整骨院への通院と慰謝料

Q整骨院に通院しても慰謝料はもらえますか？

A慰謝料はもらえます。ただし、整骨院への通院で適切な慰謝料をもらうためには、整骨院への通院につき医師の指示や同意をもらいましょう。

1. 整骨院とは

整骨院とは、柔道整復師が柔道整復の業務を行う場所です。
病院と整骨院には次の違いがあります。

＊上記は一般論です。個別の病院・整骨院により異なります。

交通事故の治療は病院と整骨院のどちらに行けばよいですか？

2. 慰謝料とは

交通事故の被害者には精神的苦痛が生じます。この精神的苦痛を金銭に換算したものが慰謝料です。

もっとも精神的苦痛の計測は困難です。そのため入通院期間や回数で慰謝料額は決まります。

交通事故と慰謝料の解説

3. 整骨院の通院でも慰謝料がもらいやすいとき

では病院と整骨院で慰謝料のもらいやすさは同じでしょうか？

慰謝料のもらいやすさは異なります。

病院の通院やリハビリの方が慰謝料はもらいやすいです。
医師が通院やリハビリの必要性や相当性を保険会社に説明してくれやすいからです。

では整骨院での通院でも慰謝料がもらいやすいときはどのようなときでしょうか？

次のような事情があると整骨院でも慰謝料がもらいやすいです。

医師の指示があるとき

整骨院での施術を医師が指示したときは、整骨院での施術の必要性・相当性が認められやすいです。
そのため、医師の指示があるときは整骨院通院でも慰謝料がもらいやすいです。

医師の同意があるとき

整骨院での施術を医師が同意したときは、整骨院での施術の必要性・相当性が認められやすいです。
具体的には次のようなときです。

• これから施術を受けたいと希望する患者に対し、医師が明示的に同意した場合
• 既に施術を受けた患者に対し、医師が黙認に近いような同意をした場合

医師の同意があるときは整骨院通院でも慰謝料がもらいやすいです。

整骨院への通院は認めないと保険会社から言われました。どうすればよいですか？

4. 整骨院の通院で慰謝料がもらいにくいとき

では整骨院の通院で慰謝料がもらいにくいときはどのようなときでしょうか？

病院を受診していないとき

病院を受診していないと、整骨院の必要性・相当性を医師が証明してくれません。
医師が証明してくれないと、整骨院通院期間分の慰謝料がもらえない可能性があります。

医師の指示や同意がないとき

医師の指示や同意がないと、整骨院通院の必要性や相当性を医師が証明してくれません。
医師が証明してくれないと、整骨院通院期間分の慰謝料がもらえない可能性があります。

施術で症状の緩和がないとき

施術で症状の緩和がないと、「整骨院は効果がない」と判断される可能性があります。
効果がないと判断されると、整骨院通院期間分の慰謝料が一部もらえない可能性があります。

施術期間が必要以上に長いとき

施術期間が必要以上に長いと、「事故とは関係性の低い治療である」と判断される可能性があります。

期間に一律の基準はありませんが次の期間が１つの目安です。

注　個別の負傷状況により異なります。

施術期間が必要以上に長いと、整骨院通院期間分の慰謝料が一部もらえない可能性があります。

5. 慰謝料より治療効果で決めること

病院と整骨院のいずれを受診するかは治療効果で決めましょう。

私弁護士佐藤にはある時、痛みで手指を曲げることができないという症状が突然生じました。
整形外科を3軒受診し、いずれの整形外科からも「原因不明」「指を固定すると関節が固まってやがて動かせなくなるから固定してはいけない。」との見立てを告げられました。

そして半ば絶望しながら柔道整復師に診てもらったことがあります。

柔道整復師は手指を実際に診て、どのような怪我が生じたのかや今後のリハビリの計画といった見立てを述べてくれました。
施術を受けた結果、後遺症もなく完治し現在も違和感なく手指を使えています。

怪我が完治するのが一番です。
慰謝料も大切ですが治療効果があるかという観点から治療やリハビリを続けましょう。

6. まとめ：整骨院への通院と慰謝料

整骨院への通院でも慰謝料をもらえます。
整骨院への通院で適切な慰謝料をもらうためには、整骨院に通院することにつき医師の指示や同意をもらいましょう。

（監修者　弁護士　佐藤 寿康）