監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 大澤 一郎
治療やリハビリ
―――― 目次 ――――
治療やリハビリの流れ
交通事故で怪我をした場合、病院での治療やリハビリを行います。
初回に病院に行ったときには交通事故による怪我であることを受付で伝えましょう。
治療費は加害者の任意保険会社が支払うことが多いです。これを「任意一括対応」と言います。
任意一括対応(治療費支払い)の流れ
保険会社との調整ができている場合、治療費は加害者の任意保険会社が直接病院に支払います。調整ができていない場合、一度病院の窓口で治療費を立替しなければいけないことが多いです。
加害者の任意保険会社が治療費の対応を行わない場合には、健康保険を使って通院します。
治療やリハビリの注意点
病院と整骨院の違い
病院と整骨院は異なります。整骨院に行く場合には医師の同意をもらいましょう。また、整骨院のみに行くのではなく、病院にも並行して行きましょう。
他の呼び方 | 資格者 | 特徴 | |
---|---|---|---|
病院 | 医院・ クリニック |
医師 | ①診断書を発行する ②レントゲン等の検査をする ③薬の処方をする |
整骨院 | 接骨院 | 柔道整復師 | ①夜間や休日などに通いやすい |
早期に治療を開始すること
交通事故当日に病院に行きましょう。行けない場合でも事故翌日には病院に行きましょう。事故から時間が経過すればするほど、「事故と関係ある治療」と認められない確率が上がります。
治療期間の目安を逸脱しないこと
医師の指示に従い治療を継続しましょう。
適切な通院期間は怪我の状況により異なります。打撲・挫傷は1~3カ月、頚椎捻挫・腰椎捻挫では3~6カ月、骨折などの重症では6カ月以上の治療期間が多いです。
保険会社から治療費打ち切りの打診があった場合、方向性を慎重に検討しましょう。
あわせて読みたい
怪我の種類 | 治療期間の目安 |
---|---|
打撲・挫傷 | 1~3カ月 |
捻挫 | 3~6カ月 |
骨折 | 6カ月以上 |
注 個別の負傷状況により異なります。
健康保険の利用が望ましい場合
病院で診察を受けるときに利用する保険が健康保険です。交通事故でも健康保険は利用できます。何らかの理由で加害者の任意保険会社が治療費を支払わない場合、健康保険の利用を検討しましょう。
健康保険を利用すると治療費を抑えることができます。
そのため、特に①自らに過失が一定程度ある場合、②事故と怪我との因果関係に争いがある場合、③事故前からの病気である素因の影響が大きい場合には健康保険の利用が望ましいでしょう。
あわせて読みたい
労災保険の利用が望ましい場合
雇用されて働いている方が、勤務中や通勤中に怪我をした場合には労災保険が利用できます。何らかの理由で加害者の任意保険会社が治療費を支払わない場合など、労災保険の利用を検討しましょう。
労災保険は過失相殺により補償額を引かれることはありません。
そのため、特に、自らに過失が一定程度ある場合には労災保険の利用により補償額が増えることがあります。
あわせて読みたい
人身傷害保険の利用が望ましい場合
自らの加入する保険に人身傷害保険という特約があることがあります。人身傷害保険を利用すると、自らの加入する保険会社が治療費を支払います。
人身傷害保険は過失相殺により補償額を引かれることはありません。
そのため、特に、自らに過失が一定程度ある場合には人身傷害保険の利用により補償額が増えることがあります。
治療やリハビリのよくある勘違い
- Q忙しいので通院は後日でよいですか?
- できるだけ当日に通院しましょう。遅くても翌日には通院しましょう。
通院開始が遅ければ遅いほど、「事故と関係ない治療」となる確率が上がります。 - Q治療費を被害者が立替しなければいけないのですか?
- 任意一括払いの場合には立替は不要です。労災保険利用の場合も立替は通常不要です。
その他の場合、一度治療費を被害者が窓口で立替することが多いです。 - Q痛みが残っていればいつまででも通院できますか?
- 通院はできます。ただし、「事故による治療として通常の期間」が補償の対象です。そのため、保険会社がいつまでも治療費を支払うわけではありません。
- Q保険会社が治療費を支払わないのであれば加害者本人に請求できますか?
- 通常は難しいです。加害者の任意保険会社がいる場合に加害者本人に請求すると、話がこじれてしまいトラブルになる確率が上がってしまいます。
- Q整骨院だけの通院でもよいですか?
- 整骨院だけではなく病院にも並行して通院しましょう。
- Q交通事故では健康保険は使えないと言われましたが本当ですか?
- 交通事故でも健康保険は使えます。
- Q交通事故では労災保険は使えないと言われましたが本当ですか?
- 交通事故でも労災保険は使えます。
あわせて読みたい
- Q事故から2週間で通院回数は3回で終了しました。補償額が10万円以下ですが少なくないですか?
- 10万円以下は標準的な基準です。特に慰謝料は通院回数や通院期間で決まります。怪我が治っていない場合には適切な回数や期間の通院をしましょう。
あわせて読みたい
治療やリハビリのまとめ
- 治療費は加害者の任意保険会社が支払うことが多いです。「任意一括対応」と言います。
- 加害者の任意保険会社が治療費の対応を行わない場合には健康保険を利用して通院しましょう。
- 整骨院に通院する場合には医師の同意をもらいましょう。また、整骨院のみの通院ではなく、病院に並行して通院しましょう。
- 交通事故当日に病院に行きましょう。当日が難しい場合でも事故翌日には病院に行きましょう。
- 治療期間の目安を逸脱しないようにしましょう。打撲・挫傷は1~3カ月、頚椎捻挫腰椎捻挫では3~6カ月、骨折などの重症では6カ月以上の治療期間が多いです。
- 事案により労災保険や人身傷害保険の利用を検討しましょう。
(監修者 弁護士 大澤 一郎)
交通事故問題解決の流れの関連情報
- 交通事故問題解決の流れの一覧へ戻る
- STEP1 交通事故発生時の対応
- STEP2 警察や加害者への対応
- STEP3 治療やリハビリ
- STEP4 治療費打ち切り
- STEP5 症状固定・後遺障害の等級認定
- STEP6 保険会社からの示談案の提示
- STEP7 示談交渉・裁判