2. 被害者救済のための活動
弁護士は何をしてくれるのか?(弁護士 村岡 つばさ)
はじめに
交通事故の被害に遭われて、「弁護士に相談した方が良いよ!」と周りの人に言われたものの、「弁護士って結局何をしてくれるの?」という疑問をお持ちの方もおられると思います。
ここでは、交通事故と弁護士の関わり方について、簡単に説明をさせていただきます。
保険会社対応
「身体が痛く、日々の通院だけでも大変なのに、保険会社からの電話や送られてくる書類の対応が非常に大変」「担当者の対応が悪く、電話していると嫌な気持ちになる」-こういったお話をよく伺います。
弁護士に依頼をすると、保険会社の対応はすべて弁護士が行うこととなるので、保険会社とのやり取りの負担から解消され、お身体を治すことに専念できます。 また、被害者の方に交通事故の知識、経験等が少ないことが多い(当然です)ことから、保険会社の説明・提案に応じるがまま、交通事故の賠償が進んでしまうことが多いという実情がございます。
しかし、交通事故案件に精通した弁護士に依頼することにより、保険会社と対等な立場で交渉を行うことができ、適正な補償を受けることができます(この部分は、「4 賠償額の交渉」とも関連します。)。
後遺障害申請・異議申立て
治療をしたにも関わらず、不幸にも症状が残ってしまった場合には、適正な後遺障害認定・補償を受けることが重要です。
弁護士は、後遺障害申請の場面においては、適切な書類の準備や、意見書の作成・提出(場合に応じて)等により、後遺障害認定のサポートを行います。また、認定結果が出た後は、その結果が適正であるかを検討し、異議申立ての余地がないかを検討します。
賠償額の交渉
交通事故の賠償基準の一般論はここでは割愛させていただきますが、保険会社の提示してくる金額は、裁判基準(裁判所が認定するMAXの金額)と比べて、著しく低いことが多いのが実情です。
弁護士に依頼することにより、裁判基準をベースとした交渉が行うことができるので、任意の話し合いの解決であっても、裁判基準に近い水準での解決が可能になります。
おわりに
(文責:弁護士 村岡 つばさ)
ポイントを見極める!その1 通院のポイント(弁護士 前原 彩)
交通事故の場合、ポイントを見極めて手続を行っていくことは本当に重要です。
やみくもに手続を進めていくだけでは、実態にあった結果が得られにくいうえ、解決までにかなりの時間を要することになってしまいます。
私たちは、損害賠償の知識・戦略だけではなく医学的な知識も踏まえてポイントを見極めて、「何がその被害者の方にあった手続か?」を常に考えながら行動しています。
今日は、各段階におけるポイントについて紹介したいと思います。
解決までの基本的な流れ
交通事故の場合、解決までには以下のような流れをたどります。
①事故発生
②通院開始(治癒または症状固定まで)
③等級認定申請(自分で申請するいわゆる被害者請求、加害者保険会社が申請するいわゆる事前認定の2パターンあり)
④等級認定に不服がある場合、異議申立
⑤等級確定後、賠償交渉や裁判
という流れで進んでいきます。
私たちは通院から賠償交渉までの各段階でそれぞれポイントを見極めて行動をしています。
それでは、通院のポイントから見ていきましょう。
通院のポイント 1
通院のポイント1は、まず、【定期的に通院すること】です。
当たり前ですが、人は「痛いから病院に行って治してもらう」のです。
定期的にきちんと通院しているということは痛い状態が症状固定まで継続しているということを示す客観的資料になります。
被害者の方の中には、仕事を持っていたりして、定期的な通院が難しい方もいます。仕事が忙しく、通院できなかったという方もいます。
しかし、その場合でも、土曜日にやっている整形外科に通院し、週に1度は必ず病院に通えるようにするなど、工夫しながら通院した方が良いです。
病院に通う期間が空いていたり、不定期にしか通っていなかったりすると、等級認定申請をした際に、「病院に行っていない期間があるということは、その間はそれほど痛くなかったのではないか?」とか「不定期にしか通っていないということは、日常生活において痛くない場合も多かったのではないか?」という穿った見方をされてしまい、納得のいく等級を取れない原因になりかねません。
通院回数・通院頻度というのは後から他の資料で補完のできない客観的資料になってしまいますので、そのためにも事故直後から定期的に通院しましょう。
私たちはお客様からご相談を受けた際、お客様の症状に合わせた通院の仕方や病院の選び方までアドバイスさせていただき、被害者の方が適切な通院が出来るよう心がけています。
通院のポイント 2
通院のポイント2は、画像の撮影です。
病院に通院した際に、レントゲンだけではなく、MRIも撮ってもらいましょう。
事故後すぐに整形外科を受診していればたいていの場合、レントゲンの撮影をしていると思います。
レントゲンの場合、そこからわかることは「骨が折れているかどうか」です。
レントゲンは、骨などの構造的な異常を調べる目的で撮られるものであり、その性質上、神経系統の異常や軟部組織の異常を判断することはできません。
そのため、頸椎捻挫や腰椎捻挫のように、特に骨に異常はない傷害の場合、レントゲンだけ撮っても「何も異常はない」という結論で終わってしまいます。
そのため、レントゲンとは別に、MRIも撮ってもらった方が良いです。
MRIの場合、神経まで撮ることが可能ですので、頸椎捻挫や腰椎捻挫の場合、神経が圧迫されているのではないかということまで調べることができます。
私たちは、ご相談いただいた被害者の方の症状や事故状況に応じて、主治医にどのような画像を撮ってもらうのが良いのか、どういうポイントで撮ってもらうのが良いのかをお伝えできるよう心がけています。
(文責:弁護士 前原 彩)
ポイントを見極める!その2 被害者請求のポイント(弁護士 前原 彩)
被害者請求とは何か?
交通事故によって怪我を負った場合、その怪我の治療を一定期間継続的に行うこととなります。治療の結果、怪我が治ればいいのですが、治らない場合も一定程度あります。
その場合、治らなかった怪我(後遺症)について、自動車損害賠償保障法(自賠法)における等級に該当するか、申請を行うことになります。申請の結果、自賠法の等級に該当する場合には、等級に応じた慰謝料等が支払われることとなります。
この等級認定申請ですが、加害者の加入している自賠責保険会社を通じて、損害保険料率算出機構というところに申請がなされます。そして、損保料率機構がどの等級に当たるのかor当たらないのかを判断します。
そしてこの申請に際して、
- 被害者が自賠責保険会社に直接認定申請をする「被害者請求」
- 加害者の任意保険会社が自賠責保険会社に認定申請をする「事前認定」
の2パターンがあるのです。
「被害者請求」「事前認定」どっちの方がいいの?
被害者請求の場合、被害者が直接自賠責保険会社に資料を出すことができるので、書類提出の過程の透明性が保たれています。その反面、自分で資料を集める必要があるので、若干手間がかかります。
他方、事前認定の場合には、加害者加入の任意保険会社がすべての資料を揃えるため、被害者自身に特に手間はかかりません。
しかし、加害者加入の任意保険会社が自賠責保険会社に書類を出す過程において、どのような書類が出されているのか知ることはできず、透明性に疑問が残ります。また、被害者にとって有利な資料がきちんと出されているのかも確認することができません。
そのため、若干の手間はかかりますが、等級認定申請の際には、被害者請求を行うことをおすすめします。 私たちが代理をさせていただいた交通事故事件においては、お客様から事前認定のご要望が無い限り、すべて被害者請求を選択しています。
被害者請求のポイント
被害者請求をする場合、まず、診断書や後遺障害診断書を提出しますが、その内容に誤った点や足りない点がないかを検討します。そして、問題点を発見した場合には、主治医に面談を求めるなどして、問題点を訂正してもらうよう交渉をします。
この時にやみくもに訂正を求めても主治医は訂正に応じない場合も多いので、私たちは当該被害者の方の症状や現在の状態からしてどのように訂正して欲しいか等を伝えることを心がけています。
次に事故状況が正しく書類に反映されているかを検討します。
等級認定申請の場合、醜状痕など、調査事務所での面接が行われる場合以外は原則出した書類のみで等級の有無を判断されます。
そのため、提出書類において、事故状況を正しく反映している書類が出されているかは重要なポイントになります。
私たちは、被害者請求において、事故の大きさや事故による衝撃の大きさがきちんと伝わるように工夫して請求するよう心がけています。
(文責:弁護士 前原 彩)
ポイントを見極める!その3 示談交渉のポイント(弁護士 前原 彩)
示談交渉って・・・?
示談交渉とは、損害賠償額の交渉のことをいいます。 交通事故の場合、等級の結果が確定すると、被害者の方が被った総損害を算出することができます。
しかしその損害額の計算の仕方にもいろいろな方法があり、一律に機械的に誰が計算しても同じ額になるものではないため、被害者側と加害者側(保険会社側)で損害額を巡って争いになります。
そのため、その賠償額を巡って被害者側と保険会社側との間で交渉が行われるのです。 交渉の結果被害者側も保険会社側も納得できれば示談成立となります。
どちらかもしくは双方納得せず交渉がまとまらない場合には、裁判、調停、ADRなど、第三者機関での解決となります。
なお、一度示談をしてしまうと原則として「やっぱりやめた」「もっと貰えることが判明したからもっと支払って欲しい」など、示談内容を撤回する行為ができなくなります。示談をする際は慎重に行いましょう。
示談交渉のポイント
示談交渉を始めるにあたっては、まず、被害者の方自身が「自分の損害額はどれくらいか?」を知っておく必要があります。
保険会社はよく「これが当社の基準でして・・・」という決めゼリフを伝えてきます。
被害者の方の中には「そういうもんか」と思ってしまう方も多いと思います。しかしそれは保険会社が一方的に決めた基準であり、交渉の余地が多々残されています。 示談交渉をする場合には自分で行わず、交通事故に詳しい弁護士を通して行うのがベストです。
また、費用の関係で自分で示談交渉を行いたい場合にも、弁護士に都度相談しながら示談交渉を行う方が示談額も多くなる場合が多いです。
交通事故は①保険の仕組みが複雑、②賠償額の基準がいくつもあることから、かなり複雑です。後で「しまった!」と思わないためにも、弁護士を使うor使わないにかかわらず早期に弁護士に相談することをおすすめします。
示談交渉における私のポリシー 私たちは示談交渉においては、諦めません。
こちらの主張に沿った裁判例や見解はないか、細かく調べ、こちらの主張がいかに正しいかを根拠をもって主張します。
また、裁判や紛争処理センターへの申立ても躊躇なく行っています。
このように私たちは、常に戦う姿勢を持ちながら交通事故事件に取り組んでいます。
(文責:弁護士 前原 彩)
事故態様の認定では証拠収集が重要なポイント(弁護士 小林 義和)
こんにちは、小林です。
今回は事故態様について述べていきたいと思います。
一般的には交通事故が発生すると、警察を呼びます。そして、警察が当事者立ち合いのもと現場の検証を行ったり、聞き取りを行います。
しかし、ときには、当事者双方が述べる事故態様が異なるもしくは全く異なっていることもあります。
特に、重傷を負った被害者は、現場検証に立ち会うことができず、加害者側のみが立ち合いますので、被害者が体験した事故態様と全くことなる態様の内容で現場検証が行われていることもあります。
その場合、被害者の方は治療費等が必要であるのにもかかわらず、相手方もしくは相手方の保険会社から保険対応をしてもらえず、自費での入通院を余儀なくされるといった事態が生じてしまうこともあります。
そのような場合に被害者の方でできることは、警察に事実を伝えて、入院されている方は退院後に警察にきちんと現場検証をしてもらうことが重要です。
その結果、警察としても、双方が異なる事故態様を主張しているため、目撃者を探したりして、目撃者が見つかれば正しい事故態様を述べてもらえることもあります。
また、どちらかの主張が矛盾していることがわかることもあります。
その他には防犯カメラやドライブレコーダーに事故態様が映像として残っていることもあります。
実際に、警察にきちんと捜査してもらった結果、加害者が刑事手続で起訴され、その刑事記録で、正しい事故態様が記載されていたということもあります。このような場合は、加害者も争うことは難しくなります。
また、実際の刑事記録でも正しい事故態様がわからず、訴訟で争う場合もあります。
実際に私が取り扱った件でも、当事者の双方が、それぞれ自分は被害者であり相手方が加害者であると主張した裁判がありました。
その裁判では、交通事故鑑定において十分な経験を有する鑑定人に鑑定意見を作成して頂いたことで、相手方の主張の矛盾点がわかり、結果的に当方の事故態様に基づく過失割合を裁判所において採用されることとなりました。
また、死亡事故では、死亡された方は供述することができず、事故態様が争われたときに困難な点があることもあります。
このように、事故態様の認定では証拠収集が重要なポイントとなります。
時間とともに、記憶も曖昧になり、また、目撃者等の証拠も収集が難しくなりますので、早期に対応することが必要となります。
なお、事故態様は後遺症の認定にも影響することがあります。事故態様において衝撃が大きいことがわかると、後遺症が残りやすいといえることも多いため、後遺症申請の際には事故態様や事故にあった車両の見積書等も添付して提出することもあります。
(文責:弁護士 小林 義和)
事故現場の確認をし、裁判で有利な解決ができました(弁護士 大澤 一郎)
交通事故の事故状況を示した書面
警察が作成した実況見分調書・写真、調査会社が作成した図面・写真などが裁判で利用されることはよくあります。
私たちの事務所でも図面を作成する専門の業者と連携しています。
また、グーグルストリートビューでもある程度の現場の状況はわかります。
しかし、事故状況が本当に争いとなると図面や書類だけの机の上だけではわからないこともよくあります。
裁判でお互いの言い分が真っ向から食い違った事案
事故状況について、お互いの言い分が真っ向から食い違っている事案がありました。
もちろん、私はご本人の言い分が正しいと確信しているのですが、他方、法律のプロである弁護士として「裁判官がこの資料を見たらどちらの言い分が正しいか迷うだろうな」とも感じました。手元にある資料を確認しても、どちらの言い分が正しいという決定的な証拠がないのです。
そこで、自ら現地調査にいって現地を確認した上で、写真をとってくることにしました。
現場の図面が微妙に違っていた!
記録上は、片道2車線でまっすぐな国道での事故でした。警察の図面もそのようになっていました。
しかし、実際に現場にいってみると片道2車線ではあるのですが、事故現場付近だけ微妙に右カーブになっていることがわかりました。
他の部分は直線ですが、事故現場付近だけ右カーブなのです。しかも、右カーブになっている事故だとすると、物理的に相手の主張する事故状況になる確率は極めて低いのです。
私は、現場が微妙に右カーブになっていることを写真撮影、証拠化し、裁判所に提出しました。
写真があったおかげで裁判官も私と全く同じ印象を持ったらしく、「相手の言う事故状況にはならない」と言いだしました。
そのため、結果的に裁判の判決では当方の主張が100%認められました。
迷ったら現場を見る!
警察作成の実況見分調書は正確であることが多いです。
しかし、微妙なずれがあったり、一部不正確な部分があったり、加害者側だけの主張を元に記載がしてあることもあります。
また、物件事故報告書の場合にはかなり事実と異なる記載がなされていることも多いです。
ご本人からの指摘があれば当然事故現場の状況と図面が違うことは主張しますが、本件事故ではご本人も事故現場付近が右カーブになっていることを認識していない事故でした。
「迷ったら現場を見る」ことの重要性を再確認しました。
(文責:弁護士 大澤一郎)
医師への面談により早期かつ妥当な解決を実現(弁護士 大澤 一郎)
医師への面談の重要性
医師に意見をいただく場合、文書での照会を行う方法と、直接弁護士が病院にお伺いし、医師と面談する方法があります。
そして、医師への面談は極めて重要なことが多いです。
特に、重度後遺障害の案件で医師面談により協力が得られるかどうかは、損害額が数千万円単位で変わってくる位の重要な違いがあります。
頸椎症性脊髄症の事案
被害者の方は頸椎症性脊髄症と診断され、手術の結果、後遺障害等級7級4号の「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」という後遺障害認定結果となっていました。
後遺障害認定結果の検証及び交渉
過去の私たちの経験からすると、比較的後遺障害認定はよく認定されているという印象でした。むしろ、より低い等級もありえるのではないかという事案でした。
保険会社と任意の交渉を行いましたが結論が出ず、紛争処理センターへの申立を行いました。
素因減額の主張と医師面談
保険会社からは50%以上の大幅な素因減額の主張が出てきました。私からは被害者ご本人が治療を受けた複数の医療機関に照会状を出し、書面による照会をしました。
他方、主治医の意見が重要であったことから、病院は遠方ではありましたが、私自身が主治医とアポイントを取り面談をしました。
医師面談をした結果、このまま紛争を長期化したり、訴訟を提起したりするとむしろ損害額が減ってしまう可能性が極めて高いことがわかりました。
そのため、ご本人に現状を説明し、紛争処理センターでの早期の和解による解決を行うことができました。
医師面談の重要性
結果的に医師面談をしなくても、ご本人が早期に和解したいという希望を有していれば結果は同じだったかもしれません。
しかしながら、私としては、本来認められるべき損害はきちんと認めさせたいという想いがありますので、医師が当方に有利な意見を持っているのではという望みを持って医師面談を行いました。
具体的な検証もせずに解決をするのと、医師の意見も確実に面談した上で確認の上で解決をするのでは、金額としては同じ解決水準であったとしてもプロの弁護士として胸を張れるという点では全く違います。
7級4号の後遺障害となりますと数千万円の損害額となりますので、ご本人にも十分に納得いただける水準での和解でしたので本当によかったと思います。
(文責:弁護士 大澤一郎)
被害に遭われた方々の将来を考える(弁護士 今村 公治)
仕事へのこだわり
交通事故の案件に関わる際は、最大限の賠償金の獲得を目指すことと、迅速でスムーズな解決を目指すことを意識しています。
交通事故の被害に遭われてしまった場合、適切な治療を受け、少しでも事故による損害を回復することが大事になります。
また、治療費や、休業せざるを得なくなった分の補償、慰謝料などについて、適正な金額の賠償金を受領することも、将来の生活のためには大事なことになります。
また、多くの方は、日常生活のなかで損害賠償請求という紛争ごとに関わっているというだけで、ストレスを感じると思います。毎日、たくさんのご相談をお受けしていますが、ほとんどの方が、紛争を解決し、早く交通事故のことが頭から離れることを望んでいます。
そのため、賠償金額面で最善の解決を目指すことはもちろんのことですが、迅速に解決することも依頼者の方にとって大事なことであると考えています。
解決までのスピードが早ければ早いほど、将来の生活を考える時間ができ、スムーズな再出発をすることができます。
仕事のやりがい
交通事故による被害を最大限回復したいという思いから、当事務所では、交通事故案件のうち、被害者側の方々からのご相談のみお受けしています。加害者側(保険会社)からの代理の依頼もありますが、すべてお断りしています。
そのため、当事務所の依頼者の方々は、初回相談時、被害に遭われたことや、加害者の不誠実な態度などに対して不満を抱えた状態にあります。
そのような最初は暗い表情だった依頼者の方から、事件解決時には、「満足のいく解決ができました」、「相談してよかったです」、などと明るい表情でお話しいただいたときは、とても嬉しく思います。
また、依頼者の方から直接お話を伺い、“被害の回復”と“将来の生活”を一緒に検討させていただくことは、とてもやりがいを感じます。
将来を考えることの重要性
交通事故による被害を回復することはもちろん大事なことですが、被害に遭われてしまった方の将来の生活を考えることも、とても大事なことだと思います。
交通事故で怪我を負い、後遺障害が残ってしまった場合には、将来において継続して被害と向き合わなければなりません。
死亡事故が起きてしまった場合には、賠償金額を獲得しただけでは、ご家族の傷は完全には癒えません。
交通事故の案件の場合、弁護士としての業務は、適正な賠償金額の獲得を目指すだけではなく、被害者やそのご家族らの将来のことを見据えた解決を考える必要があります。
(文責:弁護士 今村 公治)
千葉で交通事故被害者の救済活動をするということ(弁護士 今村 公治)
千葉県=交通事故件数がとても多い県
(警察庁が発表している「平成27年中の交通事故死者数について」を参照)平成24年度以降、毎年、東京都内よりも千葉県内での交通事故死者数のほうが多いという結果になっています。
千葉県内での交通事故の件数は、近年減少傾向にあるとはいえ、毎年、全国的にみても非常に多いです。
千葉での弁護士活動
私は、千葉で生まれ、高校時代まで千葉で育ちました。
その後、慣れ親しんだ千葉で仕事がしたいと思っていたこともあり、弁護士としての第一歩も千葉でスタートすることになりました。
また、交通事故被害者側専門の事務所に勤務したこともあり、弁護士になった直後から、多くの交通事故被害の案件に関わることになりました。
交通事故の案件は、法律的な知識、医学的な知識といった弁護士のなかでも専門的な知識を必要とするため、とてもやりがいを感じています。
今後も、千葉県を中心として、少しでも多くの交通事故被害に遭われた方々のために最善の結果を得ることができるよう、弁護士活動を続けていきたいと考えております。
交通事故の被害救済への思い
交通事故は、ある日突然、誰にでも起こり得るものです。
実際に、私自身も大学時代、友人と横浜までドライブしている途中に追突された経験があります。親戚から交通事故の相談を受けたこともあります。
しかし、誰にとっても日常的に起こり得るものでありながら、実際に交通事故に遭ったときの解決方法については、通常ほとんどの方が正しい知識を持ち合わせていないと思います。賠償金の内容を理解しないまま、保険会社の言うとおりに進めて、明らかに不利な内容で示談してしまう例もいまだにあります。
交通事故による被害を受けたうえに、正しい知識を持っていなかったために、治療や賠償金の面で不十分な解決となってしまう事態は、絶対に避けなければなりません。
交通事故の案件を解決するには、損害賠償論の知識や、医学的な知識など、弁護士のなかでも専門的な知識を必要とします。そのため、交通事故の案件は、弁護士のなかでも専門性を要する難しい分野の案件の一つです。
交通事故による被害が非常に多い千葉県で弁護士活動をしており、かつ、交通事故分野を専門として日々活動していることから、今後も継続して、依頼者の方々の信頼に最大限応えるべく、誠心誠意、事案の解決に取り組んでいきたいと思います。]
(文責:弁護士 今村 公治)
被害者の声を代弁するということ(弁護士 今村 公治)
証拠の収集が大事
たとえば、事故態様に争いがある場合や、双方の主張する損害額の差が大きい場合には、裁判を選択することがあります。裁判では、たとえ真実であっても何も証拠がなければ事実として認められません。適切な証拠を集めて、証拠に基づいた主張をすることができるかどうかで結論が分かれることになります。
そのため、交渉段階においても説得的な主張をするためには証拠が必要となりますが、とくに裁判においては良質な証拠の収集が必須となってきます。
立証方法
交通事故案件で適切な証拠を探し出すためには、弁護士のなかでも交通事故分野を専門としていて、証拠収集に精通している必要があります。
また、依頼者や、他の専門家との連携も必要となってきます。
たとえば、後遺障害の等級認定や、交通事故と損害との因果関係を証明するときなどに、医師から医学的な意見をいただくことがあります。病院に伺い、医師と面談することもあります。交通事故の損害、とくに怪我に関する証拠を収集するには、どうしても医学的知識が必要になってきます。
また、過失割合が争われたときには、リサーチ会社と連携するなどして、事故態様に関する主張を根拠づける証拠を作成することが必要となってきます。
そして、他の専門家との連携と同じかそれ以上に、依頼者の方との連携がとても重要になってきます。
実際の事故の事実関係に一番詳しいのは、事故の当事者である依頼者です。証拠として重要な事実を依頼者の方から漏れなく伺う必要があります。
当事務所での立証活動
紛争を解決するには、まずは、依頼者の方との強い連携が必要であると考えています。依頼者の方と同じ方向を向いて、共同で事件を解決するイメージを持つようにしています。ただでさえ弁護士というと堅い人柄のイメージを持たれがちなので、できるだけ気楽に相談していただけるように心掛けています。
また、当事務所では、毎月定期的に、交通事故を原因とする傷病に詳しい医師からお話を伺う機会を設けています。医師との検討会のなかで、依頼者の方々のMRI画像や診断書の内容を確認し、今後の方針を決定することがあります。
また、定期的に、医師の方を事務所にお招きし、医師から交通事故と関連のある医学的知識を学ぶ機会も設けています。
また、事故態様、過失割合に争いがある事案については、多くのケースで、リサーチ会社に依頼して、証拠の作成に協力してもらっています。
当事務所の過去の経験でも、事故現場の見取り図の作成や、事故状況の再現動画の作成、道路状況や坂の傾斜の調査など、いろいろ調査を依頼し、実際に裁判で証拠として提出しています。
(文責:弁護士 今村 公治)
最新の情報を踏まえた解決をすること(弁護士 今村 公治)
交通事故分野は専門性が高い
そのため、交通事故の案件は、弁護士のなかでも専門性を必要とする難しい分野の案件の一つといわれています。
医学的な知識が必要となること
交通事故の被害に遭われてしまい、後遺障害が残るような怪我を負ってしまった場合には、適正な後遺障害等級を認定してもらう必要があります。
後遺障害に関して認定された等級が異なると、数百万円、事案によっては数千万円の単位で賠償金額が異なってくることがあります。
当事務所の過去の経験でも、実施する検査、診断書の内容、後遺障害等級の申請の仕方によって、後遺障害の等級が変わってくる事例はいくつも存在します。
そのため、加害者側の保険会社任せにしておくのではなく、被害者側から適正な等級を認定してもらうように対応していく必要があります。 適正な後遺障害等級を得るためには、MRI画像の読影や、画像と症状の関連性、交通事故と症状の関係性、投与されている薬など、様々な医学的な知識が役立ちます。
そこで、当事務所では後遺障害認定の段階から関与させていただく案件が多いので、毎月定期的に、整形外科の医師から意見を伺う機会を設けて、画像や診断書の内容について検討することにしています。
研修、セミナー、症例検討会への参加
交通事故案件を解決するには、非常に広範囲の知識が必要となります。最新の裁判例をチェックしたり、医学的な知識を取り入れたりする必要があります。
当事務所では、毎年、都内で開催されている交通事故に関する研修や、講演等に積極的に参加して、最新の情報を取り入れるよう努力しています。
研修の内容は、後遺障害等級認定に関するものや、脳外傷などの医学的知識に関するものなど、交通事故に関する広範囲の内容です。
また、当事務所では、自保ジャーナル(交通事故の裁判例を収録した雑誌です)や、判例時報(最新の裁判例を収録した雑誌です)を定期購読し、注目の裁判例については弁護士間で情報共有するようにしています。
外部団体への参加
当事務所には、日本交通法学会という、交通や交通災害に関連する法律の研究を行う会に参加している弁護士が複数在籍しています。
外部の団体で勉強することにより、より多角的な知識を得ることができています。
今後も、日々最新の情報を取り入れて、一つ一つの事件ごとに最善の結果を得られるよう全力を尽くしています。
(文責:弁護士 今村 公治)
事故現場を実際に確認することの重要性(弁護士 粟津 正博)
交通事故のご依頼を受ける際、私たちは、まずは被害者の方のお話を伺います。
お怪我の状況や、損害の状況などを確認させていただき、その回復のための手段を検討します。
そして、事故の態様も、
- ①人身の傷害に関して、事故との因果関係や、傷害の程度を知る手掛かりになることがありますし、
- ②過失割合を決める上で重要な要素になることもあります。
そのため、事故の態様も重要です。
当事者が互いに動いている状況下での事故の場合には、事故の態様について双方の言い分が食い違うことがあります。
このような場合には、詳細にお話をお伺いし、他に同乗者や目撃者の方にお話を伺います。
また、専門の調査会社に現地の状況や、車両の損傷状況の調査を依頼して、事故の態様を事後的に検証します。
さらには、警察においても物件事故報告書や実況見分調書といった資料を作成していることが通常ですので、これらを弁護士が代理して謄写します。
さらに、事故現場に足を運ぶことで、新しい発見があることがあります。
以前とある駐車場における事故で、双方の言い分が食い違っており、現地に行って、確認した結果、駐車場の走行ルールを記載した看板を発見したことがありました。私は、その看板を写真に収め、報告書を作成して、保険会社に提出ました。
その結果、よりこちらに有利に交渉を進め、早期に適正な事実関係の下で解決が出来ました。
この看板の情報は、警察の資料にも、調査会社の資料にも記載されていないものでしたので、現地に足を運ぶことが非常に重要であったと思います。
また、他の事案でも、被害者の方と一緒に現場を検証させていただき、道路幅や交通の混雑状況を確認して、より具体的なお話を伺い、有益であったこともありました。
現地には、例えばミラーや、側溝、道路の混雑状況など警察の作成する資料に記載されていない様々な情報があることがありますので、事故現場の確認は重要です。
事故の態様について、相手が虚偽や適当な内容を述べていると思われる場合、被害者の方としても簡単に納得できるものではありません。
そのような場合、どれだけ、客観的な資料を収集し、こちらの言い分を裏付け、相手の言い分の矛盾点をつくことができるかがポイントです。ともすれば、書面上の資料や当事者の言い分だけで、話が平行線に陥っている場合もあり、現場に足を運ぶことでより有利な情報を入手できることがあります。
(文責:弁護士 粟津 正博)
実は奥が深い、社会保険と交通事故との関わりについて(弁護士 三井 伸容)
ケガや病気などをすると、突然身の回りに「~保険」という用語が飛び交うことになります。
交通事故では、後遺障害の認定などで関わる「自賠責保険」や示談交渉相手となる「任意保険」などがまず思い浮かぶ「保険」です。
これ以外にも、状況によっては「健康保険」「国民年金・厚生年金」「労災保険」など、様々な社会保険制度が問題になることもあります。
普段はあまり関わることがないため、これら様々な「保険」が混同されたり、複雑に絡み合って混乱をしてしまうことが多いようです。
(病院の窓口担当の方や保険関係者などが被害者の方に対して、やや不適切な説明をしてしまっている場合もなくはありません)
実際にご相談にいらっしゃる方の中でも
「今回は仕事中の事故だから労災と任意保険を組み合わせて使うと保険会社に言われたんだけど、今後の手続がどうなるのかよくわからなくて不安だし、結局何がどのように補償されるのかがよくわからない。」
「労災を使って治療していて、今示談の段階なんだけど、損害賠償額の総額から差し引かれている労災と保険金の意味が保険会社の説明を聴いても良くわからない。」
なんて声を耳にすることがあります。
各社会保険制度は、交通事故とそれぞれ密接にかかわっており、専門家でないとなかなか理解できない非常に複雑な仕組みとなっているのが実態です。
そのため、このような複雑な仕組みを理解できないのは当然ですし、各手続を間違えずにきちんと処理していくには、一般常識部分を超えた社会保険に関する知識がある程度必要になってきます。
さらに一歩進んで、実は社会保険制度をうまく利用すると「被害者の方にメリットがある」こともあります。
典型的なケースとしては、保険会社から治療費を打ち切られてしまった場合に健康保険や労災保険で治療を継続することが出来る余地があったり、また被害者側の過失がある程度認められる場合でも健康保険や労災保険を利用することでうまく治療費を抑えてトータルでは多少得をする可能性があったりします。
他にも色々あります。
交通事故と社会保険制度に関しては、交通事故に関わる弁護士であればある程度理解しているところだとは思いますが、弁護士だからといって全員が必ず理解しているとも断言しづらいところです。
弊所では、社会保険制度の理解を深め、より被害者にメリットがあるサービスを提供するために、社会保険に関する国家資格である「社会保険労務士」の資格を有している弁護士を在籍させ、日々研鑽を積んでおります。
そのため、各社会保険に関わるような交通事故についても、お気軽にご相談頂ければ幸いです。
(文責:弁護士 三井 伸容)
被害者参加手続と交通事故について(弁護士 三井 伸容)
当事務所では、死亡事故などの重大な交通事故において、「被害者参加手続」に関与することが多いです。
あまり聴き慣れない言葉かもしれませんが、「被害者参加手続」とは、一定の重大な刑事事件において、その事件の被害者の方やそのご家族の方々などが、刑事裁判に参加し、裁判の期日に出頭して検察側の席に座ったり、法廷で意見を述べたり、被告人質問などを行うことができるという制度です。
(※参加可能な手続が法律上決まっており、上記の意見を述べることや質問などにも一定の法律上の制限があります。詳しいことは弁護士にご相談ください。)
これまで刑事手続の中では、なかなか「被害者の供述調書」つまりは「被害者の方のお話を警察官や検察官がまとめた書面」以外の形で反映されづらかった被害者やそのご家族の方々の声ですが、この制度によってより裁判官や被告人自身の耳にも届きやすくなりました。
本来その事件で一番人生を狂わされてしまった一番の「当事者」は被害者やそのご家族です。
その意味では、「制度が良くなった」というよりも「本来あるべき姿に近づいた」という方が正しい表現のような気がします。
この手続きに参加する方を「被害者参加人」というのですが、被害者参加人の方が被害者参加手続をする際、私達のような弁護士を「代理人」として選任することができます。
私達が代理人となった場合には、刑事裁判や被害者参加制度の説明、被害者参加人が希望される手続のサポートなどを行うことになります。実際に私も被害者側のご依頼を受け、検察官と打合せをしながら手続を行った経験があります。
刑事裁判に関わる弁護士と言えば「被告人」の立場で活動する「弁護人」のイメージが強いですが、「被害者参加代理人」では純粋に被害者側の立場に立ってアドバイスをさせて頂くことが可能になります。私個人の意見にはなりますが、突然の事故により大変な思いをされている被害者の方やそのご遺族に寄り添った活動をすることの方がやりがいを感じることが多いです。
被害者参加の手続中は、事故当時の記録などを確認することもありますので、当時のことを思い出し、かなりの精神的な負担を強いられることが経験上多いです。
そのような状況でありながらも、自分の気持ちや亡くなってしまった大切な家族のことを裁判官や被告人自身にきちんと理解してほしいということで、勇気を振り絞って法廷に立たれる被害者やご遺族の方も多くいらっしゃいます。
そのような方達のお手伝いをさせて頂く度に、いつも心が締め付けられると共に、その強いお気持ちに私自身も奮い立つ思いがします。
被害者側の弁護士として関与している以上、勇気ある被害者やご家族の方々のお気持ちが刑事事件で出来る限り反映されるよう尽力するのは当然として、私としては、そこから一歩進んで、被害者側の方々のご尽力が民事訴訟においても十分反映されるような裁判での主張立証を心掛けています。
もし被害者参加手続を検討されている方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談頂けると幸いです。
(文責:弁護士 三井 伸容)
被害者は当事者ではない?(弁護士 佐藤 寿康)
少年事件
平成10年から平成22年まで、裁判所書記官だったときがあります。
裁判所書記官になって初めて担当したのは少年事件でした。
犯罪行為などを行ったとされる未成年者の事件について家庭裁判所が調査したり審判したりして処分を決めるという手続です。私が少年事件を担当していた当時と現在とでは手続がだいぶ変わっていますが、その中でも大きなものを1つ取り上げると、手続における被害者の地位が挙げられます。
手続の客体から主体へ
取り扱う少年事件は、薬物事犯、粗暴犯、財産犯、交通事犯など様々でした。中には深刻な被害が生じているものもありました。
こうしたとき、被害者の方は加害者の処分結果はもちろん、それに至る過程(調査や審判手続)についても知りたい、関わりたいと考えるのは当然のことです。
ところが、私が少年事件を担当していた当時は、少年事件の手続は非公開(現在も非公開です。)で、それは被害者に対しても同様だったのです。
少年の処分を決めるために必要な範囲で意見を聞いたり証人として審判手続への出席を求めたりすることはありますが、それは家庭裁判所が必要だと考えるから関与を求めるという、いわば客体としての地位に過ぎません。被害者の側から関与を求めるという主体的なかかわり方をする権利はありませんでした。
ですから、被害者の方から電話などによる問合せを受けても、私は、少年審判手続は非公開で行われていること、それは被害者に対しても同様であること、家庭裁判所が関与を求めることがあるかもしれないので必要があれば家庭裁判所から連絡することを説明するだけでした。
要するに、被害者は少年審判手続における当事者ではありませんでした。
現在では、被害者には、意見陳述の申出の権利、審判手続傍聴の申出の権利、審判の状況について説明を受けるための申出の権利、処分結果の通知を受ける申出をする権利があります。私がかつて取り扱っていたときとは大きく変わっています。
いわゆる成人の刑事手続についても、平成20年に被害者参加制度が新設され、被害者は法廷に出席して意見を述べたり被告人に質問をしたりすることができるようになりました。
加害者に気持ちを伝える機会
家庭裁判所に問合せをなさった被害者に上記のような説明をするのは、私個人としては心苦しいものでした。
加害者に対してこの苦痛を伝えたい、どんなに苦しい思いをしているのか本当に加害者は分かっているのかといった思いをもたれるのは当然のことだと考えていたからです。
ところが、交通事故の場合は、加害者の加入していた任意保険会社が加害者の窓口になり、加害者本人とやりとりすることはありません。
(加害者本人に連絡を取っても任意保険会社が加害者本人に連絡を取らないよう求めてきますし、賠償金を支払うのは任意保険会社である以上、さらに加害者本人との交渉等を強く求めるメリットは全くなく、むしろ円滑に賠償が行われることに対する妨げになります。)
そのような意味で、被害者参加手続などは、加害者が出席する法廷で、裁判所に対する意見陳述などが行うことができるわけですから、加害者に対して被害者がどれほどの思いをもっているのかを伝える限られた機会といえましょう。
(ただし、それによって刑事裁判や少年審判の結果にどれだけ影響するかは別問題です。)
公判請求された件や個別少年審判が開かれた件に限られますが、かつて個人的に抱いていた思いを、被害者の方が実現する、そのお手伝いをすることができることは幸甚です。
(文責:弁護士 佐藤 寿康)
交通事故と生命保険(弁護士 前田 徹)
交通事故の際の保険といえば…
交通事故の際の保険といいますと、通常は「損害保険」を思い浮かべると思います。
しかし、被害者の方ご自身が加入されている「生命保険」も、交通事故による障害の程度により有利に使える場合があるということをご存じでしょうか?
私は、重度の後遺障害が残ってしまうような被害者の方のご相談時には、損害賠償(損害保険)のお話しだけでなく、生命保険についてもお話しをさせていただいております。
今回は、あまり知られていない交通事故と生命保険について、お話しさせていただきます。
高度障害保険金
まず、交通事故により、言語や咀嚼の機能を完全に失ったり、両上肢や両下肢を失ってしまうような高度障害状態になってしまった場合には、ご自身の加入されている生命保険から、死亡保険金額と同額の保険金が支払われることがあります。
つまり、通常は死亡した場合に遺族の方に支払われる保険金が、死亡する前に被保険者の方に支払われることになります。
保険料の払込免除
次に、上記のような高度障害状態とまではいえないが、重度の障害を負った場合、例えば、一方の上肢や下肢を失ったり、両耳の聴力を失ったりした場合には、今後支払う予定の保険料が免除になる場合があります。
本来は、保険料を払い続けなければ当然に保険契約が解除されてしまうのですが、重度の障害を負った場合には、それ以降の保険料の支払いを免除された上で、死亡時には満額の死亡保険金が支払われる場合があります。
契約内容の変更
交通事故により、重度の障害を負ってしまった場合には、それまでとおりの仕事ができず、収入が下がり、生命保険の保険料の支払いを続けていくことが困難になることがあります。他方で、一度生命保険を解約してしまうと、その後に新たに生命保険に加入することは難しい場合があります。
そこで、保険料の支払いを抑えて、かつ保険契約を継続する方法として、保険金額を減額するという契約内容の変更を行うことがあります。
注意点
注意点としては、高度障害の内容や重度の障害の内容は、保険会社との契約で定められていますので、約款をよく読むことが重要です。直接保険会社の担当者に問い合わせをするのもよいと思います。
また、医師に診断書を書いてもらう必要があるなど、申請の手続が大変で被害者の方ご自身ですべて行うことが難しいということも挙げられます。
当事務所のこだわり
我々は、交通事故の被害者の方には、適切な賠償を受けていただくことは当然として、その他に少しでも被害者の方のお役に立てることはないかと日々考えております。生命保険に関する情報の提供もその一環だと考えております。
これからも、真の被害者救済を目指して、活動して参ります。
(文責:弁護士 前田 徹)
被害者参加人の代理人として、刑事裁判に参加(弁護士 川﨑 翔)
裁判所も被害者側の意向を理解してくれたのではないかと思います。
交通事故の状況がまず明らかになるのは、刑事裁判においてということになります。特に被害者が不幸にも亡くなっている場合、被害者の供述がないことから事故態様の把握には捜査機関の捜査及び刑事裁判の判決を待つほかありません。
一方で、これまで被害者は、刑事裁判を傍聴することはできても、裁判において発言したり、意見を述べたりすることはできませんでした。
加害者(被告人)を訴追するのは検察官の役割であり、被害者は「証拠」に過ぎないとされていたのです。
しかし、近年、法改正がなされ、一定の条件の下で、被害者や遺族は「被害者参加」をすることができるようになりました。被害者参加人(=当事者)として刑事裁判に参加することで、被害者や遺族は法廷内で、真実を知ることができます。
また、被害者や遺族の想いを裁判所に届けることが可能になります。
当事務所では、依頼者のご希望がある場合、被害者参加人の代理人(被害者参加弁護士)として、刑事裁判に参加し、事故の真相究明、適正かつ公正な刑事裁判がなされるよう活動しています。
(以前は、交通事故以外の被害者参加も扱っていたため、裁判員裁判や少年審判において被害者参加弁護士として活動した経験もあります。)
刑事裁判において、加害者が主張する事故態様が事実に反しているという場合もあります。
刑事裁判において、加害者(被告人)が「近くを走行していた車両に気を取られて事故をおこした」と主張していたケースがありました。
しかし、この主張は刑事裁判になってから主張されたもので、やや不自然な主張に思えました。 そこで、当事務所は、事件を担当していた検察官とも協議し、付近の防犯カメラ映像を解析してもらい、事故当時、被告人が主張する車両がないという事実を検察官に反論してもらいました。
その結果、被告人は「近くを走行していた車両に気を取られて事故をおこした」という主張を撤回しました。
上記の裁判では、被害者参加弁護士として被告人に対する尋問を行った上で、被告人が事実に反する主張をおこなった点について非難し、反省が十分でないとの意見を述べました。
また、被害者(遺族)ご本人も法廷で心情に関する意見を述べました。
(文責:弁護士 川﨑 翔)
交通事故賠償の主導権を被害者に取り戻す(弁護士 川﨑 翔)
交通事故の賠償において、長い間、保険会社が主導権を握ってきました。
保険会社は日々、大量の交通事故案件を扱っています。顧問医や顧問弁護士、調査会社など、交通事故に関する専門知識を保険会社が独占していました。
交通事故被害者は何の支援も受けられないまま、保険会社が提案する和解を飲まざるを得ないという事態が常態化していました。
交通事故被害者は、保険会社の提示する和解案が適正なものか否かを判断するすべがなかったのです。
私が初めて扱った交通事故は高次脳機能障害を負った若い方の事案でした。
保険会社が被害者に対して提示していた賠償額は約600万円。被害者やご家族が賠償額に不安を感じ、当事務所に相談にいらっしゃったのが最初でした。
当時の私は交通事故に関する知識が少なく、解説書や医学書と格闘しながら保険会社と交渉しました。
結果、賠償額は2800万円に増額しました。達成感を感じたというよりも「唖然とした」というのが正直な感想でした。
思わず保険会社の担当者に「あまりに少ない賠償額の提示であって、ひどいと思います」と言ってしまいました。「保険会社の対応としては普通です」というのが担当者の応えでした。
それ以来、被害者側弁護士として、交通事故被害者に適正な賠償がなされるよう努力を重ねてきました。
まず、事務所内に交通事故チームを編成し、事案の集積と分析を開始。
医学知識や読影技術習得のため、協力医による勉強会を定期的に開催し、必要があれば画像鑑定書を作成してくれる画像鑑定医との協力関係も構築しました。
脊髄損傷や高次脳機能障害、遷延性意識障害といった重度障害を負った被害者のサポートのため、福祉用具や住宅改造に関する専門家との連携も進めています。
少しずつ私たちの活動に理解を示してくれる医師が増え、最近では直接整形外科の先生方から被害者の方をご紹介いただくことも多くなってきました。
さらに、交通事故被害者に関わる人が正しい知識を持っていれば、被害者救済につながると考え、様々な場所で講演も行っています。例えば、整形外科医や保険代理店に対しては、交通事故賠償の仕組みについて複数回講演を行っています。
平成24年2月及び平成27年9月には、交通事故の被害者側を主に扱う弁護士向けに、後遺障害認定に関する講演も行いました。平成26年8月には、専門家向けの交通事故専門書の執筆にも参加しました。(「交通事故における素因減額問題」(保険毎日新聞社))
私たち被害者側の弁護士は、「交通事故賠償の主導権を被害者側に取り戻す」ために全力を尽くすべきだと考えています。今後も努力を続けていきたいと思います。
(文責:弁護士 川﨑 翔)