脊椎(頚椎・胸椎・腰椎)の破裂骨折
監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博
この記事では脊椎の破裂骨折が残る被害者に向けて、脊椎の破裂骨折の認定基準やポイントなどを交通事故に詳しい弁護士が解説します。
脊椎の破裂骨折は専門的な判断が必要です。悩んだら、まずは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。
―――― 目次 ――――
1. 脊椎の破裂骨折とは
破裂骨折とは
脊椎の圧迫骨折では、椎体の前方壁のみが潰れて椎骨がくさび形に変形します。この場合、多くは、椎体の後方壁は維持されて脊髄には影響を与えません。
しかし、椎体が高度のダメージを受けると、椎体の前方の壁だけでなく、中央から後方の壁も潰れてしまうことがあります。これを破裂骨折と呼びます。脊柱管の後方にある椎弓骨折を生じることもあります。
破裂骨折の症状
破裂骨折は、損傷した骨が神経を圧迫したり、骨片が脊髄を損傷したりすることがあります。この場合、麻痺、しびれ、脚の痛みなどの神経症状が出現します。
はじめは神経症状がなくても、徐々に圧壊が進行したり、骨の破片が神経を圧迫したりして、麻痺が経時的に広がっていくこともあります。
破裂骨折は胸椎下部から腰椎上部に発生することが多いです。
上記のイラストでは、グレード3の一番右のものに匹敵するのが破裂骨折です。
破裂骨折の治療
破裂骨折では、通常はレントゲンとMRIを撮影します。脊柱の破裂骨折で、圧壊が進行したり、神経症状があったりする場合、手術による固定を行います。
2. 脊椎の破裂骨折における後遺障害のポイント
脊柱に変形を残すもの(11級7号)となる確率は高い
脊椎の破裂骨折が起きたとき、受傷直後に緊急的に固定術をすることが多いです。
固定術をした場合、脊柱に変形を残すもの(11級7号)となる確率は高いです。
仮に固定術をしなかったとしても、変形して癒合するために脊柱に変形を残すもの(11級7号)となる確率は高いです。
8級や6級になる可能性もある
脊椎の破裂骨折は、変形障害として次の後遺障害となることもあります。
- 脊柱に中程度の変形を残すもの(8級相当)
- 脊柱に著しい変形を残すもの(6級5号)
また、脊椎の破裂骨折は、運動障害として次の後遺障害となることもあります。
- 脊柱に運動障害を残すもの(8級2号)
- 脊柱に著しい運動障害を残すもの(6級5号)
関連情報
脊髄損傷となる可能性もある
椎の破裂骨折では脊髄症状が残ることがあります。たとえば、上肢や下肢の麻痺、しびれ、疼痛や排尿障害などです。
重い脊髄症状が残存していれば、脊髄損傷として後遺障害となることもあります。
3. 脊椎の破裂骨折における損害賠償の注意点
単なる変形障害のときは、逸失利益が問題となることが多いです。後遺障害があったとしても労働能力に影響が少ないこともあるためです。
そのため、具体的に生じている仕事上や生活上の支障を被害者は主張しましょう。
また、裁判の基準による後遺障害慰謝料は次のとおりです。
後遺障害等級 | 後遺障害慰謝料 |
---|---|
6級 | 1,180万円 |
8級 | 830万円 |
11級 | 420万円 |
逸失利益や慰謝料などの損害賠償で悩んだら、交通事故に詳しい弁護士にまずは相談しましょう。
4. まとめ:脊椎(頚椎・胸椎・腰椎)の破裂骨折
破裂骨折とは、椎体に大きなエネルギーが加わり椎体の前方だけではなく、後ろ側の壁まで損傷してしまう骨折です。
破裂骨折では次のような後遺障害になることがあります。
- 脊柱に変形を残すもの(11級7号)
- 脊柱に中程度の変形を残すもの(8級相当)
- 脊柱に著しい変形を残すもの(6級5号)
- 脊柱に運動障害を残すもの(8級2号)
- 脊柱に著しい運動障害を残すもの(6級5号)
脊椎の破裂骨折などで悩んだら、まずは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。
(監修者 弁護士 粟津 正博)