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よつばの特長よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」

4. 適切な後遺障害の認定

医師を味方につけよう!(弁護士 前原 彩)

私たちは、交通事故の事件の場合、常に被害者の方の治療にあたっている主治医の先生との協力体制をとれないか模索しながら業務にあたっています。
それは、交通事故事件において、医者(特に主治医)の協力がかなり重要になってくる場合があるからです。

それでは、医者の協力がどれほど重要なのか見ていきましょう。

交通事故に遭ったらまず整形外科

交通事故に遭ったら、ほとんどの方が病院に行くと思います。その際は整形外科を受診しましょう。
まれに事故後に内科に行っている方もいますが、レントゲンを撮ったり、MRIを撮ったり、リハビリをしたりする必要があるため、整形外科に行ってください。整形外科に行かなかった!という方は、すぐに転院をしてください。

また、医者の方針やポリシーにより、リハビリを行わない場合があります。
しかし、リハビリを定期的に行うことが後々重要になってくる場合もありますし、リハビリをやらなければ治るものも治らない場合も多いため、リハビリを定期的に行ってくれる整形外科を受診することをオススメします。

医者の診断書ってすごく重要

交通事故に遭って身体に怪我を負った場合、その後病院に定期的に通院することとなります。治療に際して保険会社が治療費を払うパターンで通院している場合、月に1回くらいの割合で医師が診断書を発行している場合が多いです。

治療により無事に治癒すればそれが一番いいのですが、怪我などが治らずに症状が残ってしまった場合には(後遺障害)、その後遺障害が何級に該当するのか、損害保険料率算出機構というところに判断してもらうことになります。

損害保険料率算出機構は、この医師の診断書や医師が治療終了時に書く後遺障害診断書を元に、その後遺障害が何級に当たるのか、または当たらない(非該当)のか判断します。

そのため、医者が書く診断書は後遺障害の等級を決めるにあたってとても重要な役割を果たしているのです。

追加の資料を依頼することも

また、後遺障害等級を判断するよう損害保険料率算出機構に申請を出しているときも(正確には、自賠責保険会社を通じて申請をします)、場合によっては主治医に追加の所見の記載をお願いすることもあります。

さらには、交渉や裁判において、こちらから主治医に意見書の作成をお願いする、なんてこともあります。

日頃の信頼関係が重要

このように、交通事故においては、主治医が記載する診断書等の書類はかなり重要になってくるのです。
そのような書類が必要になった時に、主治医にすぐに頼めるようにするため、患者さんである被害者の方が主治医と日頃から信頼関係を築くことも重要なカギになってきます。中には患者さんと主治医の関係性が悪く、書類の記載をお願いしても問答無用で拒否されてしまう場合もあります。

交通事故の被害に遭ってしまったら、医者を味方につけて、納得のいく結果に繋げましょう!!

(文責:弁護士 前原 彩

交通事故においての医師との関わり【書類作成編】(弁護士 小林 義和)

こんにちは、小林です。

今回は、医師の方とのやりとり等について、前回の続きを書いていきたいと思います。

前回は、医師の方は治療の専門家であり、被害者の方にとっては何よりも治療をされて元の身体を取り戻すことが大事という話と、賠償面についても、医師の作成する診断書等の書類や画像が重要であることを説明させて頂きました。

今回は、医師の方に書類を作成して頂く際のことにすいて述べていきたいと思います。

医師は、患者を診断する際に、症状を聞いてその内容をカルテに書き、診断書等を発行する際には、そのカルテを参照しながら作成します。
医師は、日々多くの患者を診られているため、個別の患者について正確に記憶しておくことは難しいかと思います。
そのため、カルテ等の書面に診断の内容を書き残しておき、診断書を書く際に参考にされたり、次回の診察の際に過去のカルテをみながら今後の治療方針を決めていることも多いかと思います。

しかし、その診断書やカルテの記載が実際の被害者の方の症状とずれていることもあります。また、被害者の方が診察でおっしゃったことがすべてではなく一部分しか書かれていない場合もあります。
例えば、被害者の方が、事故直後は他の部分の痛みの方が大きく、他の部位のことまでは伝えることがないと判断されて、言わないこともあります。その場合は、おっしゃっていない部位のことは書かれません。
また、しばらく通院していると、医師に症状はどうですかと聞かれた際に、治療をしてリハビリもしていただき薬も処方して頂いているので、あまりよくなってはない場合でも医師に気をつかいよくなっていると言ってしまうという方もいます。

またそういったこと以外にも、医師との診察も、会話を含め人と人とのコミュニケーションの場ですので、患者の方が伝えたと思っても医師の方にうまく伝わっておらず、書面に違うことが記載されていたり、記載がなかったりすることもあるかと思います。

このような事態が生じた場合には、以下のような不都合が起こることがあります。
例えば、2月初旬に事故に遭い、首だけでなく足を受傷したにもかかわらず、特に当初は首の方がひどかったため、足のことは医師にうまく伝わらず、2月の診断書には首しかかかれませんでした。
そして、足の方もずっと痛い状態が続いたので、3月の診断書にはじめて足の記述がなされるといったこともあるかと思います。
このような事態が生じてしまった場合、最悪の場合は、足の治療開始が遅いため、足は事故と関係がないといわれ、それに関する損害も賠償を拒絶されるといった事態になってしまう可能性もあります。

また、他の例としては、相当期間通院した後後遺症が残ってしまったため、後遺症申請を加害者が契約している自賠責保険会社に対しておこなった際、カルテには、ほぼ症状がなくなり治ったということに近い記載があったことで、後遺症が否定されるといった可能性もあります。
事故で受傷したのに適切な賠償が受けられない、後遺症が残ってしまったのに適切な賠償が受けることができない、こういった事態を避けるためには、医師に対して診断の際に正確にご自身の症状を伝えることが重要です。
医師の方は治療の専門家ですし、治療して少しでも症状を軽くしてあげたいと思って診断されていますので、患者の方が治られるとうれしい気持ちになるかと思います。

しかし、治っていないのに、そのように言ってしまうと上記のような事態を招く可能性があるだけでなく、医師の治療方針も誤ったものにしてしまう可能性もあります。

そのため、ご自身の症状については、もれなく可能な限り正確に医師に告げることが重要かと思います。
また、もし医師に対してうまくご自身がおっしゃっていることが伝わってないかもと思われた場合には、口頭で医師に確認してみたり、場合によっては、医師の作成された診断書やカルテ等をみせて頂き確認するといったことも有効な場合があるかと思います。

治ることが一番ですが、適切な賠償を受けることも大事なことかと思いますので、医師の方の診断を受ける際には、以上のことに気を付けながら診断を受けて頂ければと思います。

(文責:弁護士 小林 義和

交通事故においての医師との関わり(弁護士 小林 義和)

こんにちは、小林です。

今回は、医師の方とのやりとり等について書いていきたいと思います。

交通事故に遭われてお怪我がある場合は、ほとんどすべての方が病院に行かれるかと思います。

そして、初回の診察を受けて、その後も入院されたり通院治療・リハビリを行ったりされるかと思います。
医師に診断書を書いて頂き、それを職場や警察署に出すことになります。なかなか治らない場合は、その後も継続して治療を続けていく必要があります。

このように交通事故に遭われた方は、長期間にわたり病院・医師と接点をもつこととなります。

それでは、その際にどのようなことに注意されるとよいでしょうか。
私たち弁護士は主に賠償に関しての交渉や訴訟等を主な仕事としています。
しかし、被害者の方にとっては賠償金よりもなによりも、まずは事故前のような身体に戻ることが一番だと思います。
医師の方は、賠償の専門家ではないかもしれませんが、治療の専門家であり、何よりも患者の方を治したいと思っています。

そのため、当たり前のことかもしれませんが、医師に正確にご自身の症状を伝えて、医師からの指示に基づいて定期的に受診し、リハビリにも通い、必要な薬等はきちんと服用していくことが重要だと思います。
そして、日常生活や仕事においてもなるべく医師のアドバイスに基づいて行っていくといったことも重要になるかと思います。

ただし、医院がある場所や時間的な問題もありますし、相性といったものもあるかもしれませんので、ご自身にあった医院がみつかればそちらに通われるのが一番よろしいかと思います。

では、賠償面についてはどうでしょうか。

賠償については、被害者の方が加害者の方に請求して払ってもらう形となります。

交通事故では、通常は、治療中は加害者の方が対人賠償保険に入っている場合は、その保険会社が治療費等を払い、被害者の方の症状が治癒ないし症状固定となった後に、慰謝料等の残りの賠償金も含めて示談交渉すると言うことが多いです。

また、賠償項目として、特に医師と関係がある項目については、まず、治療費があげられるかと思います。それ以外に、慰謝料等も通院期間や日数によってかわってきます。

また、後遺症が残ってしまうような場合は、被害者の方の症状について医師の意見が重要になってきます。
例えば、治療費については、加害者側は、いつまで治療費を支払うのが相当かという観点から、病院が作成する診断書や診療報酬明細書を参考にしながら、ときには、医師の方に照会をかけたり医師面談をして被害者の方の状態を確認しながら判断していきます。

また、後遺症申請の際にも、原則は書面審査となりますので、被害者の方に後遺症が残っているのか、残っているとしてその程度を判断する際には、基本的に病院で作成した診断書や診療報酬明細書、画像等を中心に判断していくことになります。

これらのことをみても、医師が作成する書類や撮影する画像が、賠償の面においていかに大事かということがわかるかと思います。

次回は、書類を作成して頂く際のことについて述べていきたいと思います。

(文責:弁護士 小林 義和

後遺障害等級認定の異議申立て(弁護士 今村 公治)

適正な等級を認定してもらうこと

交通事故で大きな被害に遭ってしまった場合、後遺症として残ってしまった症状に応じて、適正な後遺障害等級を認定してもらうことが大切です。

後遺障害等級が1つ上がるだけで、最終的に受け取れる賠償金額が数百万、数千万円という単位で変わることがあります。

そのため、事故に遭ってしまった場合には、治療を最優先にして、身体をできるだけ元の状態に回復させることを第一に考えますが、もし後遺障害が残ってしまった場合には、後遺障害の等級認定にむけて積極的な活動を行う必要があります。

弁護士今村公治

後遺障害等級については、専門的な知識が要求されるため、弁護士のなかでも交通事故、後遺障害に詳しい弁護士に相談する必要があります。

医師の先生の協力を得ること

後遺症として残っている症状の内容、事故と怪我との関係性など、適正な後遺障害等級の認定を受けるためには、専門的な医学知識が必要な場合があります。

そのため、当事務所では、医学知識はもちろん交通事故による怪我にも詳しい整形外科医の先生に助言を求め、医学的な意見をいただいています。

弁護士だけでは解決できない点もありますので、被害者救済のためのネットワークを構築することが大事です。

必ず診断書の記載内容を確認すること

初回相談時には、相手方保険会社から提示されている賠償金額を増額してほしいという相談でも、よくよく資料をみていくと、認定されている後遺障害等級から見直す必要がある事案があります。

ある事案では、担当医が作成した後遺障害診断書をよく見てみると、骨の移植手術をして骨盤骨の一部を採取していたにも関わらず、その旨の記載が後遺障害診断書に記載されていませんでした。

そこで、診断書を作成した担当医宛に弁護士名義で手紙を送り、後遺障害診断書の内容を加筆修正してほしいとお願いしました。丁寧にお願いしたところ、担当医の先生が協力してくださり、無事に後遺障害診断書の加筆修正ができたことで、認定が漏れていた骨盤骨の変形障害に関する後遺障害等級12級を認定してもらうことが出来ました。

医者の先生の中には、治療などの医療行為にはすごく精通していても、後遺障害診断書の書き方についてはあまり詳しくないという先生もいますので、後遺障害診断書に依頼者の症状が正しく記載されているかどうかをしっかり確認する必要があります。

さいごまで諦めないこと

後遺障害等級の認定には、初回申請、異議申立て、紛争処理機構への申立てなどの複数の手続きがあります。

また、事案によっては、自賠責が認定した等級を裁判で争うこともあります。

将来の生活のために、適正な賠償金額を獲得しておく必要がありますので、認定内容におかしい点がある場合には、最後まで諦めないことが大事です。

(文責:弁護士 今村 公治

「臭いが分からなくなった!?」~頭部外傷と嗅覚障害~(弁護士 前田 徹)

嗅覚障害の発生原因

嗅覚障害交通事故により、嗅覚だけに障害が出ることはあまりありません。

しかし、交通事故による頭部外傷が原因で、高次脳機能障害になってしまうような場合には、臭いが分からなくなってしまうという症状も併せて発生することは、珍しいことではありません。
頭部外傷が原因で、脳神経にダメージを受けることで嗅覚障害が発生すると言われています。

後遺障害の認定

自賠責保険の認定においては、嗅覚障害はそれ自体で後遺障害等級の認定の対象になります。具体的には、嗅覚の“脱出”は12級相当、嗅覚の“減退”は14級相当と認定されます。

嗅覚の“脱出”と“減退”は、T&Tオルファクトメータによる基準嗅力検査の数値により、区分されます。具体的には、同検査によって、5.6以上の数値が出れば“脱出”で、2.6以上5.5以下の数値で“減退”となります。

なお、T&Tオルファクトメータによる検査以外に、アリナミン静脈注射(「アリナミンF」を除く)による検査もありますが、同検査は嗅覚の“脱出”は判断できますが、“減退”は判断できず再検査となる可能性があるので、最初からT&Tオルファクトメータの検査をすることをお勧めします。

嗅覚障害の検査の注意点

T&Tオルファクトメータの検査は、すべての耳鼻科でできる訳ではありません。T&Tオルファクトメータの検査ができる病院は限られているので、その病院を探す必要があります。

また、嗅覚障害が発生している場合、併せて味覚障害が発生していることがあります。味覚検査は、濾紙ディスク法で行いますが、この検査もできる病院が限られています。

T&Tオルファクトメータの検査及び濾紙ディスク法の両方の検査を行う必要がある場合には、交通事故、とりわけ高次脳機能障害に詳しい弁護士に相談し、どの病院で両方の検査が可能か、を教えてもらうのがよいと思います。

高次脳機能障害と嗅覚障害

高次脳機能障害が発生するような大きな交通事故の場合、脳神経外科では、嗅覚障害が見過ごされることがあります。
たしかに、事故直後は、「一命を取り留めることができるか」や「日常生活を送れるようになるか」に焦点が当てられるので、仕方のない面もあるかもしれません。

しかし、後遺障害認定の場面では、嗅覚脱失による12級相当が認定されると、併合の効果で高次脳機能障害の等級が1級上がることになり、賠償の面で大きな金額の差が出て来ます。
高次脳機能障害の場合においても、嗅覚や味覚に異常を感じた場合には、医師に症状を伝え、高次脳機能障害に詳しい弁護士に相談し、適切な検査を実施することをお勧めします。

(文責:弁護士 前田 徹

診断書の記載 ~症状は一緒でも後遺障害が異なる?!(弁護士 前田 徹)

同じ事故で、症状は一緒なのに!?

同じ車に乗っていて、追突事故に遭ったAさんとBさん。
2人はともに頚椎捻挫の診断を受け、それぞれ違う病院に、同じ日数通院しました。同じような治療を行い、症状はほとんど変わりません。

その2人が、それぞれの主治医に診断書を書いてもらい、それぞれが後遺障害認定の申請手続を行いました。
結果は、Aさんが14級9号、Bさんが非該当。認定の理由書を見ると、どうやら診断書の記載の仕方に違いがあった・・・。

これは架空の設定ですが、実際に、これと似たような話は存在するのではないでしょうか。

「診断書の記載内容が重要だ」というけれど

「交通事故による後遺障害等級の認定には、主治医の作成する診断書の記載内容が重要だ」と言われますが、具体的にはどのようなことなのでしょうか?

私は以前、このような事案を経験しました。
自動車で信号待ちをしている最中に、後ろからトラックに追突されたCさん。自動車の後ろ半分が潰れるほどの大事故で、Cさんの負った頚椎捻挫も重度のものでした。
9ヶ月間通院し、後遺障害認定の申請手続を行いましたが、非該当の結果に。重い症状が残っていたので、非該当の結果に納得がいかず当事務所に来所されました。

Cさんのお話しをうかがうと、たしかに症状は重く、9ヶ月間定期的に通院し、熱心にリハビリも行っており、せめて14級9号は認定されてしかるべき事案だと思いました。
そこで後遺障害認定の理由書を拝見したところ、どうやら主治医が作成した後遺障害診断書の将来の見込みの欄に、一読すると“症状は軽減される”と誤解(・・)されそう(・・・・)な(・)記載があったことが、非該当の理由になっているようでした。

当事務所で受任し、主治医と面談しました。
主治医に上記の記載の意味をうかがってみると、やはり“症状は軽減される”という意味で書いたのではないことが判明。主治医にお願いして、上記記載の本当の意味を意見書に記載していただき、当事務所で異議申立をしたところ、無事に14級9号が認定されました。

適切な後遺障害等級認定のために

この事案から分かるように、症状として本来14級9号が認定されるべき事案であっても、主治医の記載する診断書の記載内容によっては、非該当になってしまうことがあり得ます。

たしかに、医師は治療を行うことが本来のお仕事であり、後遺障害認定のための診断書作成が本来のお仕事ではありません。交通事故による後遺障害等級の認定には、特殊なルールがあるので、後遺障害等級認定の申請の際には、事前に交通事故に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。

交通事故により、後遺症が残っているにもかかわらず、適切な後遺障害等級の認定が受けられない方が1人でも減ることが、よつば総合法律事務所の願いです。

(文責:弁護士 前田 徹

後遺障害の申請を弁護士に依頼することのメリットとは?(弁護士 三井 伸容)

後遺障害の申請方法?

裁判以外で後遺障害の有無や程度について判断してもらう方法は、代表的なものを大きく分けると、加害者らが契約している保険会社に依頼する「事前認定」というルートと被害者側が後遺障害に関する保険金を請求することで後遺障害の申請をする「被害者請求」というルートがあります。

「事前認定」の場合には、後遺障害診断書を加害者側の保険会社に送付しさえすれば、あとは先方で手続きを進めてくれることも多いので、担当者に言われるがまま、よくわからずに手続をされている方も多いのではないでしょうか?

他方、「被害者請求」の場合には、被害者側である程度必要な資料をそろえたり、申請書類を作成したりする手間がかかりますので、加害者側の保険会社にまかせきりというわけにはいきません。

被害者請求のメリット?

「被害者請求」のメリットのひとつは、添付資料が自分で選択できることです。レセプトや診断書以外にも有利な資料があれば、それを添付することができるわけです。

また、レセプトや診断書に誤解を招きそうな記載が入っていたり、認定にとってマイナスなものがあるときでも、それをフォローできそうな資料があれば添付することができます。
このようなメリットがあるため、私が後遺障害申請段階からご依頼を受ける場合には、特別な事情でもない限り、「被害者請求」のルートを利用して申請を行うことになります。

弁護士に後遺障害申請を頼むと何が良いの??

「被害者請求」を弁護士に依頼する場合には、必然的に症状固定前から弁護士が関与することが多いと思います。後遺障害の認定においては「治療経過」が重要となる場合もありますので、治療経過について適宜弁護士のアドバイスを受けられるのもメリットといえるでしょう。

また、「後遺障害診断書の作成」においても、早期から弁護士が関与していれば、これまでの経過を踏まえてどのような診断書を作成するべきかをきちんと検討することができて安心です。症状の内容や程度にもよりますが、診断書の作成のため、必要に応じて弁護士が医師面談等を行うこともあります。

さらに、上記のとおり、治療経過に関する書類において、誤解を招いてしまうような記載などがあった場合にも、それを発見し、出来る限りのフォローをすることもできます。
後遺障害の審査経過の詳細は公開されるわけではありませんので、実際にどれだけの効果があったかは明らかではありませんが、経験上は認定が危ういと思われる事案であっても、フォローの甲斐あってか無事認定が得られたと思われる経験もないではありません。

このような点が弁護士に後遺障害申請を依頼した場合の主なメリットであると思います。

(文責:弁護士 三井 伸容)

後遺障害認定結果と不服の申立て談(弁護士 三井 伸容)

後遺障害認定は重要です!

ネバーギブアップ後遺症は、治療しても完治に至らず、「症状固定」の段階でも、体の痛みや不具合が残ることをいいます。
しかしながら、治療が終わった後に痛みや不具合が残っていても、法律的に後遺「障害」として認められるかとどうかはまた別の問題です。

「後遺障害として認められるか」そして「認められるとしても何級となるのか」によって、以下のような点に違いが出でてきます。

  • 損害賠償の金額
  • 搭乗者傷害保険などの相手方保険会社以外からの保険給付額
  • 各種社会保険制度における給付額、給付の方法(年金・一時金)、給付の内容(典型的なものとして労災の「アフターケア」など)
  • 受けられる行政サービスの内容

後遺障害認定に対する不服の申立てとは?

上記のとおり、後遺障害の認定内容によって補償の程度が大幅に変わってしまうため、納得できる認定結果を得ることは非常に重要です。
そのため、認定結果に納得がいかない場合の不服の申立方法が用意されています。

「異議申立」とは、自賠責調査事務所が行う後遺障害の認定に対する不服申立方法のひとつで、交通事故の場合にはこの制度が利用されることが比較的多いと思います。
また、業務中や通勤中の事故のときに問題となる「労災」の場合には、「審査請求」という不服申立制度があります。

納得できない結果であれば諦めない!

私は、ご依頼頂いた際、現在の後遺障害認定結果について改善の可能性があるかどうか欠かさず検討するように心掛けています。
 そして、より上位の等級認定を得られる可能性がある場合には、ご依頼者様の意向に背かない限りで、不服の申立てを提案させて頂くことが多いです。

私が行う不服申立をするに際しては、まず被害者の方の現状を聴くことから始めます。
実際に私が上記の不服申立手続を行って判断を覆したケースでは、被害者の方の症状と後遺障害の認定結果が明らかに合っていないケースが多かったように感じます。

次に、私の方で不服申立てを行う認定結果の分析を行い、そこから、レントゲンやMRI画像の分析、カルテの収集分析などをそれぞれ必要に応じて行います。
ここでは、医学的な知識も必要になりますので、医師などの専門家の方の協力も不可欠です。
また、被害者の方が訴えている現在の症状を書面にまとめたり、患部の外観に異常があればその写真を添付するなどの方法をとることもあります。

上記のような経過を踏まえて不服申立てを行うわけですが、自賠責調査事務所や労働基準監督署がそこまでいい加減な判断をするわけがありませんので、そう簡単に判断が覆るものではありません。
しかしながら、実際に上記のような方法で不服申立てを行った結果、判断が覆っているケースを経験していることも事実ですので、その可能性がきちんと認められるのであれば、交通事故を扱う弁護士として、上記のような後遺障害獲得のための努力を怠るべきではないと思います。

私は、これからも上記のような姿勢で、より被害者の方の現状に即した後遺障害認定結果を得ることができるよう努力していきたいと思います。

(文責:弁護士 三井 伸容)

後遺障害の基準に達しない(弁護士 佐藤 寿康)

「物が二重に見える」

治療が終わったのだが、視線を上に向けると物が二重に見えるという相談を受けました。
実際にお会いして、顔を正面に向けたまま視線を上に向けて頂くと、左右対称でない様子が窺えます。

「視線を上に向けると物が二重に見える」という症状は、複視と呼ばれるもので、後遺障害の等級でいうと13級2号「正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの」に該当します。
そこで、眼科医に書いてもらったという後遺障害診断書を確認しましたところ、複視の等級審査に欠かせない検査(「ヘススクリーンテスト」というものです。)をしていませんでした。このまま等級認定審査に提出しても、後遺障害が認定されることはありません。

「2°足りない」

そこで、病院に赴いてヘススクリーンテストが必要であることを説明し、検査をしてその検査結果を記載したもの(「ヘスチャート」といいます。)を作成してもらいました。
その結果、3°のずれがあることが判明しました。

労働災害の基準では、5°のずれがあって初めて等級に該当することになっています。自賠責においても、労働災害の基準を準用していますから、この方は、複視に関しては、後遺障害非該当ということになります。

自賠責の認定基準、認定手法

後遺障害に該当するかどうかについては、後遺障害の認定基準を確認するのが必要なのは当然です。
さらに、それをどのような資料(検査方法等)を提出しなければならないかという、自賠責の認定手法を知らなければなりません。

上記の例でいいますと、複視の後遺障害の審査にはヘススクリーンテストが必須であることを知らなければ、等級認定はされません。

なお、医師はこうしたことを知らないことも多いです。
医師は治療することが仕事であり、治らなかった後遺症についての審査には何が必要かといった知識は、治療とは関係ありませんから、やむを得ないことだと思います。

ですから、医師に対して検査が必要であることを説明してお分かりいただき、必要な検査を実施してもらう必要があります。

後遺障害の基準に達しない

たとえば、関節可動域が制限されているが、それが後遺障害認定基準まで至っていないとか、きず跡が残ったものの、長さ2.5センチメートルにとどまるといったときは、後遺障害等級は非該当ということになります。上記でご紹介しました3°のずれがある複視も、同様に後遺障害の基準に達していませんから、後遺障害の等級としては非該当です。

このことを御説明しましたところ、「これでそもそも基準に達しないなんて驚きだ。私はこれでも相当不便を感じている。」との感想を仰いました。
事故前の体に戻らなかったのだから、その点は認めてほしいというのは当然の思いですし、私もそう思います。

ですが、損害賠償実務では、後遺障害等級に応じて損害額が大きく変わってきますから、まずは、後遺障害に当たるかどうか、当たるとしても、どの等級か、さらに高い等級が認定される余地はないのかを探求していかなければなりません。

その結果、残った症状が後遺障害認定基準に達していないことが明らかになったとしても、基準に達しなかった症状が残り、それが客観的に明らかであることは、損害賠償交渉の場面で強調して、「事故前の体に戻らなかった」ことについて考慮されるよう最大限努めて、被害回復のために力を尽くさなければなりません。

(文責:弁護士 佐藤 寿康

後遺障害等級結果検討にあたって確認すべきこと (弁護士 粟津 正博)

後遺障害等級の認定

後遺障害等級チェック後遺障害等級は専門の調査機関によって認定されます。

その結果が出た際、適正な認定がなされていればそれで良いのですが、これが適正であるかについて一定の検討が必要です。
適正でないと判断すれば異議の申し立てが必要です。

認定理由書別紙の確認

後遺障害の結果の通知書には、結果を記載した書面の他に判断に至った理由が記載された別紙が添付されています。
ここには、他覚的所見についての調査事務所の見解が記載されていますので、この判断が妥当かどうか検討します。

特に、画像に関する判断については、専門家の意見を参照しながら実際に画像を見て判断する必要があります。

自覚している症状の確認

特に当該症状の後遺障害が否定されている場合などには、その症状が現在も残っているか、その部分について治療を継続しているかどうか確認させていただきます。
何故なら症状固定がも症状が残っていれば、あるいは通院をしていれば、これはやはり将来も症状が減退する可能性は低く、後遺障害として認定してもらうべきだとの判断につながり易いからです。

不足している医学的証拠の確認

入手した資料や残存している自覚症状から、認定されるべきと考えられる等級が認定されていない場合、逆算してどのような資料が足りないか検討します。
この作業は、どのような資料があれば当該等級が認定されるのか、実務を知っていなければなりません。

そこで、当事務所では交通事故チームを設け、後遺障害に関する情報共有を定期的に行っております。その上で、異議の申し立てをすべきであれば、追加で医学的な証拠の作成を主治医にお願いしたり、既存の医証に関する判断の誤りを指摘したり、症状固定後の経過を報告したりします。

他覚的所見がないとされる場合の異議申し立て

特に、14級9号などの他覚的所見がないとされる後遺障害については、調査事務所も認定(又は認定しなかった)理由の詳細を明らかにしていません。
大抵「治療状況等も勘案した結果」と記載されているだけです。異議申し立てをすべきか判断に迷う、難しい類型です。

そこで、当事務所では、蓄積した判断事例を分析し、他覚的所見のないケースであっても適正な認定がなされるよう研究を重ねています。

適正な後遺障害等級認定がなされることの必要性

現状、自賠責の認定する後遺障害等級と裁判所が異なる判断をするケースは少ないです。
ですので、適正な等級認定が、適正な賠償へとつながります。交通事故に遭われて症状が改善しない場合将来の生活が非常に不安であると思います。

当事務所では、将来の適正な賠償がなされるよう、後遺障害等級の見直しから全力でサポートしています。

(文責:弁護士 粟津 正博

後遺障害認定から逆算して治療中からフォローが大事な理由(弁護士 粟津 正博)

後遺障害の申請が困難になったとあるケースの例

先日、後遺障害診断書を主治医に書いてもらえないという相談を受けました。

その被害者の方は、事故直後以来約半年にわたって病院に行っておらず、久しぶりに病院に行き後遺障害診断書の作成を依頼したものの、経過が不明である等の理由で後遺所外診断書の作成を断られてしまったそうです。

ご相談者本人は、事故から半年経過後も自覚症状があるとのことで、非常に悩ましいご相談でした。

弁護士粟津正博

後遺障害申請のための必要書類

現在の、自賠責保険会社への後遺障害の申請にあたっては、医師の作成した後遺障害診断書の提出が必要です。 医師には、患者からの請求がある場合診断書作成義務が定められていますが(医師法19条)、一方で自らが診断しないで診断書を発行することを禁じられています。(医師法20条)

すなわち、事故直後から継続的に診断を受けている医師であれば、後遺障害診断書を作成してもらうことが通常可能ですが、長期間診断を受けていないと、診断書を作成できないと判断されることがあるのです。

事故直後からご相談をいただいていれば…

仮に上の事案で後遺障害診断書を作成して申請が出来たとしても、病院への通院期間が少ないため、認定にあたり、この点を後遺障害の調査機関に不利に考慮されてしまう可能性が高いです。
もし、当事務所が事故直後からご相談をお受けしていれば、このような病院に通院しないことの不利益を見据えて、必ず病院に行き、経過を診察・治療をしてもらうよう必ずご説明します。

事故直後からご依頼いただくことの意義

加害者や保険会社と賠償の関係で問題がある場合に、当事務所に、事故直後からご相談いただくケースはあります。
ただ、このような問題がない場合であっても、当事務所では事故直後からご相談をいただくことをお勧めしております。

当事務所では、多くの被害者の方を事故直後から賠償金の支払いまでフォローさせていただいております。中には3年以上のお付き合いさせていただくこともあります。

当事務所では、交通事故チームを結成し、定期的に事例検討会を行い、知識を共有しています。
その際は、交通事故案件取扱い実績が多くありますので、特に後遺障害認定実務や賠償を見据えて、今後の治療後の見通しをご説明させていただきます。
後遺障害が認められるべき被害者の方で、知識がないばかりにこれが否定されることはあってはならないことだと思いますので、是非事故直後から弁護士に相談していただきたいと考えています。

(文責:弁護士 粟津 正博

膨大な過去事例の集積(弁護士 今村 公治)

後遺障害認定申請を弁護士がするということ

後遺障害等級が認定されるかどうかで最終的に受領できる賠償額は異なりますが、等級が1つ上がるだけでも賠償額は大きく異なります。

たとえば、後遺障害が残ってしまった場合に請求できる損害として後遺障害慰謝料がありますが、認定された等級が5級だと裁判基準で1,400万円、7級だと1,000万円、9級だと690万円というように金額が全然違います。同様に逸失利益の損害額も、認定される等級が重くなるについて、金額が大きく増額します。
そのため、最終的に受領できる総額をみると、認定された等級によって結果がかなり変わってきます。

そのため、交通事故に遭われてしまい、後遺障害が残るような重い怪我を負ってしまった場合には、受けた損害や将来の生活を考えると、ご自身の後遺障害に合った適切な後遺障害等級を認定してもらう必要があります。

後遺障害等級認定の申請方法は、相手方の保険会社に任せる事前認定と、当方から申請する被害者請求があります。書類を提出して申請をすれば適正な等級認定を受けられる症状もあります。
他方で、適正な検査を受けて、診断書に適正な記載をしてもらえるかどうかで認定される等級の結果が変わることもあります。

後遺障害の内容が同じであるにも関わらず、後遺障害等級や、その後の賠償金額に差が出ることのないよう、後遺障害等級の申請をする段階で弁護士が介入して適正な等級を認定してもらうことの重要性を、より広く社会に認知してもらう必要があると考えています。

過去の事例の集積

後遺障害等級の資料交通事故被害者の方が適切な等級認定を受けるためのサポートをするためには、交通事故を専門とした弁護士活動をして、後遺障害に関する知識と経験を多く積む必要があると考えています。

そこで、当事務所では、当事務所で扱った案件のなかで参考になる資料を保存し、認定された後遺障害等級ごとに資料を整理しています。
当事務所では交通事故の案件だけで年間300件くらいのご相談がありますので、後遺障害等級認定の申請も数多く行っています。

所内で後遺障害診断書等の資料と等級認定票を一緒に保管し、現時点で多くの過去事例が集積されています。等級認定票の記載内容を、後遺障害診断書等の資料に照らして検討することで、診断書の記載内容の違いによってどのように認定結果が違ってくるのかを確認しています。

後遺障害等級認定の申請サポートをするためには、事務所内で各弁護士が情報を共有し、後遺障害に関する知識と経験を多く積むことが大事であると考えています。

(文責:弁護士 今村 公治

事務所の複数弁護士で関与し自賠責の等級を裁判で覆しました!(弁護士 大澤 一郎)

自賠責の認定重視の裁判所実務

通常、後遺障害が残る事案の場合、自賠責調査事務所が後遺障害等級を認定します。
そして、認定された等級(1級から14級)を元に加害者加入の任意保険会社との交渉を行うというパターンが一般的です。
そして、交渉や裁判の場合、自賠責調査事務所の判断が前提となることがほとんどです。
よつばの弁護士打ち合わせ風景

明らかに自賠責調査事務所の認定が被害の実態と合致していない事案

50代・女性の方で明らかに自賠責調査事務所の認定と合致しない方がいらっしゃいました。
自賠責の認定はせき柱の変形障害で11級という結果です。
しかし、実際には車いすを使わないと歩くことすらできないという事案でした。

医師への面談、意見書取得、最後まであきらめない姿勢

当事務所の交通事故チームの弁護士複数で事案に取り組みました。

自賠責保険には自賠責保険特有のルールがありますので、何度異議申立をしても結果が変わらないことが多いです。被害に応じた適正な保証を受け取るためには、裁判が必要なこともあります。

本件では、主治医の意見書が必要不可欠な事案であったことから、交通事故チームの弁護士が医師に面談を行い、ご意見をお伺いし、その結果、意見書という形で書面をいただくことができました。
しかも、1度だけではなく、2度も主治医の先生からの意見書をいただくことができました。

他方、保険会社からは保険会社からの顧問医の意見書が提出はされました。
しかしながら、主治医の先生のご意見では、保険会社の顧問医の意見書は実際に患者を診察した実態に明らかに合致していないというご意見でした。

2年間の裁判の結果

当初、せき柱の変形を前提とした保険会社の提示額は示されていませんでした。しかし、過去の私の経験からすると、せき柱の変形の11級の場合、数百万円の保険金しかもらえない事案も多いです。

本件では訴訟を提起し、2年間徹底的に争った結果、治療費も全て併せて総額4,000万円の和解となりました。
特に、裁判所の和解案が出たのちも粘り強く交渉した結果、当初の裁判所和解案よりも600万円増額して、合計4,000万円の和解を勝ち取ることができました。
(4,000万円中約1,000万円は治療費です。)

車いすという重篤な被害の救済の救済

車いすの被害者は今後も生活で様々な支障が発生します。
そのような被害者に相当額の保険金が支払いされて本当によかったです。

ご依頼者は以前、別の法律事務所に依頼をしていたとのことですが、当事務所に依頼してよかったと最後に行っていただいたのがとても印象的でした。

(文責:弁護士 大澤一郎

後遺症申請で見落としがちな点、漏れのない対応を(弁護士 小林 義和)

こんにちは、小林です。

今回は、後遺症申請で見落としがちな点を述べていきたいと思います。

後遺症申請については、事故後から通院をされていた方が、これ以上治療を続けても大幅な改善が見込めず今後も大きな回復・憎悪が見込めなくなったという症状固定の段階に入った際に行います
症状固定時点で、症状が残っていた場合は、後遺症が残っているとして医師の方に後遺症診断書という書面を書いて頂き、加害者の自賠責保険会社に後遺症等についての賠償金を支払うように申請します。(被害者請求)

加害者の自賠責保険会社は、損害保険料率算出機構にMRI等の画像を含む資料等を送付して、同機構が事故態様や当事者、病院等に調査や照会をかけて後遺症が認定できるかどうか、認定できる場合はその等級についての調査結果を加害者の自賠責保険会社に報告します。
それを受けて、加害者側の自賠責保険会社が後遺症の等級認定をして、後遺症を認定する場合には決められた賠償額を被害者へ支払うこととなります。

このように基本的には、被害者からの申請書類に基づき調査され、認定判断が下されることになるため、被害者からの申請書類、とりわけ、医師の方に書いて頂く後遺症診断書にどのような記載がなされているのか、MRI等の画像をきちんと撮っているかという点は大事です。

例えば、下肢短縮があげられます。交通事故の受傷により片方の足が短くなり、バランスが悪くなったり歩行に影響が出たりします。
その場合は、足底板(インソール)を使用したりするのですが、後遺症では1下肢を1センチメートル以上短縮したものは後遺症として13級8号が認定されます。
私が経験した件でも、被害者の方に同行して病院にいき、医師に画像を正確に測ってもらい、13級8号が認定されました。

また、靭帯損傷に伴う可動域制限や痛み・しびれについても見落とされることもあります。
症状固定が近くなってもいまだに、足のしびれや痛みが強く、また、関節がぐらぐらするということで、靭帯損傷の可能性があると考え、医師に伝えてMRI画像をとっていただきました。
すると、靭帯損傷や半月板損傷もあったことがわかり、その原因がわかったということもありました。その件では、局部に頑固な神経症状を残すものとして後遺症12級13号が認定されました。
その他、よく申請を漏らしてしまうのが醜状痕です。

被害者の方は痛みやしびれや可動域制限については、申請されるのですが、事故により残った傷跡については後遺症がおりると思わずに、後遺症診断書に記載していただかないことも多いです。
しかし、上肢や下肢の露出面にてのひらの大きさの酷いあとを残すものと認定されると14級4号または5号の後遺症が認定されます。事故当時よりは目立たなくなったとしても、傷跡が残っている場合には認定されることがあります。

後遺症認定の調査は通常は書面で行われるのですが、醜状痕は面接により判断されることが多く、後遺症診断書にその旨を記載してもらう必要があります。
私はいつも、傷跡が残っていないか被害者の方に聞くようにしており、漏れがないように気を付けています。

(文責:弁護士 小林 義和

後遺障害認定サポートとは何をしているのか(弁護士 大澤 一郎)

後遺障害申請と弁護士

法律事務所の交通事故のWEBサイトを見ると、「後遺障害認定アシスト」「後遺障害までフルサポート」「後遺障害申請を代理」「後遺障害認定をサポート」というような記載がたくさんあります。
後遺障害認定を弁護士が支援するというのはどのようなことか、初めて交通事故の被害にあわれた方には想像がつきにくいかもしれません。
通常通りに治療を行い、後遺障害の診断書を保険会社に提出すればそれだけでよいと考えていらっしゃる方もいるかもしれません。
実際にどのような活動を後遺障害申請に先立って弁護士が行っているのか、私が過去に取り扱った事例を元にご説明します。
弁護士による後遺症サポート

事故直後の場合

例えば、事故直後のお問い合わせの場合には、今後すべきことを確認します。頚椎捻挫・腰椎捻挫の場合MRIをとっておいた方がよいということが多いので、主治医にMRI撮影を依頼する方法などについてアドバイスします。

その他、神経学的検査の依頼方法のアドバイスや、自らの傷病名に応じて自覚症状を医師に正しくお伝えすること、通院回数や頻度が原因で後遺障害非該当にならないように気を付けるべきことなどをご説明します。

医師に後遺障害診断書を依頼する前

医師への面談により弁護士が後遺障害診断書の作成を依頼します。
または、医師に依頼をお願いしたい事項をまとめた紙を作成し、医師にお渡しします。

個別の事案ごとに内容は異なるのですが、例えば、高次脳機能障害で嗅覚障害が疑われるような場合には、脳外科から耳鼻科への嗅覚検査の紹介状の作成依頼をします。
紹介状の作成依頼をする場合も、特定の検査方法でないと自賠責調査事務所(後遺障害を認定する機関)は認定資料にしてくれませんので、特定の検査方法を依頼します。

異議申立の場合

例えば、頚椎椎間板ヘルニア等の症状名があるが後遺障害非該当となってしまったような場合には、主治医に依頼して画像読影専門病院でのMRI撮影の紹介状を書いていただきます。
その画像を当事務所でお願いしている協力医や画像鑑定専門医に診ていただき、その上で主治医に後遺障害診断書の加筆や診断書の追加発行を依頼します。

後遺障害認定サポートについて

後遺障害認定サポートはとても難しいですがやりがいのある業務です。また、後遺障害認定結果が変わることにより、交通事故被害者が受け取ることができる保険金額が変わってきます。

1件1件真摯に取り組むことにより、交通事故被害者の損失ができるだけ回復するような活動を継続していきます。

(文責:弁護士 大澤一郎

重度の後遺障害と示談交渉について(弁護士 三井 伸容)

交通事故は、ある日突然、被害者の方やそのご家族の人生を大きく変えてしまいます。
大事故の場合、事故直後はまず命が助かるのかいう大問題がありますし、幸いにも一命を取り留めた場合でも、大きなお怪我をされた場合には、その後の壮絶なリハビリ生活が待っています。事故によって生活が180度変わってしまうことも決して珍しくありませんので、被害者の方やそのご家族の方々は、事故直後から片時も気が休まらない中で、大変なご苦労をされながらもなんとか症状固定に至っているというのがご相談を受けきた印象です。
示談のこだわり

しかしながら、交通事故の場合、症状固定で全てが終わるわけではなく、それ以降も引き続き将来の生活や今後の損害賠償のことを考えなければいけません。

特に損害賠償の場面では、症状固定に至るまでに既に心身ともに疲れ切っており、現在の生活を維持するだけでもギリギリな状況であるにもかかわらず、交通事故の専門的知識を有する保険会社とのシビアな交渉を強いられることになります。

このような大変な状況の中で、弁護士の関与なくご本人で示談交渉した場合、最終的な保険金額が本当に適正なものになりうるのか私はとても心配に思います。

もちろん、保険会社が常に法律上適正な保険金額を支払うのであれば全く問題ありません。
しかし、実際にはそうではないことも多いので、我々のような弁護士が交通事故の損害賠償のご依頼を受けることが多いわけです。
現に被害者側がご自身で何カ月も交渉を重ね「もうこれ以上は増額できない。」と保険会社の担当者に言われたにもかかわらず、我々が入って交渉をすると提示額が増加する事例も多数経験しております。

交通事故で保険会社から支払われるお金は、ただのお金ではありません。被害者の方やそのご家族が大変なご苦労をされたこと、そして、これからも大変な思いをされることへのとても大切な補償のお金です。
重度の後遺障害の場合、弁護士の関与がない交渉でも、それなりに高額の提示があることもありますので、何となくそのまま示談してしまいたくなるお気持ちはとてもわかります。

しかしながら、安易に保険会社の提案どおりに和解はせず、念のためで結構ですので、一度弁護士にご相談頂き、保険会社提案額の妥当性を判断してもらうことが必要だと思います。
もしご相談頂ければ、将来のご自身やご家族に適正な補償を残すことができるよう、サポートさせて頂きたいと思います。

(文責:弁護士 三井 伸容)

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