高齢者の主婦の休業損害
監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 大澤 一郎
- Q高齢者の主婦の休業損害はどのように計算しますか?
- A休業損害を請求するときは通常の主婦の計算方法で請求しましょう。
ただし高齢の主婦の場合、日額が通常より減額されることがあります。減額されそうなときは家事を多くしていることを主張しましょう。
―――― 目次 ――――
主婦の休業損害の計算方法
主婦の休業損害は、1日の金額×日数で計算することが多いです。
たとえば1日の金額が10,574円(厚生労働省の賃金構造基本統計調査)、日数が30日などと計算します。
高齢者の主婦の休業損害
では高齢者の主婦も同じように計算するのでしょうか?
高齢者の主婦の休業損害のルール
高齢者の場合、通常の主婦の休業損害と比べて日額が減額となることがあります。
加齢により労働量が減っていたり、自分のための家事部分が多かったりするためです。
たとえば、通常の主婦では1日1万円が休業損害だとします。これに対し、高齢の主婦では70%分の1日7000円が休業損害となるようなイメージです。
休業損害の計算方法
通常の主婦の休業損害は全年齢の平均給与で計算します。
他方、高齢者の休業損害は次の3つのいずれかでの計算が多いです。
①65歳以上の平均給与で計算する。
②全年齢の平均給与の〇%で計算する。〇%は個別事案によります。
③65歳以上の平均給与の〇%で計算する。〇%は個別事案によります。
もちろん高齢の主婦でも、通常の主婦と同じ計算方法を使うときもあります。
日額を減額されにくくする主張
高齢の主婦が休業損害の日額を減らされにくくするにはどうすればよいでしょうか?
高齢でも家事をたくさんしていることを主張するのがよいです。
同年代の主婦より家事を多くしていることを主張
加齢で労働量が減っていることが減額の理由の1つです。そのため同年代の高齢の主婦よりも家事を多くしていれば、日額が減額されにくくなります。
大変な介護をしていることを主張
高齢の主婦は介護で苦労していることがあります。大変な介護で苦労しているときは日額が減額されにくくなります。
仕事と家事の両方をしていることを主張
高齢の主婦でも無償で農業などの家業に従事していることがあります。仕事と主婦の両方をしていることを主張すると、日額が減額されにくくなります。
一人暮らしの休業損害は請求できない
一人暮らしの場合、休業損害は認められるでしょうか?
一人暮らしで自分のために家事をしているときは休業損害は認められないでしょう。
他方、一人暮らしであっても他の家族の介護や面倒をみているときは休業損害が認められることがあります。
一人暮らしで自分のために家事をしています。休業損害は認められますか?
失敗する前にお読みいただきたいQ&A
- Q主婦の休業損害の提示がありませんでした。このまま示談してよいですか?
- A一度示談するとやり直しはできません。主婦の休業損害を主張しましょう。
- Q日額6,100円の提示が保険会社からありました。このまま示談してよいですか?
- A日額6,100円は自賠責保険の基準です。より高額な日額を主張しましょう。
まとめ:高齢者の主婦の休業損害
休業損害を請求するときは通常の主婦の計算方法で請求しましょう。
ただし高齢の主婦の場合、日額が通常より減額されることがあります。減額されそうなときは家事を多くしていることを主張しましょう。
(監修者 弁護士 大澤 一郎)