過失があるので治療費を支払わないと言われた場合

最終更新日:2025年01月23日

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士 松本 達也
Q過失があるので治療費は支払わないと保険会社が言ってきました。どうすればよいですか?

被害者の過失が一定割合以上あるとき、保険会社は治療費を直接病院に支払わないことがあります。

一定割合以上の過失があるときは、健康保険での通院が無難です。労災保険や人身傷害保険を利用する方法もあります。

治療費を被害者が立替したときは、保険会社に立替分を請求しましょう。

1. 過失があるので治療費は支払わないと保険会社が言う場合

「被害者にも過失があるので治療費を病院には支払いません」と保険会社が言ってくることがあります。保険会社が病院に直接治療費を支払う任意一括払いをしないという意味です。

任意一括払いの流れ

任意一括対応の流れ

では、被害者に過失があるとき、どのような場合に保険会社は任意一括払いをしないと言うのでしょうか?

被害者の過失が一定以上ある場合、任意一括払いを保険会社は拒否します。

経験上、被害者の過失が10%以下のときは任意一括払いを保険会社が行うことが多いです。被害者の過失が40%以上のときは任意一括払いを保険会社は行わないことが多いです。
10~40%前後の過失のときは、個別事案により扱いが異なります。

被害者の過失と治療費の支払方法
被害者の過失 治療費
10%以下 保険会社が病院に直接支払
10%~40%前後 事案により異なる対応
40%以上 被害者が治療費を立替
  • 注 個別事案により異なります。

2. 保険会社が治療費を支払わない場合の対応方法

では、保険会社が治療費を支払わない場合、どうすればよいでしょうか。

健康保険を利用して通院する方法が一番無難です。労災保険人身傷害保険を利用して通院する方法もあります。

健康保険利用の注意点

健康保険を使うとき、病院の窓口で治療費を被害者が立替払いします。立て替えた治療費を、被害者が保険会社に請求します。

事故による治療期間はある程度の基準があります。基準を逸脱すると保険会社とトラブルになる確率が上がりますので注意しましょう。

治療期間の目安
怪我の種類 治療期間の目安
打撲・挫傷 1~3カ月
捻挫 3~6カ月
骨折 6カ月以上
  • 注 個別の事故状況や負傷状況によります。

3. 自賠責保険に直接請求する方法

加害者の任意保険会社が治療費の対応をしない場合、加害者の自賠責保険会社に直接請求する方法があります。

自賠責保険 への請求が有益な事案もあります。しかし、自賠責保険の傷害分の上限は120万円です。治療費に使いすぎると最終的な賠償額が減ることもあります。

治療費を自賠責保険に直接請求するかの判断は難しいです。悩んだら、まずは事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。

4. まとめ:過失があるので治療費を支払わないと言われた場合

被害者の過失が一定割合以上あるとき、保険会社は治療費を直接病院に支払わないことがあります。

一定割合以上の過失があるときは、健康保険での通院が無難です。労災保険や人身傷害保険を利用する方法もあります。

治療費を被害者が立替したときは、保険会社に立替分を請求しましょう。

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士 松本 達也

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