最終更新日:2024年5月1日
監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博
物損のよくある質問をまとめました。
(物損のみのご相談は現在お取り扱いしていませんのでご了承下さい。けがをしている被害者の物損のご相談はお取り扱いしています。)
―――― 目次 ――――
- 1. 車の損害のよくある質問
- 2. 代車費用のよくある質問
- 3. 休車損のよくある質問
- 4. 評価損のよくある質問
- 5. 買替諸費用のよくある質問
- 6. その他の質問
1. 車の損害のよくある質問
- Q車の損害はどのように計算しますか?
- A①修理費と②事故時の車両時価額を比較して、低い金額で計算するのが原則です。
なお、正確には次のうち低い金額が損害額です。
- 修理費
- 事故時の車両時価額+法律上請求できる買替諸費用の合計額
- Q全損とは何ですか?
- A物理的に修理が不能であることを物理的全損といいます。車両時価額より修理費が高額になる場合を経済的全損といいます。
全損の場合、修理費の賠償ではなく車両時価額の賠償になるのが原則です。
- Q車両時価はどのように計算しますか?
- A①同一の車種・年式・型、②同程度の使用状態・走行距離の自動車の市場価格で評価します。
実際は、オードガイド自動車価格月報(レッドブック)を参照して決めることが多いです。
レッドブックに掲載がないときは、インターネット上の取引情報を参照することが多いです。
- Q実際に修理していなくても修理費は請求できますか?
- Aできます。消費税相当額も請求できます。
- Q車をぶつけられたことへの慰謝料を請求できますか?
- A原則として請求できません。
2. 代車費用のよくある質問
- Q代車費用はどのようなときに損害として請求できますか?
- A相当な修理期間または買替期間中、レンタカー使用などにより代車を使用したときに請求できます。
- Qまだ車が返ってきていないのに代車を引き揚げたいといわれています。応じなければいけませんか?
- A代車が認められる期間は、相当な修理期間または買替期間です。相当な修理期間は1~2週間が多いです。ただし、部品の調達や営業車登録などの必要があるときは、より長期間となることもあります。
また、次のような期間も代車期間となることがあります。
- ① 保険会社の担当者による修理費の調査期間
- ② 説明や交渉のための期間
- Q外車のレンタカー代も請求できますか?
- A代車は同一の車種、グレードの費用を原則として請求できます。
ただし、外車のレンタカーは費用が高額等の理由により請求できないこともあります。
- Q実際に代車を借りなくても代車代を請求できますか?
- A原則としてできません。
3. 休車損のよくある質問
- Qどのようなときに休車損を請求できますか?
- A営業車が損傷したときに請求できます。相当な買替期間中または修理期間中に生じた営業上の損害が対象です。
- Q休車損害はどのように算定しますか?
- A被害車両1日あたりの売上から、経費を控除した1日当たりの利益額に休車期間をかけて算定します。
4. 評価損のよくある質問
- Q買ったばかりの車が事故にあいました。評価損を請求できますか?
- A修理しても外観や機能に欠落を生じ、または事故歴により商品価値の下落が見込まれる場合に評価損を請求できます。
- Q評価損はどのように算定しますか?
- A修理費の一定割合で算定する方法、諸要素を考慮して算定する方法などがあります。
修理費の10%から30%前後の算定が実務上は多いです。
5. 買替諸費用のよくある質問
- Q事故で車を買い替えます。買替に伴う諸費用は請求できますか?
- A修理代より車の時価が低いときは、次のような買替諸費用を請求できます。
- ① 買替のため必要になった登録、車庫証明、廃車の法定の手数料相当分
- ② 買替のため必要になった登録、車庫証明、廃車のディーラー報酬部分(登録手数料、車庫証明手数料、納車手数料、廃車手数料)のうち相当額
- ③ 自動車取得税
- ④ 事故車両の自動車重量税の未経過分
6. その他の質問
- Q物損に関する雑費としてどのようなものが請求できますか?
- A次の費用などを請求できることがあります。
- ① 車両の引き上げ費
- ② レッカー代
- ③ 車両の保管料
- ④ 時価査定料・見積費用
- ⑤ 廃車料・車両処分費
- Q積んでいた荷物、洋服、身に付けていた物品が壊れたときの損害も請求できますか?
- A請求できます。
物品名・購入価格・購入年月・購入店名を明らかにして、減価償却により購入価格から一定割合を減額した金額を請求できます。
- Q車両保険を使ったため保険料が上がりました。差額を請求できますか?
- A原則として請求できません。
- Qクロス払いや相殺払いとは何ですか
- Aクロス払いとは、交通事故の当事者がそれぞれ相手に損害賠償を支払うことです。
相殺払いとは、交通事故の当事者が互いの損害賠償を相殺し、一方のみが残額を支払うことです。
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(監修者 弁護士 粟津 正博)