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交通事故知識ガイド上肢及び手指

肩関節脱臼

肩関節脱臼の解説

肩関節脱臼

肩関節
肩関節は、肩甲骨の関節窩(浅いソケットのような形状をしています。)及び上腕骨骨頭とで構成されています。構造的にはきつく結合されていない比較的脆弱な関節でして、そのため非常に大きな可動域を有しているのですが、反面不安定で、脱臼しやすいのが肩関節です。

肩関節脱臼をすると強い痛みが発生します。肩関節を動かすことも困難となることが多いです。肩関節脱臼はレントゲン検査により診断をします。

バイクや自転車を運転中の衝突等で、転倒した際に体を支えようとした腕が、横後ろや上方に無理に動かされたときに、上腕骨頭が不安定となり、関節面を滑って脱臼に至るというメカニズムです。転倒して肩の外側を強く打ち、腕を横後ろに持っていかれたときなどにも生じます。肩関節脱臼のうち最も多いのは、上腕骨頭が身体の前面に移動する前方脱臼です。

前方脱臼

前方脱臼のほかには、転倒して体の前方に腕を突っ張ったときや、肩の前方を強く打撲したときなどに生じる後方脱臼、上腕を横方向から上に無理に動かされたときなどに生じる下方脱臼があります。

外旋位固定

治療では、観血術が行われることは少なく、徒手整復をしてこの写真のような外旋位固定が行われることが多いです。

肩関節脱臼の原因

  • 転倒や転落、スポーツの接触プレーなどで発生することが多いです。

肩関節脱臼の分類

  • 前方脱臼、後方脱臼などがあります。前方脱臼が90%以上を占めるとされています。

肩関節脱臼の合併症

  • 肩関節脱臼では骨折が合併症として発生することあります。小さな骨折の場合には放置してよいと言われています。他方、ある程度以上の大きな骨折の場合には観血的固定術が必要と言われてします。
  • 肩関節脱臼では神経損傷が合併症として発生することがあります。肩関節外側の感覚障害や三角筋の収縮不全を生じることがあります。
  • 肩関節脱臼では反復性脱臼が合併症として発生することがあります。何度も同じような症状が生じることがあります。

肩関節脱臼に関連する傷病

肩関節脱臼の後遺障害認定のポイント

  • 肩関節脱臼という傷病名があっても、それと後遺障害や等級に直ちに結びつくわけではありません。残った症状との兼ね合いで後遺障害認定の有無及び等級が決まります。
  • 骨や腱板、靭帯、関節唇等の軟部組織における器質的損傷を立証するには、CTとMRI撮影が必要です。脱臼部を撮影したXPやCTや、靭帯等の軟部組織を撮影したMRIでどの程度の損傷が立証できるかをチェックする必要があります。
  • 関節可動域(他動)が健側の2分の1以下または4分の1以下に制限されており、患部の損傷の立証がされていれば、治療期間中きちんとリハビリ治療がなされていることが前提ですが、10級10号または12級6号に認定されることが考えられます。
  • 可動域制限が残っていないが、肩関節の疼痛が常時あるときは、12級13号や14級9号の痛みの後遺障害に認定されることがあります。

参考リンク