最終更新日:2023年5月25日
監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 大澤 一郎
警察や加害者への対応
―――― 目次 ――――
警察や加害者への対応の流れ
警察対応の流れ
事故にあったら警察へ110番通報をしましょう。
事故現場では、被害者と加害者がそれぞれ警察官から事故状況を聞かれることが多いです。
警察へ事故状況を正しく伝えましょう。
また、警察から怪我の有無を聞かれます。
怪我がある場合には怪我をしている旨を警察に伝えましょう。
警察からは「人身事故にしますか?」という質問があることがあります。
怪我をしているのであれば人身事故にすることをお勧めします。
加害者対応の流れ
加害者の住所・氏名・連絡先を聞きましょう。加害者の自賠責保険の内容、任意保険の内容も聞いておくとよいでしょう。加害者の勤務先の住所、名称、電話番号も念のため聞いておくと請求しやすいことがあります。
警察や加害者への対応の注意点
警察対応の注意点
- 怪我をしている場合は人身事故扱いにしましょう。物件事故だと「たいした怪我はしていない」と判断され、治療費を打ち切りされやすくなります。また、物件事故だと補償額が低くなりがちです。
注 物件事故は物損事故ともいいます。 - 警察が「加害者の説明と違う」と言ってきて加害者の説明に合わせるよう求めることがあります。しかし、自分の記憶通りに説明することが大切です。事故状況をまとめた実況見分調書や物件事故報告書を警察は後日作成します。一度記憶と違う説明をしてしまうと警察作成の資料の内容を後日くつがえすのは難しいので注意しましょう。
加害者対応の注意点
- 事故現場で加害者と示談をすることは避けましょう。不確かな事実経緯や情報を元にした示談をすると損することがあります。
- 加害者が任意保険に加入していない場合には、車の所有者や勤務先の情報が重要になることがあります。車の所有者や職場に請求できることがあるためです。怪我をした事故の場合には車の所有者に請求できる確率が高いです。また、仕事中の事故の場合には職場に請求できる確率が高いです。
警察や加害者への対応のよくある勘違い
- Qたいした怪我ではないので人身事故にしなくてもよいですか?
- 怪我をしている場合には人身事故にすることをお勧めします。
人身事故のメリット・デメリットは次の通りです。メリット
- 怪我が重いと判断され保険会社からの補償額が多くなる可能性があります。
- 事故の正確な図面である実況見分調書を警察が作成します。後日事故状況が争いとなった場合の重要な証拠となります。
- 加害者が刑事処分を受ける可能性があります。
- 加害者の免許点数が引かれる行政処分が重くなります。
デメリット
- 警察からの呼出への対応 警察への診断書の提出など手続が面倒です。
- 自分に過失がある場合、自分も刑事処分や行政処分を受ける可能性が上がります。
- Q事故翌日から体が痛くなってきました。もう人身事故に変更できませんか?
- 事故翌日であれば人身事故へ変更できる確率が高いでしょう。病院で診察を受け、診断書を警察に提出しましょう。
- Q事故から1カ月してから体が痛くなってきました。人身事故に変更できますか?
- 事故から1カ月後だと人身事故への切替は難しいでしょう。1カ月間通院していないと事故と関係ある怪我であると判断されないことが多いです。
事故が原因で症状がある場合には、1日でも早く病院で診察を受け、診断書を警察に提出しましょう。 - Q警察が説明する事故状況と私の記憶が違います。面倒なので警察の説明通りと回答してよいですか?
- 自分の記憶通りに説明しましょう。当日の聞き取りを元に警察が作成する実況見分調書は事故状況を証明する証拠としての価値が極めて高いです。
一度実況見分調書が作成されると内容をくつがえすことは難しいです。そのため、自分の記憶通りに説明しましょう。 - Q加害者が「私が全部悪い」と事故現場で話していました。当然過失は10対0ですか?
- 当然10対0とは限りません。過失割合は事故状況により決まります。
「私が全部悪い」と話していても10対0にならないことがあります。あわせて読みたい
- Q絶対防げない事故なのに私にも過失があると警察に言われました。本当ですか?
- 過失割合は事故状況により決まります。絶対防げない事故でも過去の裁判の事例を参考にして一定の過失ありとの判断になることはあります。
- Q動いている車同士の事故では過失ゼロにはならないのですか?
- 過失ゼロになることもあります。
①後ろから追突された事故や②相手がセンターラインオーバーの事故では、被害者の過失はゼロとなります。あわせて読みたい
- Q加害者の職場への請求は難しいですか?
- 請求できることもあります。
加害者が仕事中の事故の場合には加害者の職場に請求できることもあります。「使用者責任」と言います。 - Q加害者が謝りにきません。おかしくないでしょうか?
- 人間としておかしいという場合は多いです。
ただし、謝罪を強制することはできません。強制された謝罪をされても意味がありません。
加害者が謝りにこないということも含めて適切な補償額を獲得するようにしましょう。あわせて読みたい
警察や加害者への対応のまとめ
- 事故にあったら警察へ110番通報をしましょう。
- 事故現場では、被害者と加害者が別々に警察官から事故状況を聞かれることが多いです。警察へ事故状況を正しく伝えましょう。
- 警察から怪我の有無を聞かれます。怪我がある場合には怪我をしている旨を警察に伝えた上で人身事故にすることをお勧めします
- 加害者の住所氏名連絡先を聞きましょう。加害者の自賠責保険の内容、任意保険の内容も聞いておくとよいでしょう。加害者の勤務先の住所、名称、電話番号も念のため聞いておくと請求がしやすいことがあります。
(監修者 弁護士 大澤 一郎)
交通事故問題解決の流れの関連情報
- 交通事故問題解決の流れの一覧へ戻る
- STEP1 交通事故発生時の対応
- STEP2 警察や加害者への対応
- STEP3 治療やリハビリ
- STEP4 治療費打ち切り
- STEP5 症状固定・後遺障害の等級認定
- STEP6 保険会社からの示談案の提示
- STEP7 示談交渉・裁判