鼻の後遺障害
最終更新日:2024年1月23日
監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博
鼻の後遺障害は、障害の種類と程度によって等級が決まります。
この記事では鼻の後遺障害が残る被害者にむけて、障害の種類ごとの認定基準、認定のポイントなどを交通事故に詳しい弁護士が解説します。
鼻の後遺障害は専門的な判断が必要です。悩んだら、まずは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。
―――― 目次 ――――
- 1. 鼻の後遺障害
- 2. 鼻の欠損
- 3. 嗅覚障害
- 4. まとめ:鼻の後遺障害
1. 鼻の後遺障害
鼻の後遺障害には、鼻の欠損と嗅覚障害があります。
障害の種類と程度により、後遺障害の等級が決まります。
種類 | 等級 | 障害の程度 |
---|---|---|
鼻の欠損 | 9級5号 | 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの |
嗅覚障害 | 12級相当 | 嗅覚脱失又は鼻呼吸困難が存するもの |
14級相当 | 嗅覚の減退のみが存するもの |
2. 鼻の欠損
鼻の欠損とは、鼻の欠損により生じる機能障害です。
9級5号 | 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの |
---|
- Q 「鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの」(9級5号)とはどのような場合ですか?
-
- 鼻軟骨部の全部又は大部分を欠損して、鼻呼吸困難又は嗅覚脱失の状態になった場合をいいます。
【解説】
- 「鼻の欠損」とは、鼻軟骨部の全部又は大部分を欠損した状態です。
- 「機能に著しい障害を残すもの」とは、鼻呼吸困難又は嗅覚脱失の状態になった場合です。
- 嗅覚脱失は、T&Tオルファクトメーターによる基準級力検査の認知閾値が5.6以上の場合に認められます。
- T&Tオルファクトメーターは、甘い、苦い等5種の異なるにおいを、最も薄いにおいからだんだん濃くなるように嗅がせて、どの段階で言い当てられるかを検査するものです。
- 嗅覚脱失はアリナミン静脈注射による静脈性嗅覚検査による認定でも差し支えないとされています。
- 鼻の欠損は、醜状障害としても捉えることができます。醜状による等級と比較していずれか高い方の等級を認定します。
3. 嗅覚障害
嗅覚障害とは、嗅覚に関する後遺障害です。
12級相当 | 嗅覚脱失又は鼻呼吸困難が存するもの |
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14級相当 | 嗅覚の減退のみが存するもの |
- Q 「嗅覚脱失又は鼻呼吸困難が存するもの」(12級相当)とはどのような場合ですか?
-
- 鼻の欠損を伴わないものの、鼻呼吸困難又は嗅覚脱失の状態になった場合をいいます。
【解説】
- 嗅覚障害は、鼻そのものを損傷した場合のほか、脳の損傷による高次脳機能障害などでも生じます。
- 嗅覚脱失は、T&Tオルファクトメーターによる基準級力検査の認知閾値が5.6以上の場合に認められます。なお、アリナミン静脈注射による静脈性嗅覚検査による認定でも差し支えないとされています。
- Q 「嗅覚の減退のみが存するもの」(14級相当)とはどのような場合ですか?
-
- 鼻の欠損を伴わないものの、嗅覚減退の状態になった場合をいいます。
【解説】
- 嗅覚減退は、T&Tオルファクトメーターによる基準臭力検査の認知閾値が2.6以上5.5以下の場合に認められます。
4. まとめ:鼻の後遺障害
鼻の後遺障害には、鼻の欠損と嗅覚障害があります。
障害の種類と程度により、後遺障害の等級が決まります。
鼻の後遺障害は専門的な判断が必要です。悩んだら、まずは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。
(監修者 弁護士 粟津 正博)