学生の慰謝料の計算方法
最終更新日:2023年8月30日
監修者:よつば総合法律事務所
代表弁護士 大澤 一郎
- Q学生の慰謝料はどのように計算しますか?
- A学生でも社会人でも慰謝料の計算方法は同じです。ただし、①事故による留年・退学があったような場合や②事故によって就職ができなくなってしまったような場合には慰謝料の増額が認められる可能性があります。
―――― 目次 ――――
慰謝料の計算方法
慰謝料は入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の2つ
入通院慰謝料は入院をしたことや通院をしたことに対する慰謝料です。
後遺障害慰謝料は後遺障害が認められたことに対する慰謝料です。
なお、死亡事故の場合には死亡慰謝料が認められます。
交通事故の慰謝料の3つの基準
交通事故の慰謝料には①自賠責保険の基準、②任意保険の基準、③裁判の基準(弁護士基準)の3つの基準があります。
一般的には自賠責保険の基準が一番低く、裁判の基準(弁護士基準)が一番高いです。
入通院慰謝料の裁判基準(弁護士基準)
裁判基準(弁護士基準)の場合、事故発生から入通院終了までの期間で慰謝料額を決めます。
骨折などの場合は別表Ⅰ、むちうち症で他覚所見がない場合などは別表Ⅱを利用します。
例えば、骨折で完治まで6か月治療を継続した場合、慰謝料は116万円となります。
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後遺障害慰謝料の裁判基準(弁護士基準)
後遺障害慰謝料は後遺障害の等級によって決まります。例えば、後遺障害等級14級の場合には裁判基準(弁護士基準)の慰謝料は110万円となります。
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死亡慰謝料の裁判基準(弁護士基準)
学生の死亡事故の場合、裁判基準の慰謝料は2,000万円から2,500万円となります。
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学生と社会人で慰謝料計算方法に違いはない
- 学生でも社会人でも、入通院の期間や回数で慰謝料の金額が決まることに変わりはありません。
- 学生が学校を休んだとしても、学校を休んだこと自体に対する補償は原則ありません。あくまで、入通院の期間や回数で慰謝料は決まります。
- 経験上、若い人は早期に治療成果が出ることが多いです。そのため、通院回数や通院期間が少ない結果、学生は慰謝料額も少ないということが多いです。
- なお、学生と社会人で補償額が変わる部分は慰謝料ではなく休業損害などです。休業損害は仕事を休んだことへの補償のため学生には認められません。ただし、近いうちに就職を予定していた場合、アルバイトをしていた場合等の場合には学生にも休業損害が認められることがあります。
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例外的に違いが発生する場合
- 「事故によって留年した」、「事故によって退学になった」などの場合、留年や退学の事情を考慮して慰謝料が増額される可能性があります。
- 「事故によって就職できなくなった」という場合、就職できなかったという事実を考慮して慰謝料が増額される可能性があります。
- 後遺障害が残る事故で裁判をしたような場合、「若年で一生後遺障害と付き合っていかなければいけない」ことを理由として慰謝料が増額される可能性があります。
- なお、慰謝料ではありませんが、子供の入院や通院に親が付き添った場合、入院付添費や通院付添費が別途認められることがあります。裁判基準だと入院付添費は1日6500円、通院付添費は1日3300円となります。
慰謝料増額のポイント
- 保険会社の提示は自賠責保険の基準での提示など低額のことが多いです。裁判基準(弁護士基準)への増額を要請しましょう。
- 弁護士費用特約がある場合、弁護士に相談・依頼をしましょう。
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まとめ
- 学生でも社会人でも慰謝料の計算方法は同じです。
- ただし、①事故による留年・退学があったような場合は慰謝料が増額される可能性があります。また、②事故によって就職できなくなったような場合は慰謝料が増額される可能性があります。
- 弁護士費用特約がある場合、弁護士に相談・依頼をしましょう。
(監修者 弁護士 大澤 一郎)