主婦の慰謝料
監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 小林 義和
- Q主婦でも慰謝料を請求できますか?
- A主婦でも慰謝料を請求できます。主婦の被害者のときは、慰謝料と休業損害や逸失利益の混同に注意しましょう。
―――― 目次 ――――
- 1. 慰謝料とは
- 2. 主婦の慰謝料の注意点
- 3. まとめ:主婦の慰謝料
1. 慰謝料とは
慰謝料とは、交通事故により被害者が受けた苦痛などの精神的損害への賠償金です。
慰謝料の種類は3種類です。①入通院慰謝料②後遺障害慰謝料③死亡慰謝料です。
①入通院慰謝料は入院や通院したことへの慰謝料です。②後遺障害慰謝料は後遺障害認定への慰謝料です。③死亡慰謝料はお亡くなりになったことへの慰謝料です。
慰謝料は被害者の精神的苦痛等を金銭で賠償するものです。しかし、精神的苦痛を金銭に換算することは難しいです。そのため、慰謝料額の算定には一定の基準があります。
慰謝料の算定基準は3種類です。①自賠責基準②任意保険基準③裁判基準です。①自賠責基準が一番低く、③裁判基準が一番高くなることが多いです。
2. 主婦の慰謝料の注意点
では、主婦は慰謝料が請求できるでしょうか?
怪我をした事故であれば主婦も慰謝料を請求できます。他の職業の被害者と慰謝料の請求ルールは変わりません。
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休業損害に注意
主婦の被害者のときは、休業損害 に注意しましょう。主婦でも休業損害が請求できます。
専業主婦の場合、主婦としての休業を計算して請求します。
兼業主婦の場合、仕事の収入減又は主婦としての休業を計算して高い金額を請求します。
入通院慰謝料と休業損害の混同に注意
主婦の被害者のときは、入通院慰謝料と休業損害の混同に注意しましょう。
入通院慰謝料は通院回数や期間に応じた金額の賠償です。休業損害は主婦としての仕事ができなかったことへの金額の賠償です。両者は別の損害項目です。
保険会社からの提案には休業損害が抜けていることがありますので要注意です。
たとえば、休業損害が本来30万円程度はもらえるはずなのに、保険会社の提示額がゼロとなっていることがあります。
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逸失利益に注意
主婦の被害者のときは、逸失利益に注意しましょう。逸失利益とは事故によって今後減少するであろう収入です。後遺障害が認定されたときは逸失利益を請求できます。
専業主婦でも兼業主婦でも主婦としての逸失利益が請求できます。
後遺障害慰謝料と逸失利益の混同に注意
主婦の被害者のときは、後遺障害慰謝料と逸失利益の混同に注意しましょう。
後遺障害慰謝料は後遺障害が認定されたことに伴う賠償です。逸失利益は今後主婦の仕事ができなくなることへの賠償です。両者は別の損害項目です。
保険会社からの提案は後遺障害慰謝料と逸失利益を混同していることがありますので要注意です。
たとえば、後遺障害14級になったとき、後遺障害分として75万円の賠償提案を保険会社がすることがあります。後遺障害慰謝料と逸失利益の合計で75万円です。
しかし、実際の後遺障害分の賠償は裁判基準だと約200万円前後が多いです。具体的には、後遺障害慰謝料は110万円、逸失利益は約90万円が裁判基準です。
保険会社からの提案は、後遺障害慰謝料と逸失利益を混同していることがありますので注意しましょう。
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3. まとめ:主婦の慰謝料
主婦でも慰謝料を請求できます。主婦の被害者のときは、慰謝料と休業損害や逸失利益の混同に注意しましょう。
(監修者 弁護士 小林 義和)