腰椎圧迫骨折(11級)が事故によるものがどうか裁判で争い、1050万円を受領した事例

最終更新日:2022年11月01日

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士
粟津 正博
当初の提示額なし
最終獲得金額
1050万円
1050万円 増額
千葉県千葉市・50代・女性・専業主婦
病名・被害
第10腰椎圧迫骨折、骨盤骨折
けがの場所
腰・背中骨盤骨
最終獲得金額
1050万円
後遺障害等級
11級

事故の状況

山下さん(仮名)は買い物から帰る途中に横断歩道をわたっていたところ、車にひかれました。

ご相談内容

山下さんは車とぶつかり、道路に尻もちをついて転倒します。おしりや腰の痛みがあったため救急車で病院に行きました。

病院での診断は、第10腰椎圧迫骨折と骨盤骨折でした。

その後、1年間の通院を続けたものの症状は完治しませんでした。

山下さんは後遺障害の申請から弁護士に依頼

山下さんは治療終了の少し前に弁護士に依頼します。後遺障害の申請や示談交渉を弁護士に任せたかったからです。

裁判所

弁護士の対応と結果

11級で自賠責保険から331万円を受領

弁護士が後遺障害の申請をしたところ、次のとおり併合11級となりました。

  1. 腰椎圧迫骨折後の骨の変形について「脊柱に変形を残すもの」(11級7号)
  2. 骨盤骨折後の腰の痛みについて「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)
  3. あわせて併合11級

11級になったので、山下さんは自賠責保険会社から331万円を受領しました。

任意保険会社は1円も支払わないと主張

任意保険会社との交渉を弁護士はスタートします。

しかし、保険会社はいきなり山下さんの腰椎圧迫骨折が事故前からあったものだと主張し始めます。そして、山下さんの賠償金は既に今までに支払済みであるとして、1円も支払わないと主張しました。交渉は決裂します。

交通事故紛争処理センターに申し立てをするものの決裂

弁護士は山下さんと相談のうえ、早期解決のために交通事故紛争処理センターへの申立てをすることとしました。

しかし、保険会社は交渉時と同じく、腰椎圧迫骨折が事故前からあったものだと主張します。そのため、紛争処理センターでの合意とはならずに決裂します。

裁判にて1050万円の合意で決着

弁護士は山下さんと相談のうえ、裁判を起こします。裁判は1年半続きます。その結果、山下さんの腰椎圧迫骨折が事故による新しい骨折であることを裁判所は認めます。

最終的には1050万円で合意します。

山下さんは、任意保険会社から1050万円を受領しました。

山下さんが受け取った金額のまとめ

自賠責保険 331万円
任意保険 1050万円
合計 1381万円

解決のポイント

1. 事故による圧迫骨折であることを証明

交通事故では、圧迫骨折は、転倒した際やしりもちをついたときなど、脊柱に垂直方向の外力が加わった場合によくある診断名です。

もっとも、医学一般では特に高齢の女性の場合、もともと圧迫骨折や脊柱の変形があることは珍しくありません。

無症状であることも多く、被害者自身も圧迫骨折があることに気づかないこともあります。そのため、圧迫骨折はもともとあったもので、外傷性のものではないと画像上の所見を基に判断されることも一定数あります。

圧迫骨折が事故による新しいものか(新鮮骨折)、もともとのものか(陳旧性骨折)、を鑑別するために、有用な検査がMRIです。

MRIは水分を鮮明に移すため、事故直後特有の出血や浮腫性変化を捕捉することで、新しい骨折であることを証明する手立てになります。

ですので、圧迫骨折があると疑われる場合、早期にMRIを撮影することをおすすめします。

2. 主治医との適切な連携

山下さんの事故では、MRIを撮影した時期が事故から一定期間経過していたため、事故直後に見られる出血等の変化が薄くなっており、鑑別がしづらくなっていたということがありました。

そして、保険会社は複数の顧問医に照会し、山下さんの圧迫骨折が事故前からあったものであるという意見書を裁判所に提出してきました。

このような状況であっても山下さんの主治医の先生に貴重なお時間をいただき、何度も面会の上、山下さんの骨折が新しいものである根拠や、保険会社の意見についてご意見をいただきました。

そして、相手方の医学的な主張についても、医学的に適切に反論をすることができました。

結果として、山下さんの骨折は事故によることを前提する解決ができました。

特に後遺障害の内容や等級等、医学的専門的な知見が必要になる場合には、医師との協力や連携が不可欠です。勝訴的和解を勝ち取るためには、主治医の先生のご協力いただけたことが大きなポイントでした。

ご依頼者様の感想

保険会社の言っていることは理解できないことばかりでしたが、裁判までやっていただき、お世話になりました。ありがとうございました。

(千葉県千葉市・50代・女性・専業主婦)

本事案は実際のお取り扱い案件ですが、プライバシー保護のため、事案の趣旨を損なわない範囲で一部内容を変更や省略していることがあります。写真はイメージ画像であり実際のお客様とは異なります。記載内容は当事務所のPRを含みます。

本事例へのよくある質問

Q腰椎圧迫骨折の変形障害はどのような後遺障害になりますか?

腰椎圧迫骨折の変形障害は、次のような後遺障害になることがあります。

  1. 脊柱に変形を残すもの(11級7号)
  2. 脊柱に中程度の変形を残すもの(8級相当)
  3. 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの(6級5号)
監修者
よつば総合法律事務所
弁護士
粟津 正博

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