事例465高次脳機能障害・嗅覚脱失
脳外傷による高次脳機能障害と頭部外傷後の嗅覚障害で併合4級の認定を受け、1,789万円の自賠責保険金を受領したほか、賠償金約2,100万円を獲得した事例
最終更新日:2023年03月06日
文責:弁護士 今村 公治
保険会社提示額 : 880万円
- 解決額
- 2,100万円
- 増額倍率 :2.4倍
- 病名・被害
-
- 高次脳機能障害
- 怪我の場所
-
- 頭部
- 顔(目・耳・鼻・口)
- 後遺障害等級
-
- 1~5級
事故発生!自転車対自動車の事故
平成30年某月、近藤さん(仮名・東京都在住・50代・女性・会社員)が、自転車で道路交差点を走行中に、交差点を右折進行してきた自動車に衝突されるという事故に遭いました。
相談から解決まで
被害者は、事故により、脳挫傷、外傷性くも膜下出血、後頭骨骨折、急性硬膜下血種などの大怪我を負いました。その後、約7ヶ月間の治療とリハビリを継続して、症状固定となりました。
本件では、事故直後にご相談いただき、すぐにご依頼いただくことになりました。定期的に治療経過をご確認させていただきました。また、弁護士が通院先の病院にお伺いするなどしました。
当事務所のほうで代理して後遺障害の被害者請求を行い、高次脳機能障害について第5級2号、また嗅覚障害について第12級相当の判断を受けました。結論として併合第4級の認定を受け、自賠責保険金1798万円を受領できました。
その後、加害者側と賠償額の交渉を行いました。交渉当初は、加害者側の保険会社から約880万円の賠償提示を受けましたが、弁護士が交渉した結果、最終的に約2,100万円の賠償を受けることができました。
当事務所が関わった結果
後遺障害等級併合4級の認定を受けることができました。また、加害者側の保険会社と賠償金額の交渉をした結果、提示金額約880万円から約2,100万円まで増額することができました。
解決のポイントは以下の点です。
1後遺障害等級の認定
本件では、事故直後からご依頼いただきましたので、治療中も後遺障害等級申請を見据えてアドバイスさせていただきました。
高次脳機能障害が残存している場合、後遺障害診断書に加えて、「神経系統の障害に関する医学的意見書」、「頭部外傷後の意識障害についての所見」、「日常生活状況報告書」の3点セットを作成しました。
また、嗅覚障害がありましたので、「嗅覚の症状についての所見」という医療文書も作成しました。嗅覚障害の後遺障害を申請する場合には、必要な検査と診断書がありますので注意が必要です。嗅覚には、脱失(12級相当)と減退(14級相当)の2種類があり、一般的にはT&Tオルファクトグラムの検査結果により嗅覚障害を証明することが多いです。
高次脳機能障害の後遺障害については、障害の程度に応じて、後遺障害1級、2級、3級、5級、7級、9級、12級、14級のいずれかが認定される可能性があります。認定される等級によって受領できる賠償金額が数倍変わってくる可能性があるところ、5級、7級、9級あたりの等級については、診断書等の提出資料の記載内容によって等級が変わることがありますので、しっかりと準備して、症状を詳細かつ具体的に説明する必要があります。
本件では、被害者の症状や後遺症の内容をしっかりと伝えたかったため、日常生活報告書をご家族に作成していただく際、報告書の内容をかなり詳細に記載し、別紙を付けてなるべく具体的に症状や日常生活の様子を伝えるもらいました。
後遺障害の申請時には、5級か7級かを想定して申請しましたが、症状をしっかりと文書で伝えたこともあり、より重い等級の5級の判断がなされ、嗅覚障害の12級相当と合わせて併合4級の認定がでました。
参考記事:高次脳機能障害
参考記事:高次脳機能障害のよくある質問
2過失割合
本件では、相手保険会社は、被害者側の過失割合を50%と主張してきていました。
当事務所のほうで刑事記録を取寄せ、本件事故現場や事故状況を詳細に確認、検討しました。相手方は、優先道路を自転車が横断した事故であるとして被害者側の過失を50%と主張していましたが、そもそも事故場所や事故態様が異なることを主張し、交渉した結果、最終的には被害者の過失割合は30%ということで解決することができました。
賠償金額が大きい事案では、過失割合が5%変わるだけでも受領する金額に大きな差がでてきます。過失割合に争いがある場合は、刑事記録やドライブレコーダー等の客観的資料を精査した上、事故現場の道路状況や事故態様をよく確認し、過失割合を適切に判断する必要があります。
依頼者様の感想
長きにわたりご尽力いただき、ありがとうございました。
最良のサービスで、最良の成果の提供をしてもらい、大変感謝しております。
※プライバシー保護のため、地名については実際にお住まいの場所の近隣ですが実際とは異なる場所を記載してあることがあります。
文責:弁護士 今村 公治