事故車両の写真や現場近辺の写真が付いていることもあります。現場見取図という事故状況の図面もついています。

2. 実況見分調書を作成する場合

実況見分調書は人身事故の扱いのときに作成します。物件事故の扱いのときは物件事故報告書しか作成しません。物件事故報告書とは事故状況の概要のみを作成した書類です。

3. 実況見分調書作成までの流れ

では、実況見分調書作成までの流れはどのような流れでしょうか？

次のような流れで進むことが多いです。

1. 警察署に診断書を提出して人身事故扱いにする
2. 警察、被害者、加害者で日程調整を行う
3. 事故現場で警察官、被害者、加害者が立ち会って事実関係の確認をする
4. 実況見分調書を警察が作成する

• 注　個別事案により異なります。

4. 実況見分立会時の注意点

では、実況見分立会時はどのような点に注意すればよいでしょうか？

実況見分の立会時は、事故状況を警察官に正確に伝えることが重要です。

実況見分調書の内容を後日変えることは非常に困難です。そのため、自分の記憶通りに正確に警察官に事故状況を伝えましょう。

警察官の見解と自分の記憶が異なることもあるかもしれません。自分の記憶違いであれば警察官の見解に合わせても問題ないです。しかし、自分の記憶に自信があるときは、自分の記憶通りに警察官に説明しましょう。

ドライブレコーダーや防犯カメラ画像など客観的な証拠があるときは、客観的な証拠も確認しながら警察官に伝えましょう。

5. 実況見分に立ち会えなかった場合の対応

入院していたなどの事情で実況見分に立ち会えないことがあります。過失相殺が争点になりそうなときは、実況見分調書が不正確だと問題です。

退院して実況見分が可能となったら、自らが立ち会って現場で事故状況を警察に説明する機会を設けた方がよいこともあります。

6. 実況見分調書の取り寄せ方法

実況見分調書の取り寄せ方法は刑事事件の状況により異なります。また、地域により方法が異なるときもあります。悩んだときは、まずは警察に相談してみましょう。

7. 実況見分調書の内容が間違っているときの対応

では、実際に実況見分調書を取り寄せしたところ、実況見分調書の内容が間違っているときはどうすればよいでしょうか？

警察に説明しても、警察が書類の内容を変更することはほぼありません。加害者の保険会社も実況見分調書を元とした手続きを通常は進めます。

まずは客観的な証拠を集めましょう。ドライブレコーダー等の画像、事故車両の写真、第三者の目撃情報などです。

客観的な証拠がそろっているときは、民事裁判を検討しましょう。民事裁判で証明できれば、実況見分調書と異なる事故状況を元にした解決ができることがあります。

8. まとめ：実況見分調書

実況見分調書とは、事故の当事者や参考人の立会いのもとで現場の状況や事故の発生状況の調査を行い、調査結果を警察官がまとめた書類です。

実況見分調書の内容を後日争うことは困難です。実況見分の立会いでは、警察官に事実関係を正確に伝えましょう。